えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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5章 天下統一

攻められる高定

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 益州郡へと帰って間も無く、雍闓の元に高定の兵が密告しに来た。

 雍闓「あっ?何だとテメェ!もういっぺん、言ってみやがれ!」

 朱褒「そう脅しつけては、話したくても話せないであろう。先程の話は真か?」

 高定の兵「はい。高定は、あろう事か劉璋様への恩を忘れ、蛮族と通じ、密かに益州郡への侵攻を考えておられます。俺たちは納得できずこうしてこちらに参ったのです。雍闓様・朱褒様、我らも共に戦わせてください」

 雍闓「やっぱり信用ならねぇ奴だと思ってたんだ!密かに通じてたとしたらよぉ。使者として赴いた時だろうよぉどうせ。クソが」

 朱褒「雍闓よ。怒りはわかるが。今は堪えよ。高定の監視を緩めたのが不味かったか」

 雍闓「朱褒の旦那の作戦だったとしてもよ。あんな風に肩を持たずに、とっととアイツの領土を奪っていれば良かったんだ!」

 朱褒「うむ。今回ばかりは、雍闓。お前の言う通りだな。すまん」

 雍闓「そんな朱褒の旦那が頭を下げることじゃねぇよ。それにしても高定のクソ野郎だ。どうするよ?」

 朱褒「無論、放置すればどんどんこちらが不利になるだけだろう。劉備が動いていない今の間に急襲して、越巂郡を取り、永昌郡を牛耳る南蛮どもを孤立させるしかなかろう」

 雍闓「そんな回りくどいことしなくてもよ。高定のクソ野郎の後に南蛮もやっちまえば良いだろう朱褒の旦那」

 朱褒「高定の言葉を疑うわけではないが、南蛮と3年の停戦を結んだと言っていた。なら、我らが南蛮を攻めれば、劉備と挟み撃ちにされるのがわかりきっている。自ら首を締める必要は無かろうて」

 雍闓「朱褒の旦那がそう言うなら」

 こうして先手を打つことに成功した朱褒・雍闓により、取り囲まれた高定。

 高定「まさか。密告する者が出るとは、泥舟に乗るなど何を考えているのか」

 鄂煥「この越巂郡と益州郡は特に劉璋様の影響力が多い土地ですから、敵討ちと言われれば、そちらに流れるのも仕方ないかと」

 高定「そうかもしれんが。劉璋様の御子息は劉備に重用されているのだ。どうして、それを討とうとしていることに気付かない」

 鄂煥「しかし、劉循様も大変な道を選びましたな。南は、劉璋様に恩を感じるものが多く、北は劉璋様に恨みを持つものが多い。その北側の支配を益州都督として、一任されているのですから」

 高定「それも劉備の狙いだろう。敢えて、劉循様に統治を任せることで寛大であることを示し、手柄を取らせ、今後の統治を滞りなくするためのな。劉備は劉璋様の娘を側室に迎え入れた。劉循様は、劉備にとって義理の弟となった。そうすることで、劉循様への不満を公に言えないようにもしている。全く抜かりのないことだ」

 鄂煥「しかし、高定様もぶれませんな。あくまで劉備様ではなく劉循様に仕えると」

 高定「当然だ。劉備が益州の統治を劉璋様の御子息に委ねず荊州に幽閉することを考えていたら迷わず反乱に乗っていた」

 鄂煥「そこは、南蛮王と同じのようですな。南蛮王もあくまで姫様と呼んでいる人物に仕えているようでした」

 高定「あの戦いでも勇猛果敢そうに見えた南蛮王が姫様などと呼ぶということは女に仕えているとはな」

 鄂煥「南蛮王の様子から見ても相当な武人かと」

 高定「そのような人物が劉備軍にいるとしたら思い当たるのは」

 鄂煥「趙雲殿の嫁の1人ですか?」

 高定「あぁ。確か樊玉鳳とかいう女将軍だ」

 鄂煥「しっくりきませんな。確かに強いと聞きますが、あの南蛮王が恐れるほどではない気が」

 高定「まぁ、そんなことはどうでも良い。今はこの囲まれている状況をどうするかだ」

 鄂煥「ですな」

 その頃、永昌郡の雲南では。

 孟獲「ハックション」

 祝融「アンタ、風邪かい?」

 孟獲「かぁちゃんに心配されるのは、嬉しいけどよ。鼻がムズムズしただけのこと」

 槃李杏「南蛮王から話があるって聞いたから来たわよ」

 孟獲「うおっ。姫様、一体どこから」

 祝融「アンタ、何言ってんだい!さっき、訪ねてきただろう」

 孟獲「あっあぁ。そうだったな。姫様、反乱軍の高定って奴が俺と同じで劉備じゃなくて、別の人物に仕えることを条件に寝返りを打診してきやがったから、一応姫様に報告入れとこうと思ってよ。益州には、姫様が世話になってる人の旦那が来るんだよな?」

 槃李杏「えぇ、そうなの。うちの旦那も従軍するし、董白姐様も行くみたいだから護衛として私も」

 孟獲「ブッ」

 祝融「アンタ、何動揺して、お茶を吹き出してんだい!汚いねぇ」

 孟獲「かぁちゃん、すまねぇ。姫様が護衛だなんて言うから。だって過剰すぎるだろ。10000人の兵士を1人で叩きのめした化け物」

 槃李杏「あら。孟獲が化け物だなんて、どんな人かしら?」

 孟獲「いや。その。目の前に」

 槃李杏「誰のことかしら?」

 孟獲「誰のことですかね」

 槃李杏「宜しい。で、その人は誰に仕えるって話なの?」

 孟獲「劉璋の息子の劉循って奴らしい」

 槃李杏「了解。敵が減るのは好都合よ。受け入れは許可するわ。孟獲、それにしても何勝手に反乱軍と3年の停戦を結んでいるのかしら。ちゃっかり関わらない位置に行こうとしたでしょ!」

 孟獲「嫌だなぁ。家族を守るための決断をしただけですよ。姫様が来るなら一緒に戦いたかったなぁ。残念だなぁ」

 槃李杏「あら、そうなの。そんなに一緒に戦いたいなら仕方ないわね。孟獲、停戦を結んだ時は、個人よね?」

 孟獲「あっ!」

 槃李杏「えぇ、よくやったわ。流石ね。劉備様への従属を表明しなさい!良いわね!」

 祝融「アンタ。こりゃ一本取られたわね。アハハ」

 孟獲「姫様、そりゃあんまりでは?」

 槃李杏「何、なんか言った?」

 孟獲「いえ。委細、承知しました」

 槃李杏「表明の時期は、朱褒たちが動いてからね」

 孟獲「はい」

 槃李杏「じゃあ、宜しく~」

 槃李杏は風のように去っていく。

 孟獲「はぁ。姫様は、礼儀を学んでるんだよな?かぁちゃん」

 祝融「アンタ。何言ってんだい。姫様は姫様さ。アタシらはどこまで行こうが姫様の兵士さ」

 孟獲「まぁ姫様が出て、負けるわけねぇか。仕方ねぇ。兀突骨と木鹿たちを召集かけて、朱褒たちが包囲から攻勢に移って、手薄となった益州郡を急襲してやるとするか」

 祝融「それでこそアンタさ」

 こうして、その時を待ち準備を進める孟獲。良くも悪くも蛮夷の一つである南蛮の王である孟獲は、蛮夷の姫であり、頂点である槃瓠族には逆らえないのである。
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