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2章 オダ郡を一つにまとめる
85話 マルネ砦の激闘
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サブロー・ハインリッヒよりマルネ砦の防衛を任されたゴルド・グロスターの元に、ワラワラと敵貴族が現れた。
その大将を務めている男は。
「その顔はよく覚えてるよチミ。僕ちんに出て行けって言ってた没落貴族のグロス君じゃ無いか」
「ゴルド・グロスターだ」
「はいはい。チミの名前なんて聞いてないんだよ。それに、チミにも見覚えがあるなぁ。おひょっ。僕ちんの初めてを担当した娼婦のリリスちゃんじゃ無いか」
「リリスって誰よ!私の名前は、リリアーナよ!クソガキ」
「おいおいおい。それはひどいじゃ無いかいチミ。僕ちんのテクニックで、あんあん喘いでいた癖に。もう一度、僕ちんにだからにきたのかい。残念だ。あの頃と違って、今の僕ちんは引く手数多なのさ。ごめんね~期待に応えられなくて」
「誰がアンタで気持ちよくなるかっての!それに、残念なのは、アンタよ。今の私は、弓兵なの。わかる?アンタの敵。はい、ザンネーン。それに夫もいるの。アンタなんかよりも百倍気持ち良くしてくれる素敵な旦那よ」
「ハハハ。娼婦のチミにはお似合いの泥臭い男だねぇ」
「キャー、ミクロン様~素敵!」
「ハハハ。とっとと片付けて、昨晩の続きを楽しむとしようかベイビーたち」
「あぁん、嬉しい~」
戦場に金で雇った女を侍らせて、自分以外の全てを見下すこの男の名前をミクロン・デビと言い、見た通り、勘違いのナルシスト野郎である。
「さぁ、チミたち、僕ちんのためにこんな城、攻め滅ぼしちゃって」
こんな傲慢な男だがデビ家は、貴族の箔でいうと公爵に次ぐ侯爵という位である。
その位の高さからマルネ砦攻めの総大将に選ばれた、御飾りナルシスト野郎である。
「ゴルド様、如何なさるのですか?」
新兵のオルテガが不安そうに尋ねる。
「無論、殿より殲滅を命じられておる。皆殺しぞ。しかし、女は見逃す。さて、先ずは、先制パンチと行こうか」
そう言ったゴルド・グロスターは、大きな声で叫んだ。
「敵兵にいる奴隷や民兵に次ぐ、無理やり従わされているのなら悪いことは言わん。今すぐ、この場を離れよ。向かってくるのなら残念だが仕方ない、全員殺すまでのことだ!」
この一喝で、敵兵の中で無理やり徴兵された民兵は、我先にと逃げ出した。
それを食い止めるために貴族の私兵がその背を容赦なく貫こうとするが戦を経験してきた奴隷兵たちがその前に立ちはだかり、盾にて凌ぎ撤退を援護する。
「ほら、どうだオルテガ。相手は大混乱ぞ」
「今の大声で味方も何人か目を回してますがね」
「それは鍛え方が足りんだけじゃ。ほれ、アイツらを見てみぃ」
ゴルドの指差した方では、平然と指示をだし、騎馬隊の準備を整えた1人の男が先頭を駆け、反乱を起こした奴隷兵たちの横をすり抜けて、貴族の私兵を貫き、戻ってきた。
「流石は、ケイロンだな」
「えっ?何か言いましたかゴルド様?」
そう、彼らはゴルドの大声に抵抗するために耳に栓をして、聞こえなくしていたのだ。
「あっすみません。新兵の皆さんを驚かせてしまいましたね。この通り、ゴルド様は戦闘開始と同時に大声で敵を一喝するので、こういうのを持ち歩くと良いですよ。あっ名乗るのが遅くなりましたね。皆さんと同じゴルド様に仕えています。騎士爵のケイロン・アルペーと言います。以後、お見知り置きを。第二陣、続けて突撃を開始せよ。混乱した敵兵の横腹を突くのです!」
挨拶もそこそこに指揮を取るケイロン・アルペーの騎馬を用いた波状攻撃によって、みるみるうちに敵兵が溶けていくのである。
「露払いはしておきましたので」
ケイロン・アルペーがリリアーナに言う。
「えっ?」
「何やら因縁があるとお見受けしたので。実は、2日目の祭り、拝見しておりました。良い腕前でした。どうです?女に射抜かれて死ぬなんて、あの坊ちゃん貴族にとって、最悪の結末でお似合いだと思いませんか?」
