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4章 三国鼎立

何度だって、、、、

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 董白たちが出て行った後、義賢は今度は焼死を試した。家を丸ごと焼き、死んだのだ。だが、戻ったのは、董白たちが出て行った直後だった。
 義賢「なんで、時がさっきより進んでんだよ。おかしいだろう。なんで、なんでお前を助けてやれないんだよ。黝廉、うっうぅ。もうお前を助けることは無理なのか」
 水死・圧死など試されるものは全部試した。しかし、時は董白たちが出て行った前には戻らない。
 義賢「なんでなんだよ。この能力は最強じゃねぇのかよ。なんでだよ。なんで、戻れねぇんだよ。説明してくれよ。俺に説明してくれよ」
 ???「やれやれ、そう何度も死んでも時は戻らぬよ」
 義賢「誰だよ。って左慈の爺さんかよ」
 左慈「言葉遣いまで悪くなっておるぞ。力に驕れるものは力に泣く、お前さんは于吉の何を見ておったのじゃ」
 義賢「左慈の爺さんは、今の俺が于吉のようだと言いたいのか?」
 左慈「うむ。力に驕れたものの末路に見えるのぅ」
 義賢「そうかよ」
 左慈「無くなったものに目を向けてないで、今あるものに目を向けよ」
 義賢「今、あるもの?何もねぇよ」
 左慈「見たくないだけであろう。お主の行いの全てが今に繋がっておる。黝廉の死を無駄にするでないぞ」
 義賢「俺が黝廉の死を無駄にしてるだと。俺はアイツを助けるために」
 左慈「そもそも、お前さんは今までの時の戻り方の共通点にすら気付いておらぬようじゃの」
 義賢「さっきから左慈の爺さんは何が言いたいんだ?」
 左慈「自分で答えを見つけよ。小生が言えるのは、それだけじゃ。それとな。今日はお前さんにお別れを言いに来た。今日、南華仙人の愛弟子張角と共に于吉を完全にこの世から消して来た。もう、アヤツが悪さをすることはできまい。小生の役目も終わりということじゃ」
 義賢「そうかよ。アイツ、まだ死んでなかったのかよ。で、于吉が死んだところでなんだってんだ」
 左慈「そんな状態で時を過ごしておっては、お前さんがこの先、劉玄徳を救うことなどできはしないであろうよ」
 義賢「どういうことだ左慈!」
 しかし義賢の言葉は空に向かって放たれただけで返ってくることはなかった。
 義賢「俺が兄上を救えない?もう救う必要なんてある訳ないじゃないか。8年も早く諸葛孔明を迎え入れたんだぞ。それに今や領土は徐州・揚州北部・荊州北部と広大になった。それに王佐の才と呼ばれた荀彧までいるのだ。俺に最早居場所があるわけがないだろう。民に降格されて当然。俺には軍師なんて職業、所詮身の丈に合わない仕事だったんだからな」
 しかし、この日から左慈の言葉が引っかかった義賢は、最低限の生活をするべく畑を耕し始め、ぼーっとしていた状態から一歩ずつ確実に前進しているようだった。さらに半年が経過し、黝廉が亡くなって1年が経った頃。そんな義賢の元に士仁・張達・范疆・麋芳の4人が訪ねてきたのだった。
 士仁「劉丁様は居られるか?」
 義賢「お前は士仁!何をしに来た?」
 士仁「方士様より、頼まれごとをしていたものでこちらを」
 張達が連れてきた馬はどことなく黝廉に似ていた。
 張達「劉丁様に元気になってもらおうと似た馬を探したんだけどよ。こんなのしか見つけられなかった。調達の張達の異名が泣いちまうよな」
 范疆「オラ、たくさん馬の声、練習しただ。呼んで呼んで呼びまくっただ。そん中から劉丁様の馬を知ってる士仁が選んだだ」
 麋芳「ヒィー、范疆、あんな悍ましい光景を思い出させないでくれ。捕まえるのにどれだけ苦労したか」
 義賢「お前たち(俺はコイツらのことを誤解していた。雲長や翼徳を殺したやつだと恨んでいた。この世界では、まだ何も起こってすらいないのに、そうか俺は今まで史実の歴史に引っ張られ過ぎていた。この状態で赤壁が起こるのか?かつてない兄上の危機とは?俺が民に堕とされたからと胡座をかいていて良いのか?違う。断じて違う。俺が黝廉の死を無駄にしている、か。左慈の爺さんは、的を得たことを言っていたようだ)感謝する」
 士仁「俺たちにそんな頭を下げないでください劉丁様」
 義賢「お前たち、左慈方士は帰ったと聞いたが行くところはあるのか?」
 麋芳「俺と士仁の奴は劉備様から関羽様の元に行けと」
 張達「俺は范疆と共に張飛様のところに行けだとさ」
 義賢「そうか。ならお前たち4人。俺の元で働かないか?」
 士仁「劉丁様、何を?」
 義賢「俺は決めた。民からもう一度、成り上がる。今度は、軍師ではなく兄上を武で支える将軍だ」
 麋芳「大きく出やがった。ってそれまた危険な目に遭うじゃねぇか」
 義賢「麋芳、お前ヒィーヒィーっと常に怯えているが生き残っているんだぞ。それも才能だろう」
 麋芳「それ、ほめてねぇよ」
 義賢「范疆、お前のその大きな声は、味方を鼓舞するのにも敵を誘導するのにも役立つ。磨けば光る。雲長にお前を使いこなすことなどできない」
 范疆「オラ、劉丁様の元で働けるだか?」
 義賢「お前さえ良ければな」
 范疆「オラ、この4人で劉丁様と働きたいだ」
 張達「でもよ。今の劉丁様は民の身分だ。そんな権限はねぇよ」
 義賢「権限など要らん。勿論、お前たちの身分も相当下がる。なんたって俺の私兵になるんだからな」
 張達「おいおい、待ってくれよ。それ、楽しそうじゃねぇか」
 義賢「張達、お前のその調達の力、優秀だ。集められないものはないと言っていたのも頷ける。でも、翼徳は優しくねぇぞ。法外な数を1日で用意してこいと平気でいう奴だからな」
 張達「そりゃ。流石に俺でも無理だな」
 義賢「だろ。ハッハッハ。俺ならお前たちのどんな愚痴でも聞いてやる。俺のことを想って、この新しい馬、いや黝廉を連れてきてくれたことに感謝して、な。でだ、黝廉を連れてくるのにどんな苦労があったんだ?聞かせてくれよ士仁・麋芳・范疆・張達」
 士仁「えぇ、ですがその前に劉丁様にはやらなければならないことがもう一つお有りなのでは?」
 義賢「そうだな。董白の奴に謝って連れ戻してくる。その前にお前たちのことを俺が貰い受けることも兄上に報告しないとな」
 麋芳「貰い受けるって俺たちはお前の嫁じゃねぇぞー」
 范疆「オラ、頑張るだ」
 張達「何をだよ范疆」
 皆が笑う。そして、立ち直った義賢は、襄陽城へと向かうのだった。
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