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1章 第六天魔王、異世界に降り立つ
21話 ハザマオカの戦い(前編)
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ハザマオカを登ろうとしている1800人を率いる指揮官は、千人将のバッカ・マルダシであり、髭もじゃのマッシュが将軍であることをよく思っていない男であり、デイルに簡単に買収された。
「オラオラ、臆病なキノッコ将軍より、俺のが優秀であることを見せつけてやるぜ!こんな丘、すぐに制圧したるわ」
バッカの背を追うマッシュ。
「待て、マルダシ。突出してはならん」
「臆病者の言うことなんて聞かねぇつぅんだよ」
マッシュの言葉を意に介さずズンズン突き進むバッカに先行する兵士が分かれ道にぶち当たりどちらに進むか尋ねる。
「マルダシ千人将、分かれ道です!」
「へぇ、簡単には登らせねぇってか。兵を半分に分けて進ませろ!」
「馬鹿な!?皆、聞いてはならん!兵を数十人で様子を見るんだ」
「おいおい。キノッコ将軍、マジかよ。そんな臆病な方法、誰が聞くってんだ。こんなの勢いでどうにかなるんだよ。俺たちは向こうの何倍も兵がいるんだからよ!」
「兵が何倍いようとも慎重にならねば足元を掬われるぞバッカ」
バッカの周りの兵士たちが臆病風に吹かれ慎重にと言うマッシュのことを笑う。
「テメェのが階級が上でもよ。今この場では、俺の方が兵を多く持ってんだ。お前の話なんて聞く奴いねぇから」
ここでマッシュの言のようなことをしてくれていたらサブローとしては、早くも奥の手を出さざる終えなかったはずである。しかし、侵攻軍は愚策にも兵を半分に分けた。これを好機と捉えて、すぐさま指示を飛ばすサブロー。
「マリー!」
「はい。計画通り魔法にて、ナバル郡の兵を全滅ですね?」
「いや、作戦変更である。マリーは待機。ヤス、タンザク、ロー爺!それぞれ右・中央・左の櫓に登り、罠に嵌った愚か者共に矢を浴びせてやるのだ!」
「承知しました若様」
「若もえげつないことを考えなさる。承知した」
「サブロー様の命とあれば従います!」
「坊ちゃんの言う通り、罠に嵌るとは」
上からマリー、ロー、ヤス、タンダザークの順に頷き行動を開始する。900人の兵が窪地に入ったところで、岩を落とす。
「時は今ぞ!右の岩を落とせ!」
サブローの言葉に、兵が数人がかりで岩を押して落とす。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ、ここに居たら踏み潰されるぞ。奥に奥に行け」
岩が落ちてきて混乱した兵たちは、我れ先に、窪地の奥へと入っていき、誰にも被害が無かったことで笑い出す。
「ハハハ。アイツら馬鹿だぜ。誰も岩で踏み潰せてねぇんだからよ」
そこら中でワハハと笑っているところに四方八方から弓が降り注ぎパニックに陥り、その場から逃げ出そうと忙しなく動くが逃げ道であった場所は岩で塞がれ、900人もの人で溢れて、逃げ道がどこにもないことも重なりさらにパニックに陥る。
「おい待てよ。まだ死にたくねぇよ。お前、そこどけよ!」
「ふざけんな。テメェがどけよ!」
ついには、こんな風に味方同士で争いだす始末である。そんな中、死んだ味方を盾にし、矢から身を守るものも現れる。それを見たサブローが感心する。
「ほぉ。流石に全滅は厳しいか。時をかけたことにより立ち直った何人かが死体を盾にやり過ごしているな。このままでは、矢の無駄撃ちとなるな。ヤス、撃ち方やめーい」
「はっサブロー様!」
「8割は仕留められたか。マリーよ。残りを頼む」
「かしこまりました。窪地の土を魔法で底なし沼に変え、土の中に引き摺り込みます」
「魔法が使ったことがバレぬようにあくまで自然にな」
「若様、心得ております」
マリーは、地面を触ると次の瞬間には、土がとても柔らかくなり死体の懐に入り寝そべっていた兵たちの身体が土の中へと沈んでいく。