爽やかな顔で、そんなことを言うケイロン・アルペーの言葉に頷くリリアーナは、距離にして、180センチ程の距離にいるミクロン・デビに狙いを定める。
「さて、ならワシもひと暴れしてくるとしよう。手伝う気はあるかオルテガよ?」
「も、も、勿論です。ショバタ城では、サブロー様の隊のみんなの活躍が目まぐるしく、初陣と言えるものではありませんでしたので」
「その意気やよし。リリアーナよ。少し援護してやろう。狙いを定めるのだ良いな?」
「は、はい」
混沌と貸した戦場を前に、ミクロン・デビは何もできないでいた。
「ミクロン様、ご指示を!」
「あら、何処に行かれるんですの?お金をまだもらっていませんわよ」
「何もしてないのに金を取るのかチミは?」
「当然でしょう。それが私たちの仕事なんですからお金を貰えばどんな事でも受け入れます。でも金がないならこのクソガキが図になってんじゃ無いわよ!」
「ひっひぃぃぃぃぃ。こんなはずじゃ。ガロリング卿は、簡単な仕事だって」
「あら、立場が悪くなったら人のせいにするなんて、貴方のせいで何人の人間が死んだんでしょうね。責任を取りなさいよ!」
「ミクロン様、もう持ちません。あがが」
「見っともないこれが貴族のあり方か。お前のような奴に率いられたものが可哀想だな」
突然後ろから現れたゴルド・グロスターに怯えて、前に逃げ出したミクロン・デビ。
リリアーナが狙える距離まで、ちょっとづつちょっとづつ近付いて来た。
「まだよ。まだ、私じゃ当てられない距離、もうちょっと。後少し。今よ!」
リリアーナに放たれた矢がミクロン・デビの額を貫いた。
「敵総大将、ミクロン・デビ、弓兵隊のリリアーナが討ち取ったぞーーーーー!!!!」
ゴルド・グロスターの声で、総崩れとなった貴族連中が容赦なく追撃に来たケイロン・アルペーによって、背を討たれていく。
蓋を開けて見れば、完勝である。
ミクロン・デビの率いた大軍のうち半分は、無理やり徴兵された民兵と奴隷兵であり、残りの半分もいろんな貴族が集まった混合であり、何より率いた男が無能すぎた。
それゆえ、当然の結果である。
その大将を務めている男は。
「その顔はよく覚えてるよチミ。僕ちんに出て行けって言ってた没落貴族のグロス君じゃ無いか」
「ゴルド・グロスターだ」
「はいはい。チミの名前なんて聞いてないんだよ。それに、チミにも見覚えがあるなぁ。おひょっ。僕ちんの初めてを担当した娼婦のリリスちゃんじゃ無いか」
「リリスって誰よ!私の名前は、リリアーナよ!クソガキ」
「おいおいおい。それはひどいじゃ無いかいチミ。僕ちんのテクニックで、あんあん喘いでいた癖に。もう一度、僕ちんにだからにきたのかい。残念だ。あの頃と違って、今の僕ちんは引く手数多なのさ。ごめんね~期待に応えられなくて」
「誰がアンタで気持ちよくなるかっての!それに、残念なのは、アンタよ。今の私は、弓兵なの。わかる?アンタの敵。はい、ザンネーン。それに夫もいるの。アンタなんかよりも百倍気持ち良くしてくれる素敵な旦那よ」
「ハハハ。娼婦のチミにはお似合いの泥臭い男だねぇ」
「キャー、ミクロン様~素敵!」
「ハハハ。とっとと片付けて、昨晩の続きを楽しむとしようかベイビーたち」
「あぁん、嬉しい~」
戦場に金で雇った女を侍らせて、自分以外の全てを見下すこの男の名前をミクロン・デビと言い、見た通り、勘違いのナルシスト野郎である。
「さぁ、チミたち、僕ちんのためにこんな城、攻め滅ぼしちゃって」
こんな傲慢な男だがデビ家は、貴族の箔でいうと公爵に次ぐ侯爵という位である。
その位の高さからマルネ砦攻めの総大将に選ばれた、御飾りナルシスト野郎である。
「ゴルド様、如何なさるのですか?」
新兵のオルテガが不安そうに尋ねる。
「無論、殿より殲滅を命じられておる。皆殺しぞ。しかし、女は見逃す。さて、先ずは、先制パンチと行こうか」
そう言ったゴルド・グロスターは、大きな声で叫んだ。
