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2章 オダ郡を一つにまとめる
40話 貴族たちによる反サブロー連盟の発足
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マーガレット・ハインリッヒ、元の名前をマーガレット・ガロリングと言い、公爵家の御三家の一つガロリング公爵家の当主レーニン・ガロリングの娘である。
当時伯爵家であったガロリング家は、領主であるハインリッヒ家との誼を通じるべく娘と合わせたところ意気投合した2人によって、思惑通り外戚となり公爵家となった成り上がり組である。
レーニン・ガロリングには、オダ郡を意のままに操るという野望がある。
そのため若かりし頃のサブロー・ハインリッヒに事あるごとに干渉していたが、子供とは思えない頭の良さと奴隷制や階級制に関して、疑問を抱くところに嫌悪感を示し、以降積極的に関わることはしなかった。
ロルフ・ハインリッヒは、まだまだ若い暫くは安泰だろうと高を括っていたのだ。
しかし、情勢はロルフ・ハインリッヒの戦死で大きく変わる。
サブロー・ハインリッヒは、騎士爵位を賜っているレイヴァンド家以外の貴族家を引き連れずにタルカ・ナバルの連合軍に壊滅的な打撃を与え、あろうことかルードヴィッヒ14世からタルカを攻める大義名分を得た、これに危機感を募らせたレーニン・ガロリングは、同じくロルフ・ハインリッヒによって取り立てられた公爵家であるハルト公爵家当主のモンテロ・ハルト、カイロ公爵家当主のルルーニ・カイロと共に反サブロー連盟を発足。ロルフ・ハインリッヒの恩恵を少なからず受けていた貴族の大半がこれに参加、オダ郡を二分する事となる。
だが、オダ郡でのことが外部に漏れることはなかった。
公爵家の一つ、カイロ公爵家による徹底的な情報統制のお陰である。
内外から攻められては、取った後の統治に影響が出ると説得されては、レーニン・ガロリングも受け入れるしかなかったのである。
その旗頭に立ったのは。
「皆様、亡き夫ロルフの意思を継ぐべくこれだけたくさんの人たちに集まってもらえた事、感謝致します。我が息子、サブローは、奴隷制の撤廃だけでなく階級制の撤廃も視野に入れた動きをしています。その最たるがロルフのことを支援してくれていたグラン商会を含む商会の取り潰し、ロルフが敬遠していたマルケス商会との契約。これは、御用商人をサブローの都合の良いように変えただけのことです。貴方たちもこのまま行けば、取り潰され、その身分はサブローの周りの者たちに配分されるでしょう。それで良いのですか?私は嫌です。ロルフに恩を感じているのなら共に立ちなさい!このマーガレット・ハインリッヒが旗頭となりましょう!」
うおおおおおおおおおと雄叫びのような声が上がり、皆が口を揃えて、サブローを許すなサブローを殺せと。
その言葉を聞き、マーガレットは涙を堪えて、自分の果たすべき役割を演じている。
サブローのこれからの統治のために古い人間は排除されなければならない。
それは自分の役目なのだと。
マーガレットは、父から旗頭となるように言われた時に躊躇した。
それは、自分に息子と戦えと残酷な事だったからである。
マーガレットは、息子のことを大切に思っている。
だからこそ、亡き夫ロルフに砂をかけたのは、どうしてそんなことをするのと理解できなかった。
でも今は違う。
マーガレットは、サブローがあんなことをしたのは、こんなにめちゃくちゃにして、残していきやがって、尻拭いぐらいしてから行きやがれみたいなのが込められていたのだろうと。
ロルフが亡くなって、3ヶ月しかたっていないが街の様子は、前より明るくなったと感じていた。
グラン商会が牛耳っていた時より、マルケス商会になってからは、物価は安くなり、自由商売によって、農家も直販売という形で参入するものも出てきて、これがとにかく安くて美味しい。
いつの間にか街の人の顔からは笑みが溢れているのだ。