「なっなんだよ。これ、せっかく矢から逃れられたのに、まだ死にたくねぇよ」
そんなことを叫びながら次々にゴボッゴホボッと土の中へと沈みやがて生きたままたちの中へと埋まり絶命する。矢を受けても立ったまま絶命していた者も、体の半分が埋まっていた。サブローは、自軍の被害を出さずに900人もの兵士を葬ったのである。これに驚愕するマッシュ。
「まさか、落石で実害を出すのではなく。それを布石に、9百もの兵を一瞬で葬り去るとは、これで模擬戦をやろうとしていたなど有り得ぬ。これは明らかに侵攻を考えてのものだ。だがこれでマルダシも少しは冷静に」
マッシュの思惑と違いバッカの考えが変わるわけがなかった。バッカは、金と権力にがめつく、デイルよりこの戦の後はタルカ郡の将軍に取り立ててもらうことと報酬は生き残った人間で死んだ人間の分も割ることとなっていた。
「おい、何だよ。下に行った奴ら全滅かよ。取り分が増えてラッキーだぜ。オメェら、俺たちの取り分が2倍になったぞ!」
「ウッホーイ。流石、バッカ様だぜ。ってまた分かれ道ですぜ」
「じゃあ、また兵を半分に分けるぞ」
この言葉を聞き、マッシュが制止する。
「待つのだバッカ!さっきのを見ていなかったのか!我らの真下で、罠に嵌った兵が命を落としたのだぞ!もう少し慎重にするのだ!」
マッシュの最もな言葉にバッカが開き直って反論する。
「あーウッセェな。もう良いか。キノッコさんよぉ。俺たちはさ。もうナバル郡の兵じゃ無いんだよ。テメェの言うことなんて、聞く筋合いはねぇんだよ。そもそも、1番上まで登りきれば良いんだよ。8歳のガキを殺すなんてわけねぇんだからよ」
「馬鹿な!ナバル郡を裏切ると?」
「ベアの野郎はよぉ。俺の実力をわかってねぇんだ。要は戦なんてどれだけ被害出そうが最後に勝てば良いんだよぉ。それをよ。テメェは、被害を軽微に軽微にってウルセェんだよ!失せろクズが」
「ぐっ。どうなっても知らんぞ!」
「ヘイヘイ。オラ、お前ら兵を半分に分けて、俺たちはまた上だ」
バッカはまたしても兵を半分に分ける。これを見て、サブローは、策通りに敵が進んでくれて、笑みを浮かべるのだった。
「オラオラ、臆病なキノッコ将軍より、俺のが優秀であることを見せつけてやるぜ!こんな丘、すぐに制圧したるわ」
バッカの背を追うマッシュ。
「待て、マルダシ。突出してはならん」
「臆病者の言うことなんて聞かねぇつぅんだよ」
マッシュの言葉を意に介さずズンズン突き進むバッカに先行する兵士が分かれ道にぶち当たりどちらに進むか尋ねる。
「マルダシ千人将、分かれ道です!」
「へぇ、簡単には登らせねぇってか。兵を半分に分けて進ませろ!」
「馬鹿な!?皆、聞いてはならん!兵を数十人で様子を見るんだ」
「おいおい。キノッコ将軍、マジかよ。そんな臆病な方法、誰が聞くってんだ。こんなの勢いでどうにかなるんだよ。俺たちは向こうの何倍も兵がいるんだからよ!」
「兵が何倍いようとも慎重にならねば足元を掬われるぞバッカ」
バッカの周りの兵士たちが臆病風に吹かれ慎重にと言うマッシュのことを笑う。
「テメェのが階級が上でもよ。今この場では、俺の方が兵を多く持ってんだ。お前の話なんて聞く奴いねぇから」
ここでマッシュの言のようなことをしてくれていたらサブローとしては、早くも奥の手を出さざる終えなかったはずである。しかし、侵攻軍は愚策にも兵を半分に分けた。これを好機と捉えて、すぐさま指示を飛ばすサブロー。
「マリー!」
「はい。計画通り魔法にて、ナバル郡の兵を全滅ですね?」
「いや、作戦変更である。マリーは待機。ヤス、タンザク、ロー爺!それぞれ右・中央・左の櫓に登り、罠に嵌った愚か者共に矢を浴びせてやるのだ!」
「承知しました若様」
「若もえげつないことを考えなさる。承知した」
「サブロー様の命とあれば従います!」
「坊ちゃんの言う通り、罠に嵌るとは」