「敵兵にいる奴隷や民兵に次ぐ、無理やり従わされているのなら悪いことは言わん。今すぐ、この場を離れよ。向かってくるのなら残念だが仕方ない、全員殺すまでのことだ!」
この一喝で、敵兵の中で無理やり徴兵された民兵は、我先にと逃げ出した。
それを食い止めるために貴族の私兵がその背を容赦なく貫こうとするが戦を経験してきた奴隷兵たちがその前に立ちはだかり、盾にて凌ぎ撤退を援護する。
「ほら、どうだオルテガ。相手は大混乱ぞ」
「今の大声で味方も何人か目を回してますがね」
「それは鍛え方が足りんだけじゃ。ほれ、アイツらを見てみぃ」
ゴルドの指差した方では、平然と指示をだし、騎馬隊の準備を整えた1人の男が先頭を駆け、反乱を起こした奴隷兵たちの横をすり抜けて、貴族の私兵を貫き、戻ってきた。
「流石は、ケイロンだな」
「えっ?何か言いましたかゴルド様?」
そう、彼らはゴルドの大声に抵抗するために耳に栓をして、聞こえなくしていたのだ。
「あっすみません。新兵の皆さんを驚かせてしまいましたね。この通り、ゴルド様は戦闘開始と同時に大声で敵を一喝するので、こういうのを持ち歩くと良いですよ。あっ名乗るのが遅くなりましたね。皆さんと同じゴルド様に仕えています。騎士爵のケイロン・アルペーと言います。以後、お見知り置きを。第二陣、続けて突撃を開始せよ。混乱した敵兵の横腹を突くのです!」
挨拶もそこそこに指揮を取るケイロン・アルペーの騎馬を用いた波状攻撃によって、みるみるうちに敵兵が溶けていくのである。
「露払いはしておきましたので」
ケイロン・アルペーがリリアーナに言う。
「えっ?」
「何やら因縁があるとお見受けしたので。実は、2日目の祭り、拝見しておりました。良い腕前でした。どうです?女に射抜かれて死ぬなんて、あの坊ちゃん貴族にとって、最悪の結末でお似合いだと思いませんか?」
爽やかな顔で、そんなことを言うケイロン・アルペーの言葉に頷くリリアーナは、距離にして、180センチ程の距離にいるミクロン・デビに狙いを定める。
「さて、ならワシもひと暴れしてくるとしよう。手伝う気はあるかオルテガよ?」
「も、も、勿論です。ショバタ城では、サブロー様の隊のみんなの活躍が目まぐるしく、初陣と言えるものではありませんでしたので」
「その意気やよし。リリアーナよ。少し援護してやろう。狙いを定めるのだ良いな?」
「は、はい」
混沌と貸した戦場を前に、ミクロン・デビは何もできないでいた。
「ミクロン様、ご指示を!」
「あら、何処に行かれるんですの?お金をまだもらっていませんわよ」
「何もしてないのに金を取るのかチミは?」
「当然でしょう。それが私たちの仕事なんですからお金を貰えばどんな事でも受け入れます。でも金がないならこのクソガキが図になってんじゃ無いわよ!」
「ひっひぃぃぃぃぃ。こんなはずじゃ。ガロリング卿は、簡単な仕事だって」
「あら、立場が悪くなったら人のせいにするなんて、貴方のせいで何人の人間が死んだんでしょうね。責任を取りなさいよ!」
「ミクロン様、もう持ちません。あがが」
「見っともないこれが貴族のあり方か。お前のような奴に率いられたものが可哀想だな」
突然後ろから現れたゴルド・グロスターに怯えて、前に逃げ出したミクロン・デビ。
リリアーナが狙える距離まで、ちょっとづつちょっとづつ近付いて来た。
「まだよ。まだ、私じゃ当てられない距離、もうちょっと。後少し。今よ!」
リリアーナに放たれた矢がミクロン・デビの額を貫いた。
「敵総大将、ミクロン・デビ、弓兵隊のリリアーナが討ち取ったぞーーーーー!!!!」
ゴルド・グロスターの声で、総崩れとなった貴族連中が容赦なく追撃に来たケイロン・アルペーによって、背を討たれていく。
蓋を開けて見れば、完勝である。
ミクロン・デビの率いた大軍のうち半分は、無理やり徴兵された民兵と奴隷兵であり、残りの半分もいろんな貴族が集まった混合であり、何より率いた男が無能すぎた。
それゆえ、当然の結果である。
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