明らかにロルフが治めていた頃より豊かで幸せになっている。
それを戻そうとする父の行動は止めなければならない。
人が人らしく生きられる場所を作ろうとしている息子のためにそれが母として出来る最後のことだとマーガレットは、強く決意を固めた。
マーガレットの演説が終わり、呼び止めたまだ若い貴族の男性。
「マーガレット様、貴方がサブロー様と戦う道を選ぶとは、思いませんでしたよ」
「カイロ卿こそ。亡き父君の側で、見てきたことが間違っていると改革をされていたように感じましたが、どうして参加しているのです」
「強いて言うならガロリング卿を暴走させないためですかね。サブロー様と戦うにしても情報統制すらしないのは、タルカやナバルによる再侵攻を招きますから。こう見えて私は、サブロー様を高く買っているので」
「成程、父に私がサブローと協力していないか確認してこいと頼まれたのかしら?情報統制の必要がなかったのは、父はここをナバルの領主ドレッドに売り渡して、ナバル郡管轄のオダ郡主にしてもらうためよ。貴方が何を言っても情報統制に今は無かったようね。ナバル郡主ドレッドは、父と密約を交わしているわ」
マーガレットは、不気味な笑みを浮かべて、ここ数日で父からベラベラと聞かされたことをそれとなくルルーニに必要な情報を耳元で与えてやった。
ルルーニはそれで全てを察した。
この人もまたこのオダ郡を守ろうとしている。
そして、それが成せるのは自分と同じくサブロー・ハインリッヒを置いて他にいないと。
その露払いをしようとしているのだと。
自分にはレーニン・ガロリングの暴走を止めることしかできなかった。
だがこの人は、息子のために全て墓場へと持っていくつもりなのだと。
一瞬だけ目を瞑ったルルーニは、マーガレットの心情を慮る言葉を他の貴族が不審に思わないように投げかける。
「成程、母としての覚悟ですか。辛く険しい道を選びましたね。微力ながら成就するようにお力添え致します」
「ありがとう。頼りにしているわカイロ卿」
他の貴族が不審に思わない言葉で締めくくった2人の握手を見て、レーニンは疑っていたルルーニもこちらに付いたと安堵する。
こうして、ガロリング公爵家を中心とした反サブロー連盟が発足された。
当時伯爵家であったガロリング家は、領主であるハインリッヒ家との誼を通じるべく娘と合わせたところ意気投合した2人によって、思惑通り外戚となり公爵家となった成り上がり組である。
レーニン・ガロリングには、オダ郡を意のままに操るという野望がある。
そのため若かりし頃のサブロー・ハインリッヒに事あるごとに干渉していたが、子供とは思えない頭の良さと奴隷制や階級制に関して、疑問を抱くところに嫌悪感を示し、以降積極的に関わることはしなかった。
ロルフ・ハインリッヒは、まだまだ若い暫くは安泰だろうと高を括っていたのだ。
しかし、情勢はロルフ・ハインリッヒの戦死で大きく変わる。
サブロー・ハインリッヒは、騎士爵位を賜っているレイヴァンド家以外の貴族家を引き連れずにタルカ・ナバルの連合軍に壊滅的な打撃を与え、あろうことかルードヴィッヒ14世からタルカを攻める大義名分を得た、これに危機感を募らせたレーニン・ガロリングは、同じくロルフ・ハインリッヒによって取り立てられた公爵家であるハルト公爵家当主のモンテロ・ハルト、カイロ公爵家当主のルルーニ・カイロと共に反サブロー連盟を発足。ロルフ・ハインリッヒの恩恵を少なからず受けていた貴族の大半がこれに参加、オダ郡を二分する事となる。
だが、オダ郡でのことが外部に漏れることはなかった。
公爵家の一つ、カイロ公爵家による徹底的な情報統制のお陰である。
内外から攻められては、取った後の統治に影響が出ると説得されては、レーニン・ガロリングも受け入れるしかなかったのである。
その旗頭に立ったのは。