上からマリー、ロー、ヤス、タンダザークの順に頷き行動を開始する。900人の兵が窪地に入ったところで、岩を落とす。
「時は今ぞ!右の岩を落とせ!」
サブローの言葉に、兵が数人がかりで岩を押して落とす。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ、ここに居たら踏み潰されるぞ。奥に奥に行け」
岩が落ちてきて混乱した兵たちは、我れ先に、窪地の奥へと入っていき、誰にも被害が無かったことで笑い出す。
「ハハハ。アイツら馬鹿だぜ。誰も岩で踏み潰せてねぇんだからよ」
そこら中でワハハと笑っているところに四方八方から弓が降り注ぎパニックに陥り、その場から逃げ出そうと忙しなく動くが逃げ道であった場所は岩で塞がれ、900人もの人で溢れて、逃げ道がどこにもないことも重なりさらにパニックに陥る。
「おい待てよ。まだ死にたくねぇよ。お前、そこどけよ!」
「ふざけんな。テメェがどけよ!」
ついには、こんな風に味方同士で争いだす始末である。そんな中、死んだ味方を盾にし、矢から身を守るものも現れる。それを見たサブローが感心する。
「ほぉ。流石に全滅は厳しいか。時をかけたことにより立ち直った何人かが死体を盾にやり過ごしているな。このままでは、矢の無駄撃ちとなるな。ヤス、撃ち方やめーい」
「はっサブロー様!」
「8割は仕留められたか。マリーよ。残りを頼む」
「かしこまりました。窪地の土を魔法で底なし沼に変え、土の中に引き摺り込みます」
「魔法が使ったことがバレぬようにあくまで自然にな」
「若様、心得ております」
マリーは、地面を触ると次の瞬間には、土がとても柔らかくなり死体の懐に入り寝そべっていた兵たちの身体が土の中へと沈んでいく。
「なっなんだよ。これ、せっかく矢から逃れられたのに、まだ死にたくねぇよ」
そんなことを叫びながら次々にゴボッゴホボッと土の中へと沈みやがて生きたままたちの中へと埋まり絶命する。矢を受けても立ったまま絶命していた者も、体の半分が埋まっていた。サブローは、自軍の被害を出さずに900人もの兵士を葬ったのである。これに驚愕するマッシュ。
「まさか、落石で実害を出すのではなく。それを布石に、9百もの兵を一瞬で葬り去るとは、これで模擬戦をやろうとしていたなど有り得ぬ。これは明らかに侵攻を考えてのものだ。だがこれでマルダシも少しは冷静に」
マッシュの思惑と違いバッカの考えが変わるわけがなかった。バッカは、金と権力にがめつく、デイルよりこの戦の後はタルカ郡の将軍に取り立ててもらうことと報酬は生き残った人間で死んだ人間の分も割ることとなっていた。
「おい、何だよ。下に行った奴ら全滅かよ。取り分が増えてラッキーだぜ。オメェら、俺たちの取り分が2倍になったぞ!」
「ウッホーイ。流石、バッカ様だぜ。ってまた分かれ道ですぜ」
「じゃあ、また兵を半分に分けるぞ」
この言葉を聞き、マッシュが制止する。
「待つのだバッカ!さっきのを見ていなかったのか!我らの真下で、罠に嵌った兵が命を落としたのだぞ!もう少し慎重にするのだ!」
マッシュの最もな言葉にバッカが開き直って反論する。
「あーウッセェな。もう良いか。キノッコさんよぉ。俺たちはさ。もうナバル郡の兵じゃ無いんだよ。テメェの言うことなんて、聞く筋合いはねぇんだよ。そもそも、1番上まで登りきれば良いんだよ。8歳のガキを殺すなんてわけねぇんだからよ」
「馬鹿な!ナバル郡を裏切ると?」
「ベアの野郎はよぉ。俺の実力をわかってねぇんだ。要は戦なんてどれだけ被害出そうが最後に勝てば良いんだよぉ。それをよ。テメェは、被害を軽微に軽微にってウルセェんだよ!失せろクズが」
「ぐっ。どうなっても知らんぞ!」
「ヘイヘイ。オラ、お前ら兵を半分に分けて、俺たちはまた上だ」
バッカはまたしても兵を半分に分ける。これを見て、サブローは、策通りに敵が進んでくれて、笑みを浮かべるのだった。
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