18 / 533
1章 黄巾の乱
黄巾の乱の収束
しおりを挟む
張角たちの偽物の首を持ち、朝廷軍本部何進の前に跪く劉備義勇軍の面々。
何進「面を上げよ。皇甫嵩から聞いたがお前たちが張角・張宝・張梁の首を取ったと言うことで間違いないか?」
劉備「はっ広宗の祭殿への裏道を偶然見つけそこから侵入して激戦の末討ち果たしました。そのせいでその言いにくいのですが原型を留めておらず」
何進「では、それが張角の首とは言い切れないだろう。そもそも義勇軍なぞに討ち取れる訳なかろう。こやつらを摘み出せ」
義賢「お待ちください。これが張角の首ではないと?確かにそうかもしれませんね。ですが黄巾軍は張角様が討ち取られたと離散した。この首を討ち取ったのが義勇軍ということが納得できないのなら。この首を何進様に差し上げます。そもそも我々は手柄欲しさに討ち取ったのではありません。天子様の憂いを少しでも軽くするために義勇兵として立ち上がったのです。このような首必要ありませぬ」
義賢は何進のところに雑に生首を放り投げた。
何進「何をするのだ貴様。死にたいのか。誰かこの狼藉者を殺せ」
袁紹「お待ちください」
何進の耳元で袁紹がゴニョゴニョと何かを耳打ちする。
何進「ゴホン、取り乱してすまなかった。この首は朱儁・皇甫嵩・袁紹が討ち取ったということで間違いないな」
義賢は何進の言葉に何かを察した。
義賢「えぇ、その通りです」
何進「それをわざわざ運んできてくれた者たちに失礼な態度を取ったすまぬ。仕方あるまい首が原型を留めていないことなど激戦となれば良くあることだ。ここまで拾って持ってきてくれたこと感謝する。下がって良いぞ」
劉備「それでは失礼致します」
義賢「失礼致します」
劉備と義賢は深々と頭を下げ、その場を後にする。
何進「これで良いのか袁紹よ」
袁紹「えぇ、事実張角が討ち取られたと騒いで黄巾軍が瓦解したのは事実です。それを何進様お抱えの朱儁様と皇甫嵩様、それに俺が討ったことにしておけば、何進様の栄光はより高まるでしょう」
何進「ククク。袁紹よ。良き策だ。それに天子様を操ろうと動いておる宦官共の動きも活発化してきておるようだ。早く事が片付いて良かったと考えるべきだな」
袁紹「えぇ」
義賢と劉備が外に出ると曹操に出会う。
曹操「ご活躍だったようだな劉備殿」
劉備「曹操殿。私には恐れ多い事です」
曹操「謙遜なぞせずとも良いだろう。いずれ2人で語らいたいものだな。では急いでいるのでこれにてすまぬ」
劉備「はっ。曹操殿もお元気で」
劉備が自分の陣幕に戻るとどっと疲れが出たのか椅子に倒れ込むようにして座った。
義賢「兄上!?」
劉備「全く生きた心地がしなかった。義賢が何進様に啖呵を切るとは」
張飛「ハッハッハ。全く見ものだったぜ。何進の顔ったら真っ赤っかなんだからよ。ハッハッハ」
関羽「翼徳、よさぬか。誰が聞いているかわかったものではないぞ」
太史慈「でもこれにて黄巾の乱は無事に収束したようですな。俺も首級を2つもあげれて満足です」
華雄「俺もこの戦いには参加できんだろうと諦めていたが良い経験をした。お前たちとは敵として会いたくはないものだ」
太史慈は、突撃してきた呉桓・呉覇の兄弟を討ち取ったのだ。華雄は、彭脱・馬相・陳敗・陳宝という4人を討ち取る大活躍だった。
義賢「お2人には感謝しかありません。縁があったらまたお会いしましょう」
華雄「うむ。そうだな。割と居心地は悪くなかった」
太史慈「孔融様をお助けしていただいた恩を返しただけです。お気になさらず」
去ろうとする2人にに義賢は手紙を渡した。
華雄・太史慈「これは?」
義賢「帰る道すがらお読みください。いつか必要になる時があると思いしたためたものです。信じていただければ幸いです」
2人は頷くと自分達の主君の元へ去っていった。
劉備「何を渡したんだい?」
義賢「内緒です。ですがあの2人の生死を左右する事です」
張飛「勿体ぶるんだな」
関羽「あの偉丈夫共が早々死ぬとは思えぬが」