「皆様、亡き夫ロルフの意思を継ぐべくこれだけたくさんの人たちに集まってもらえた事、感謝致します。我が息子、サブローは、奴隷制の撤廃だけでなく階級制の撤廃も視野に入れた動きをしています。その最たるがロルフのことを支援してくれていたグラン商会を含む商会の取り潰し、ロルフが敬遠していたマルケス商会との契約。これは、御用商人をサブローの都合の良いように変えただけのことです。貴方たちもこのまま行けば、取り潰され、その身分はサブローの周りの者たちに配分されるでしょう。それで良いのですか?私は嫌です。ロルフに恩を感じているのなら共に立ちなさい!このマーガレット・ハインリッヒが旗頭となりましょう!」
うおおおおおおおおおと雄叫びのような声が上がり、皆が口を揃えて、サブローを許すなサブローを殺せと。
その言葉を聞き、マーガレットは涙を堪えて、自分の果たすべき役割を演じている。
サブローのこれからの統治のために古い人間は排除されなければならない。
それは自分の役目なのだと。
マーガレットは、父から旗頭となるように言われた時に躊躇した。
それは、自分に息子と戦えと残酷な事だったからである。
マーガレットは、息子のことを大切に思っている。
だからこそ、亡き夫ロルフに砂をかけたのは、どうしてそんなことをするのと理解できなかった。
でも今は違う。
マーガレットは、サブローがあんなことをしたのは、こんなにめちゃくちゃにして、残していきやがって、尻拭いぐらいしてから行きやがれみたいなのが込められていたのだろうと。
ロルフが亡くなって、3ヶ月しかたっていないが街の様子は、前より明るくなったと感じていた。
グラン商会が牛耳っていた時より、マルケス商会になってからは、物価は安くなり、自由商売によって、農家も直販売という形で参入するものも出てきて、これがとにかく安くて美味しい。
いつの間にか街の人の顔からは笑みが溢れているのだ。
明らかにロルフが治めていた頃より豊かで幸せになっている。
それを戻そうとする父の行動は止めなければならない。
人が人らしく生きられる場所を作ろうとしている息子のためにそれが母として出来る最後のことだとマーガレットは、強く決意を固めた。
マーガレットの演説が終わり、呼び止めたまだ若い貴族の男性。
「マーガレット様、貴方がサブロー様と戦う道を選ぶとは、思いませんでしたよ」
「カイロ卿こそ。亡き父君の側で、見てきたことが間違っていると改革をされていたように感じましたが、どうして参加しているのです」
「強いて言うならガロリング卿を暴走させないためですかね。サブロー様と戦うにしても情報統制すらしないのは、タルカやナバルによる再侵攻を招きますから。こう見えて私は、サブロー様を高く買っているので」
「成程、父に私がサブローと協力していないか確認してこいと頼まれたのかしら?情報統制の必要がなかったのは、父はここをナバルの領主ドレッドに売り渡して、ナバル郡管轄のオダ郡主にしてもらうためよ。貴方が何を言っても情報統制に今は無かったようね。ナバル郡主ドレッドは、父と密約を交わしているわ」
マーガレットは、不気味な笑みを浮かべて、ここ数日で父からベラベラと聞かされたことをそれとなくルルーニに必要な情報を耳元で与えてやった。
ルルーニはそれで全てを察した。
この人もまたこのオダ郡を守ろうとしている。
そして、それが成せるのは自分と同じくサブロー・ハインリッヒを置いて他にいないと。
その露払いをしようとしているのだと。
自分にはレーニン・ガロリングの暴走を止めることしかできなかった。
だがこの人は、息子のために全て墓場へと持っていくつもりなのだと。
一瞬だけ目を瞑ったルルーニは、マーガレットの心情を慮る言葉を他の貴族が不審に思わないように投げかける。
「成程、母としての覚悟ですか。辛く険しい道を選びましたね。微力ながら成就するようにお力添え致します」
「ありがとう。頼りにしているわカイロ卿」
他の貴族が不審に思わない言葉で締めくくった2人の握手を見て、レーニンは疑っていたルルーニもこちらに付いたと安堵する。
こうして、ガロリング公爵家を中心とした反サブロー連盟が発足された。
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