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1章 黄巾の乱

故郷の村での一時

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 故郷の楼桑村へ戻る劉備一向。村民たちが暖かく劉備を迎えてくれた。
 村男「よくやってくれた」
 村娘「これでもう黄巾に怯えなくて済むのね」
 子供「劉備様バンザーイ」
 劉備「皆の者よ。そう褒めんでくれぬか」
 暖かい声援を背後に受けながらそれぞれが一路家に戻る。
 母上「よくやってくれましたね。備、丁」
 劉備「母上、ただいま戻りました」
 義賢「この度兄上が安熹県の県令に任命されました」
 母上「県令に!?勤めをきちんと果たして天子様に尽くすのですよ」
 劉備「はい母上」
 劉備と義賢は、家を後にする。
 義賢「兄上、俺は舞に会ってきますね」
 劉備「あぁ、行っておいで」
 義賢「では、失礼します」
 田豫の家での一幕。
 田豫の母「豫や、お帰り」
 田豫「母上。歩いて大丈夫なのですか?」
 田豫の母「先程訪れてくれた御方がね。薬をくださったのよ。それはそれは良く効いてね。歩けるようになったのよ」
 田豫「すぐにその御方に御礼せねば、どちらの人でしたか?」
 田豫の母「確か張なんとかさんだったかしらアレっ宝なんとかさんだったかしら。とても綺麗な人だったわよ。南を目指して旅に出ると言ってらしたわ。この村にはある人に頼まれて訪れたそうよ。その人の故郷の村を一度見ておきたかったんですって」
 田豫「なんと御礼を言えなくなったのは残念だ」
 田豫の母「どうして御礼を言えないの?玄徳ちゃんに付いて行くんでしょ」
 田豫「母上を置いて行けるものか」
 田豫の母「まぁまぁ、この子ったらとんだマザコンね。今ね村のみんなの中でも玄徳ちゃんについて行きたいって人多いのよ。私も立候補しようかしら。病気も治ったし、まだまだ捨てたもんじゃ無いでしょ」
 田豫「ハハハ。母上には敵いませんな。わかりました。我が生涯をかけて、玄徳を守ると誓いましょう。ですから母上も年相応の恋愛にしてくだされ。若い玄徳に母上では」
 田豫の母「まぁ言うようになったわね。でも豫が決心してくれて良かったわ。私のせいで仕えるべき主君を見誤らなくて」
 田豫「御心配をおかけしました」
 田豫の母「頑張ってくるのよ」
 田豫「はい」
 田豫はこの時、母を助けてくれた人がまさか張宝だとは夢にも思わなかった。何故、張宝がこの村に訪れていたのか。それは張宝が広宗を去る直前に義賢にある頼まれごとをしていたからだ。それが田豫の母の病を治すこと。大賢良師として数々の病を奇跡の力で治してきた張角の薬なら治せるかもしれないと考えたのだ。張宝は自分たちを救ってくれた劉義賢の頼みとは別にどのようなところで育ったのかに興味を抱き謎の女医としてこの村に訪れ、田豫の母を診察し適切な薬を渡してお代も貰わずに于吉を探して南へと立ち去ったのだ。
 簡雍は誰もいない家に帰る。暫くすると扉を叩く音が聞こえる。
 簡雍「どうぞ」
 豪商「劉備様のとこの政務官の簡雍様のお宅ですか?」
 簡雍「いかにも」
 豪商「村に黄巾が攻めてきた時に娘を救ってくださりありがとうございます。こちら少ないですが使っていただきたく」
 簡雍「そのようなことのために其方の娘を助けたのではない。恩を返すと言うのであれば、殿が困った時に手を差し伸べてやってほしい」
 豪商「このような商人に勿体無いお言葉ですがわかりました。必ずお助けするとお約束します」
 簡雍「うむ。よろしく頼む」
 豪商「はい」
