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ルーベンス家の招待③

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「……いやぁ、驚いた。今時の若者は行動力が凄いと言うか…」
シャロンの父親はブラッドをマジマジと見ていた。
(……視線が痛いんだが…)
「お父様、彼から旅行先で助けて貰ったのに失礼よ」
「俺は気にしていないから、そろそろ俺は…」
「あっ、いや、すまない。ますますブラッド君の事が知りたいと思ってね」
「は?」
ブラッドは帰ろうと声をかけるタイミングが悪くこの後シャロンの父親から質問攻めにあった。
「勉学は好きかな?」
「いえ…あまり…体を動かすのが良いので……」
「好き嫌いはあるかな?」
「なんでも食べます…」
「趣味はあるかな?」
「とくには……」
「ご家族は何人かな?」
「…両親と妹がいます…」
「彼女はいるのかな?」
「……あの…なんの質問なんですか?」
ブラッドは不機嫌気味な顔で父親に尋ねていた。
「ああ、すまないブラッド君はモテそうだと思いつい聞いてしまったが……」
「お父様、彼が困っているわ」
「悪かった、悪かった。さ、散歩でも行ってはどうだ?」
「それが良いわ。二人で行って来なさい」
「でも…」
シャロンはブラッドの方を見て悩んでいた。
「少し外の空気が吸いたい、案内してくれるか?」
「え…ええ…」
ブラッドはシャロンに手を差し出し二人は散歩に行く事になった
部屋の中は夫婦二人だけになった。
「質問しすぎですよ」
「ふぅ、そうだな少しは聞き出せたが肝心な所が聞けなかった」
「まあっ」
「聞くぐらい良いではないか…」
父親は座っていた椅子から離れ窓の方へと向かい、外ではシャロンとブラッドが歩く姿があった。
「見なさい、微笑ましいではないか私はシャロンのこの姿が見たかったのだ。私は自然と振る舞う彼の性格が好きになった…できればシャロンと一緒にと思っているのだが、シャロンの気持ちも優先したい…」
シャロンとブラッドの姿を父親はじっと眺めていた。
一緒に散歩をする事になったシャロンとブラッドは、部屋の中から見ている父親にブラッドは気付いていた。
「ごめんなさい…」
「急にどうした?」
「父が色々と尋ねていたから気分を害したのかなと思って…」
シャロンは気まずそうにブラッドに謝っていた。
「新学期の自己紹介と思えばなんでもない」
「……ふふふふ、何それ」
「何故笑うんだ?変な事でも言ったか?」
「ふふっ、ごめんなさい…でも、ブラッド君がこんなにお話をするなんて思わなかったわ。」
クスクスと笑うシャロンにブラッドは学園の時の自分を考えていた。
「彼女はいるの?」
「いきなりだな…想像にまかせる」
「……わたくしね、付き合っている人がいるの」
「…そうみたいだな」
ブラッドはシャロンの首筋に痕がある事に気付いていた。
「両親はわたくしとブラッド君の婚約を望んでいるみたいなの」
「は?!……だからあんな質問をしていたのか…」
「でも安心して、わたくしブラッド君の事友達として見ているから」
「…はっきりと『あなたには興味ないわ』と聞こえるんだが」
「そう思ってもよくってよ…あなたもわたくしには興味ないんでしょう?」
笑顔を見せるシャロンは、ブラッドの気持ちを確かめているようでブラッドの前に近付き顔を見上げていた。





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