死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

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 三番町にある療養所に繋が居ると聞き、結と姫雛はその場所へとたどり着いた。

 中に入ると中は暗くて少しカビ臭い。

 本当にこんな所に繋が運ばれて来たのだろうか。


 まっすぐ歩けば人の話声と明かりが見えてきた。
 そこに繋が居るのかと結は走って明かりが見える部屋に向かって走る。


「繋!!」

 繋の状態を確認する事だけを優先し、その部屋に入った結だったが···


「··········




         あれ?」



 そこには繋は何処にも居なくて




「本当に人間だ」



「人間がいやがった」




「美味そう」






 怪しげな三人の男達だった。




「····あ、の····長は?」

 結は一瞬たじろぐが、見当たらない繋の事を三人に聞いてみた。

「長~?」

 「なんの事だ?俺らは美味そうな人間を連れてくるから此処に来るように言われただけだよ」

「····え?」



 結はバッと後ろを向くが





「········」



 そこに姫雛の姿はなかった。



 嵌められたなんて思いたくなかった。



「さて、食うか?それとも喰うか····」


 「食いながら喰っても良いな」


「人間なんて下界に降りねぇ限り食えねぇもんなぁ」


 三人がニヤニヤしながら結の事をどうするかと話し合っている。

 食うだの喰われるだの言っている今は分かる。
 分かるけど分かりたくない。

 自分が今出来ることはここから逃げる事だ。



 ----ダッ!と、結が部屋から出て出口の方へと走っていく。


「追いかけっこか?」

「人間って足遅いからすぐ捕えられるだろ?」

「じゃあ、遊んでやってもいいんじゃね?」


 部屋の中で男達の下卑た笑い声が響き渡った。






 入口からあの部屋まで真っ直ぐ走っただけだ。
 だからその扉を抜ければ外に出られる。

「何で!?」

 引戸を何度開けようとしてもビクともしない。



 姫雛に閉じ込められた。







「逃げないのぉ?」

「ヒィッ!」


 真後ろに男がいるなんて気づかなかった。
 結は後ろを確認せずに反対の廊下をバタバタと走り逃げた。







 後ろからゲタゲタ笑う声が恐ろしい。






 この療養所がどの広さなのか分からない。
 それでも逃げるしかなかった。


 逃げなければ食い殺される事だけは分かるから。





     言いつけを護っていれば




 けれど繋の名前を出されれば向かわずには居られなかった。



 繋は大丈夫なのだろうか。




 繋の事を心配しながら自分に今起こっている危機をどう回避すれば良いかを結は意外と冷静に考えていた。


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