 その後もひっきりなしに金持ちたちが訪れ、劉備に賄賂をとやってくる。
 簡雍「まったく、俺を通して殿に取り入ろうって魂胆が見え見えだねぇ。あんなのでも殿は受け入れちまうだろうからねぇ。今後もそばに居て、あぁいう輩から守ってやら無いとだねぇ」
 ???「父はそうではありませんことよ」
 簡雍「さっきの豪商の娘さんかいって、アンタは確か」
 ???「父は貴方に恩を返しにきましたのに軽くいなされてしまったと泣いておりましたわ。全く酷い殿方ですわね」
 簡雍「それはすまないことをしたねぇ。ところで何のようだい?」
 ???「お金の管理は私が致しますわ。貴方様は劉備様が悪どい金持ちに利用されないことにだけ注意してくださいませ」
 簡雍「こりゃあ。傑作だねぇ。アンタのその言い方はこのやさぐれ男の嫁になるとでも言ってるみたいだねぇ」
 ???「えぇ、そうですわ。一目惚れというやつですわ」
 簡雍「まぁお金の管理は苦手でねぇ。助けてもらえるなら嬉しいよお嬢ちゃん」
 ???「お嬢ちゃんじゃありませんことよ。レイという名前があるのですわ」
 簡雍「麗、こんなやさぐれ男の簡雍憲和に惚れる女なんて後にも先にもお前さんだけだ」
 麗「光栄ですわね。独り占めできるということでしょう」
 簡雍「全く、敵わないねぇ。こりゃあ」
 麗「ビシバシ、憲和様もお金も管理して差し上げますわ」
 簡雍「ハハハ。お手柔らかに頼みたいもんだねぇ」
 張り切る麗に終始押され気味の簡雍であった。
 張飛と関羽は最後の腕比をしていた。
 酒場の男「良いぞ。にぃちゃんやれやれ」
 酒場の女「アンタ何してんだい。そこで捻るんだよ」
 張飛「あぁ、うっせぇたらないぜ。兄者と最後の腕比なんだ。観客は歓迎だが黙ってみていてくれってんだ」
 関羽「まぁ良いではないか翼徳よ。娯楽のない村なのだ」
 張飛「かぁー涼しい顔しやがってよ」
 龔都たちが張飛側の観客をこれ以上立ち入れさせないようにガードし、周倉たちが関羽側の観客をこれ以上立ち入れさせないようにガードしていた。
 裴元紹「へへへ。皆さん観客は1Gですぜ」
 そんな中で裴元紹は小銭稼ぎに勤しんでいた。
 関羽「では、そろそろ終わりとしようぞ」
 張飛「ぐぬぬぬ。うわぁー」
 張飛の手が机にピッタリと付いてしまった。
 張飛「チクショー最後の最後まで兄者に一度も勝てなかったぜ。ったくよ」
 関羽「翼徳よ。某を倒すのは10年早かったようだな」
 張飛「勝ったら俺が兄者になるはずだったのになぁ」
 関羽「ハハハ。翼徳よ。これからも共に兄者を支えていこうぞ」
 張飛「おぅよ」
 各々が久々の故郷を楽しむ中。この2人には重苦しい空気が流れていた。
 舞「義賢、行くの?」
 義賢「あぁ、兄上をお支えするのが俺の役目だからな。でも叶うなら舞ついてきてからねぇか?」
 舞「今はまだ無理。義賢も私も一人前になれてないから。でも私も兄を探すための旅に出ようと思う。だから、きっとまた会える」
 義賢「そうか。舞にそばに居て叱咤激励して欲しかったが叶わないか。あっこれ武器のお金」
 舞「持ってて、次出会えた時に返せば良い。これから入用」
 義賢「わかったよ。舞、お前の好きな男の顔で中身別人にこんなこと言われるの癪だと思うけどさ。俺は舞のことを愛しているよ」
 舞「!?馬鹿。義賢はそんなストレートに言わない。お前は別人。興味ない」
 義賢「そうか、そうだよな。気をつけてな」
 舞「義賢もな」
 それぞれが中央広場に集まり、そして劉備が県令として赴任する中山国安熹県に向かう。
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