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12.二人で始める家探し②

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「ここに、石」

 松明の隣に開けたスペースを作ったレアル。
 その小さなスペースには、灰色に光る円状術式の存在があった。

「なにしてるの、レアル?」

 リリシアが問いかければ、レアルは手の平の石にも術式を付与させる。

「召喚術の応用パターンを出来るかどうか確認してる。円状術式を介して、召喚対対象をこちらに呼び込むのが基本なんだけど」

「そういえば、呼び出される直前に、足下にこんな感じのが浮かび上がってきたわね」

「そう。だから今度は、逆が出来ないかってね。――《逆召喚》!」

 レアルが魔力を練り上げると、手の平の円状術式は灰色の光を帯びた。
 手の平の石がシュンッと姿を消し、瞬時に空いていたスペースに現れる。

「空間魔法の類い……いや、これはそんなものじゃない。これ、転移魔法……?」

「円状術式さえこっちの方で用意しておけば、逆召喚もできる。これなら拠点をここに置いたまま、運び込めるよ、リリシア!」

「魔法術師ですら解明出来ていない空間・転移魔法の部類だったのに……レアル、いつのまに……!」

「ぼくは、王族から追放された身だ。だけども、誰よりも心強いリリシアがいてくれる。昨日ずっと考えてた。ぼくはこれから何をすればいいんだろうって」

 レアルは言う。

「ぼくの召喚術と、リリシアの剣の強さがあれば出来ないことはない。ぼくは、この広い荒野を開拓して、父様を超えてみせるよ。手伝ってくれないかな、リリシア」

 レアルの言葉に、思わずリリシアは小さく溜息をついた。

「最初にどこまでもついていくって言ってたじゃない、ばか。それなら、私たちはさながら『起源の人類』、《アルダム》と《エーファ》ってところね」

「まずは二人揃って、生き残らなきゃね」

 決意を新たに二人は手を取って外へ出た。
 シルデフィル地区に入って一番最初の森。

 レアルが召喚術で古代のような美しく澄んだ小川を召喚させ、転移用の円状術式を置いた場所を、二人は人類の祖の名を取って《アルダン》領と命名した。

 澄んだ小川の水を携帯しつつ、深い森の中を進んでいく二人。

 太陽が二回沈んで、初日同様の生活を繰り返すこと三日が過ぎた。
 森の中をようやく抜けようとしたその時。

「レアル、あれ、何かしら」

 森の中から何もない草原に差し掛かる一歩手前に、コケと蔦で包まれた建造物が二人の前に現れたのだった。


 
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