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番外2

アリア

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 かの方は私の全てを変えてくれた。
 女神のような風貌なのに、その性質はまるで幼い少女。
 いつも好き放題自分の意思で遊びまわる彼女が、羨ましく思った。
 そんなときもあった。
 でも、これだけは言える。

 彼女は私の―――――――生涯最高の友人である。


 ◇◇◇


 自由奔放、天真爛漫、そんな言葉がこれほど似合う人はいない。
 まさに彼女のためにある言葉だと思った。
 そんな彼女に出会えたことは人生最大の幸運だった。

 私の事情に巻き込んでしまった事は申し訳ないと今でも思っている。
 しかし、彼女は全く気にしていなかった。
 そんなことより、妹と仲良くしなさいと言った。
 私は与えられてばかりで何も返すことができていないのに。

 彼女に恩返しをしたい。
 私は本人にそう言った。

『なら、私といつまでも友人でいてください。そして幸せになってね』

 彼女は言った。
 それが恩返しになるとは思わなかった。
 それでも、彼女がそう言うのであれば、私に断る選択肢はない。

 いつか旅に出ると彼女に告げた。
 その時の彼女の顔を忘れることはできない。
 だって………今まで見たことないくらい寂しそうな顔をしていたから。
 彼女のそんな顔を見ても、私は考えを改めることはなかった。
 いつまでもあの森にいることはできないと思った。
 私にとって世界を見て回ることは必要なことだった。

 旅に出ても私は定期的に彼女に会いに行き、手紙も欠かさずに書いた。
 彼女のメイドさんが私たちのために簡易転移陣を作成してくれたし、手紙は精霊たちが届けてくれた。
 私は助けられてばかりだ。

 そんな私を支えてくれた彼と結婚した。
 それをきっかけに、私たちは東の果てにある国に定住することを決めた。
 そこで私は彼と妹と幸せな家庭を築くことにした。
 しばらくすると子供も生まれた。
 可愛らしい双子の女の子。私と同じように二人は精霊に愛された。

 報告がてら、森にいる彼女に見せに行くと、彼女は自分のことのように喜んでくれた。
 自分の子のように最大限の愛情を注いでくれた。

 それから数年して、妹も結婚し子供が生まれた。
 嬉しかった。
 妹の子供を抱けることが、そして妹が幸せそうに笑ってくれたことが。
 私はとても幸せだった。

 それからは子どもの世話に、その他諸々の事情があり、森に行く頻度が減った。
 手紙を書く暇もなくなった。
 娘二人は元気に育ち、大人になり孫を見せてくれた。
 嬉しくて涙が止まらなかった。
 彼は、天上の世界で見守っていてくれているだろうか。
 私たちの子らはこんなにも大きくなったんだよ。
 これで私もおばあちゃんね。

 こんなにも満たされた気持ちになるなんて。
 もう満足だわ。十分、幸せになった。
 恩返し……ちゃんとできたかしら。
 最後にもう一度、彼女に会いたいけれど、もう時間ね。
 私もそろそろ行くわ。
 彼と妹が待っているから。
 だから、これが最後の手紙。
 届くかな。届くといいな。

『私の生涯最高の親友、森の女神様へ。

 ―――――ありがとう。そして、さようなら

 女神の友人、聖女より』



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