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番外2
森のお姫様
しおりを挟むつい先日、大好きだったおばあちゃんが老衰で亡くなった。
その時のおばあちゃんの顔はとても幸せそうに笑っていた。
最後の言葉、「シュウにやっと会える」が私にはわからなかった。
後でママに聞いたら、シュウとは私が生まれる前に亡くなっていたおじいちゃんのことだった。
おばあちゃんはおじいちゃんが大好きだったって。
そんなおばあちゃんが、私の幼いころによく子守唄代わりにこんな話をしていた。
ある森に住む、お姫様の話。
その森は実際にあるあの「聖魔の森」だ。
人間以外の生物が共生する不思議でとても危険な森。
その中心には精霊の王様がいて、聖樹と呼ばれるとても大きくて神聖な樹があるらしい。
そこにとても美しくまるで女神のような、金色の髪に赤い瞳のお姫様とお姫様にお仕えする黒髪の美人なメイドさんがいるそうだ。
そのお姫様におばあちゃんは昔助けてもらったんだって。
まだおばあちゃんが十八歳とかそれくらいの歳に。
そんな前なら今お姫様もおばあちゃんだねと私は笑った。
しかし、お姫様はいつまでも変わらず綺麗な少女のままだって言っていた。
どうしてなのか聞いても教えてくれなかった。
もっと大きくなってそのお姫様と会うことがあったら直接聞きなさいって。
それとおばあちゃんとお姫様はお友達なんだそうだ。
なんでそんな危険な場所に住んでいるお姫様とおばあちゃんが友達なのだろう。
いつもわからなかった。
でも、おばあちゃんの切なそうな懐かしむような笑顔を見ると気にならなくなった。
おばあちゃんにもいろいろとあったんだろう。
ママやおばちゃん、お姉ちゃんたちもお姫様と会ったことがあるらしい。
私もいつか会えるのかな。楽しみだなぁ。
そう言えばこんな話もしていたっけ。
そのお姫様たちを狙っている悪い魔法使いがいるらしい。
狙うってどういうことだろう?
その魔法使いさんもお友達になりたいのかな。
でも、おばあちゃんは悪い人だって言っていたし、違うのかも。
『もし、困ったことがあったら、この手紙をもってお姫様のところに行きなさい。迷ってはいけませんよ。約束です。……大丈夫。ノアが願えば必ずお姫様のところまで跳んでいけますから』
まさか、あの時のおばあちゃんの言葉が本当になるとは思いもしなかった……。
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