ハハハ。1人の死には関羽殿がめちゃくちゃ絡んでるんだけどなんて口が裂けても言えない。今が184年だから7年後、その間に華雄殿は董卓殿に染まったって事だろう。それを防ぐ事ができれば華雄殿は良き武人として関羽殿と肩を並べる未来があるかもしれない。というかそういう未来のために手紙を渡したんだけどね。
伝令「すいません、劉備殿でしょうか?」
劉備「私が劉備ですがどうされましたか?」
伝令「良かった。まだここを立っていなかったのですね。何進様より。劉備を中山国安熹県の県令に任命するとのことです。現地にすぐ向かわれたし」
劉備「私に県令ですか?」
伝令「えぇ、では伝えましたからね。失礼します」
義賢「兄上を県令にする。口止めでしょうね」
劉備「口止めか。だが民のためになるのなら引き受けよう」
田豫「玄徳、母が心配だから俺は故郷に帰らせてもらう。すまない」
義賢「田豫殿、お待ちください。俺たちも一旦故郷に帰ります。すぐに行かないといけないわけではありますまい」
劉備「丁のいう通りだ。一度故郷に戻ろう。俺も母に会いたい」
簡雍「そうだねぇ。一旦みんなで帰るとしますかねぇ」
張飛「おぅよ」
関羽「うむ、異存ござらん」
この度正式に8人の配下を迎えることになった。龔都・何儀・黄邵・何曼・劉辟は、張飛殿と馬が合うらしく配下となった。張飛殿の風貌はどう見ても山賊だもんな(笑)周倉・廖化・裴元紹は、関羽殿の配下となった。義を重んじる関羽殿の元なら良き将となるだろう。義勇兵たちの顔も凄く穏やかだ。劉備義勇軍は、故郷を目指して進軍するのであった。
何進「面を上げよ。皇甫嵩から聞いたがお前たちが張角・張宝・張梁の首を取ったと言うことで間違いないか?」
劉備「はっ広宗の祭殿への裏道を偶然見つけそこから侵入して激戦の末討ち果たしました。そのせいでその言いにくいのですが原型を留めておらず」
何進「では、それが張角の首とは言い切れないだろう。そもそも義勇軍なぞに討ち取れる訳なかろう。こやつらを摘み出せ」
義賢「お待ちください。これが張角の首ではないと?確かにそうかもしれませんね。ですが黄巾軍は張角様が討ち取られたと離散した。この首を討ち取ったのが義勇軍ということが納得できないのなら。この首を何進様に差し上げます。そもそも我々は手柄欲しさに討ち取ったのではありません。天子様の憂いを少しでも軽くするために義勇兵として立ち上がったのです。このような首必要ありませぬ」
義賢は何進のところに雑に生首を放り投げた。
何進「何をするのだ貴様。死にたいのか。誰かこの狼藉者を殺せ」
袁紹「お待ちください」
何進の耳元で袁紹がゴニョゴニョと何かを耳打ちする。
何進「ゴホン、取り乱してすまなかった。この首は朱儁・皇甫嵩・袁紹が討ち取ったということで間違いないな」
義賢は何進の言葉に何かを察した。
義賢「えぇ、その通りです」
何進「それをわざわざ運んできてくれた者たちに失礼な態度を取ったすまぬ。仕方あるまい首が原型を留めていないことなど激戦となれば良くあることだ。ここまで拾って持ってきてくれたこと感謝する。下がって良いぞ」
劉備「それでは失礼致します」
義賢「失礼致します」
劉備と義賢は深々と頭を下げ、その場を後にする。
何進「これで良いのか袁紹よ」
袁紹「えぇ、事実張角が討ち取られたと騒いで黄巾軍が瓦解したのは事実です。それを何進様お抱えの朱儁様と皇甫嵩様、それに俺が討ったことにしておけば、何進様の栄光はより高まるでしょう」
何進「ククク。袁紹よ。良き策だ。それに天子様を操ろうと動いておる宦官共の動きも活発化してきておるようだ。早く事が片付いて良かったと考えるべきだな」
袁紹「えぇ」
義賢と劉備が外に出ると曹操に出会う。
曹操「ご活躍だったようだな劉備殿」
劉備「曹操殿。私には恐れ多い事です」
曹操「謙遜なぞせずとも良いだろう。いずれ2人で語らいたいものだな。では急いでいるのでこれにてすまぬ」
劉備「はっ。曹操殿もお元気で」
劉備が自分の陣幕に戻るとどっと疲れが出たのか椅子に倒れ込むようにして座った。
義賢「兄上!?」
劉備「全く生きた心地がしなかった。義賢が何進様に啖呵を切るとは」
張飛「ハッハッハ。全く見ものだったぜ。何進の顔ったら真っ赤っかなんだからよ。ハッハッハ」
