死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

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「お前、町長なのにこんな商売までしてるなんてケツ浮いたわ」


 茶屋で談笑しながら鳳来は繋が小物店に卸したペンを指でクルクルと回しながら聞く。

「元ネタはなんだ?」と·····。

 元ネタとは?


「この技術は今の時代のもんじゃねぇよ」

「え?どう言う事っすか?」


 鳳来は頭に疑問符を浮かべる繋に妖しく笑いかける。

「かなり先の未来の下界····まぁ、人間の技術だな」

 鳳来がそれを断言する。
 人間の技術。それは間違っていないが、かなり先の未来に疑問を抱いた。


 どういう事だと。


「繋ァ。お前さん···何か隠してねぇか??」

 旅芸人だからなのか観察力が長けていると言うのか、鳳来はたまに鋭い事を言ってくる事がある。


「····むしろ、鳳来殿は何でこれが未来の人間界の技術だと言えるんですか?」

「俺?そうだなァ·····」


 そこは秘密だ。と、言えば

「じゃあ、俺も言う義理ないっスね」と、答えた。


「····そんな事言っちゃう?!




   俺ら熱い夜交わした仲なのに!?」




「ぅおおぉおぉい!!止めろ!変な誤解招く言い方止めろやぁあ!!」


 町を歩く通行人がこちらを見る。

「え?そういう仲?」
「長ってもしかして····?」

 既に勘違いが始まりつつあった。

「違ぇよ!テメェら勘違いすんなよ!!」

「そうだぞー。俺と繋は互いの身体の隅々まで知った関係だなんて口が裂けても言えねぇ事を堂々と言う仲なんだぞ」

「お前いい加減にせぇや!!」

 この鳳来と言う旅芸人。
 なんの妖なのか分からないが人を揶揄うのが大好きで気まぐれな性格をしている。

 そして、気に入られた繋は会う度にこうやって振り回されるのにだ。

 何故か憎めない人柄の鳳来の事が嫌いにはなれなかったからこうやって腐れ縁になってしまった被害者の一人であった。





 -------










「外に出れないなんて暇だねぇ·····」

「姫雛さんは出れるじゃないですか」

「あんたが出れないのに好きに出かけると悪いじゃないの」


 そんな事を言われると申し訳なさと共に警戒心が解けそうになる。
 姫雛はきつい性格があると思う事はあるし、繋達からも「気を付けろ」と、言われているから心を完全に許す事は出来ないが、人に騙されたり等の経験もない平和ボケした女子高生だ。
 警戒心はこの世界の住人と比べれば薄いだろう。




 だから、絆されそうになる。




 いや、なっていると思う。





   「姫雛さん!」



 姫雛の部下だろうか。

 慌てた様子で此方に向かって走ってくる。




「大変です!長が!!」






 「「え?」」



  



 「長」と言う単語を耳にして結と姫雛の声が重なった。











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