関羽「翼徳、よさぬか。誰が聞いているかわかったものではないぞ」
太史慈「でもこれにて黄巾の乱は無事に収束したようですな。俺も首級を2つもあげれて満足です」
華雄「俺もこの戦いには参加できんだろうと諦めていたが良い経験をした。お前たちとは敵として会いたくはないものだ」
太史慈は、突撃してきた呉桓・呉覇の兄弟を討ち取ったのだ。華雄は、彭脱・馬相・陳敗・陳宝という4人を討ち取る大活躍だった。
義賢「お2人には感謝しかありません。縁があったらまたお会いしましょう」
華雄「うむ。そうだな。割と居心地は悪くなかった」
太史慈「孔融様をお助けしていただいた恩を返しただけです。お気になさらず」
去ろうとする2人にに義賢は手紙を渡した。
華雄・太史慈「これは?」
義賢「帰る道すがらお読みください。いつか必要になる時があると思いしたためたものです。信じていただければ幸いです」
2人は頷くと自分達の主君の元へ去っていった。
劉備「何を渡したんだい?」
義賢「内緒です。ですがあの2人の生死を左右する事です」
張飛「勿体ぶるんだな」
関羽「あの偉丈夫共が早々死ぬとは思えぬが」
ハハハ。1人の死には関羽殿がめちゃくちゃ絡んでるんだけどなんて口が裂けても言えない。今が184年だから7年後、その間に華雄殿は董卓殿に染まったって事だろう。それを防ぐ事ができれば華雄殿は良き武人として関羽殿と肩を並べる未来があるかもしれない。というかそういう未来のために手紙を渡したんだけどね。
伝令「すいません、劉備殿でしょうか?」
劉備「私が劉備ですがどうされましたか?」
伝令「良かった。まだここを立っていなかったのですね。何進様より。劉備を中山国安熹県の県令に任命するとのことです。現地にすぐ向かわれたし」
劉備「私に県令ですか?」
伝令「えぇ、では伝えましたからね。失礼します」
義賢「兄上を県令にする。口止めでしょうね」
劉備「口止めか。だが民のためになるのなら引き受けよう」
田豫「玄徳、母が心配だから俺は故郷に帰らせてもらう。すまない」
義賢「田豫殿、お待ちください。俺たちも一旦故郷に帰ります。すぐに行かないといけないわけではありますまい」
劉備「丁のいう通りだ。一度故郷に戻ろう。俺も母に会いたい」
簡雍「そうだねぇ。一旦みんなで帰るとしますかねぇ」
張飛「おぅよ」
関羽「うむ、異存ござらん」
この度正式に8人の配下を迎えることになった。龔都・何儀・黄邵・何曼・劉辟は、張飛殿と馬が合うらしく配下となった。張飛殿の風貌はどう見ても山賊だもんな(笑)周倉・廖化・裴元紹は、関羽殿の配下となった。義を重んじる関羽殿の元なら良き将となるだろう。義勇兵たちの顔も凄く穏やかだ。劉備義勇軍は、故郷を目指して進軍するのであった。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。補足説明と登場人物の設定資料
揚惇命
SF
『えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。』という作品の世界観の説明補足と各勢力の登場人物の設定資料となります。
本編のネタバレを含むため本編を読んでからお読みください。
※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
戦艦大和、時空往復激闘戦記!(おーぷん2ちゃんねるSS出展)
俊也
SF
1945年4月、敗色濃厚の日本海軍戦艦、大和は残りわずかな艦隊と共に二度と還れぬ最後の決戦に赴く。
だが、その途上、謎の天変地異に巻き込まれ、大和一隻のみが遥かな未来、令和の日本へと転送されてしまい…。
また、おーぷん2ちゃんねるにいわゆるSS形式で投稿したものですので読みづらい面もあるかもですが、お付き合いいただけますと幸いです。
姉妹作「新訳零戦戦記」「信長2030」
共々宜しくお願い致しますm(_ _)m
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる