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一人暮らし先
第二十九話
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小鳥遊とちょっとしたすれ違いが起こったあの金曜日から一週間後。
俺は約一カ月ぶりに小鳥遊の一人暮らし先を訪れた。
リビングに足を踏み入れた俺は、「あれ?」と鼻をひくつかせる。
「タバコのにおい……しない」
前回訪れたときには、喫煙所のようなこびりついたヤニの匂いが漂っていたはずだが。
今はその代わりに淡いアロマの香りが部屋を包んでいる。
「おい。なんかすげー良い匂いすんだけど」
「先週買ったんだ。良いアロマ」
「アロマもだけど……。なんでタバコのにおいしねえの?」
「ああ、まあ……」
小鳥遊はなぜかムスッとした表情で、早口で言った。
「お前がタバコ臭嫌がってたから」
「ん?」
「タバコのにおいを取るのに一カ月かかった」
そう言い捨て、小鳥遊は逃げるようにベランダに出た。外でタバコを吸いはじめる。
俺もベランダに出て、小鳥遊の隣に立った。
「お前、この前まで部屋の中でタバコ吸ってなかった?」
「そうしたらまた部屋のタバコ臭取れないだろう」
「……もしかして、一人のときも外で吸ってたの?」
「そうしないと取れないからな、タバコ臭」
「……」
なにこの人。
俺が一言「タバコくさい」って言ったからって、ここまでしてタバコ臭取ろうとするの?
自分の部屋なのに、吸いたいときにタバコ吸えないなんて嫌じゃなかったのか?
お前、なんでそこまで――
「~~……っ。おいっ、やめろよそういうのっ……!」
「ん。なんだ急に大声上げて。近所迷惑だからやめろ」
「お前バッ……、俺の気も知らずに、バッ……!!」
「うるさいな……」
こいつ俺のことどうしたいの!?
ねえ、俺はどうしたらいいんですか!?
こっ、こんなことされてっ、惚れないヤツいる!?
しかも部屋の中にはまた作りすぎた料理の山がテーブルに並んでいるんですが!?
「おっ……」
「お?」
「俺をっ……これ以上甘やかすのをやめろっ……!!」
「別に甘やかしているつもりは……」
「おっ、俺っ、帰る!!」
「は? どうしてだ。タバコ臭まだ残ってたか?」
「残ってないからだよっ!!」
「アロマの香りが気に入らなかったか」
「とても好みの香りだよバカッ!!」
だからそのホッとして柔らかい表情になるのをやめろ!!
「だったら帰る必要ないだろう。ほら、さっさとメシ食ってベッドで暴れるぞ」
「くそっ……!! 至れり尽くせりしやがって……!!」
「どうして怒られなきゃいけないんだ。素直に感謝しろ」
食事をしている最中に、給湯器から電子音声が鳴った。
《お風呂がわきました》
俺は思わず給湯器の方向に目をやった。
「え? 風呂溜めたの?」
「ああ」
「めずらし。いつもシャワーなのに」
「逆だ。いつも湯船に浸かっているけど、お前がいるときだけシャワーで我慢していたんだよ」
「そうだったんだ。そういえば俺、全然湯船に浸かってないな……」
小鳥遊の目じりが下がる。
「一緒に入るか?」
「ふぇっ……」
「せっかく溜めたんだ」
小鳥遊と、一緒に、風呂?
「嫌か? だったら俺はゆっくり一人で浸かるから、お前は隣でシャワーでも浴びてろ」
「は、入るっ」
「そうか」
小鳥遊ってあんがい表情に感情出るよな。嬉しそうな顔してさ。そんなに俺と風呂入りたかった?
何度も裸を晒してきたはずなのに、今日は服を脱ぐのが少し恥ずかしかった。
浴槽にはすでに小鳥遊が気持ちよさそうに浸かっている。浴室のドアから顔を覗かせている俺に気付いた小鳥遊は、「早く来い」とでも言いたげに手招きをした。
「……」
俺はゆっくりと湯船に体を沈め、小鳥遊の胸を背もたれにして座った。
「っ……」
うしろからそっと抱きしめられる。うなじに唇が落とされ、俺の体がピクッと反応した。
「……なんかこれ、やばい……」
「そうか? いつももっとやばいことをしていると思うが」
「こっちのほうがやばい……」
これはキスと同じで、性欲処理では片づけられないことだ。
こんなことをしたら、また俺の気持ちが不本意にも膨れ上がってしまうだろう。
「んっ」
小鳥遊の指がツンと俺のペニスに触れた。
「ちょっと勃ってるな」
「う、うるさいな。お前だってガチガチなの気付いてんだからな……」
「そりゃお前。一緒に風呂入るだけでそんな緊張されたら興奮もする」
まるで処女みたいじゃん、と小鳥遊が俺の耳元で囁いた。
小鳥遊は俺のペニスを弄びながら尋ねる。
「誰かと一緒に風呂入ったことないの?」
「……」
……あるよ。あのときは毎日一緒に入っていた。
俺は質問に答えず、振り向いて小鳥遊の首に腕を回す。
「そんなこと、どうでもよくない?」
「……そうだな」
小鳥遊が俺のあごの下に指を添え、そっとキスをした。
湯のあたたかのせいだろうか。いつもよりすぐに鼓動が速くなり、頭がぼんやりしてくる。
「っ!」
スリ……と小鳥遊のペニスが俺のペニスを擦った。
小鳥遊は二人分のペニスを手のひらにおさめ、ゆっくりと動かし始める。
「んっ……小鳥遊……っ」
「ん?」
「それっ……ちょっと……」
「なんだ」
「興奮するからやめて……っ」
「興奮するならやめない」
ペニスを擦られながら、口の中を掻き回される。
「あっ……っ、んっ……、んんっ……」
「いつもより甘い声出てる」
「もっ……だめ、出そう……っ」
「早。興奮しすぎ」
「止めて……っ、お湯汚れるっ……」
「いいだろう別に」
「あっ、だめだってっ……、あ、あっ……んんっ……!!」
やってしまった。湯船の中で射精なんて……!
俺は飛び上がり、慌てて浴槽から出た。
「う、うわああ……!! おいっ、早く出ろっ、汚いぞ!!」
しかし小鳥遊はどこ吹く風で、まったり湯船に浸かったままだ。(ペニスも勃起させたままだ)
「月見里の精液風呂。肌によさそうだ」
「気持ち悪いこと言うんじゃねえよ!! さっさと出ろぉ!!」
俺がどれだけ騒いでも、小鳥遊は湯船から出ようとしなかった。
俺は約一カ月ぶりに小鳥遊の一人暮らし先を訪れた。
リビングに足を踏み入れた俺は、「あれ?」と鼻をひくつかせる。
「タバコのにおい……しない」
前回訪れたときには、喫煙所のようなこびりついたヤニの匂いが漂っていたはずだが。
今はその代わりに淡いアロマの香りが部屋を包んでいる。
「おい。なんかすげー良い匂いすんだけど」
「先週買ったんだ。良いアロマ」
「アロマもだけど……。なんでタバコのにおいしねえの?」
「ああ、まあ……」
小鳥遊はなぜかムスッとした表情で、早口で言った。
「お前がタバコ臭嫌がってたから」
「ん?」
「タバコのにおいを取るのに一カ月かかった」
そう言い捨て、小鳥遊は逃げるようにベランダに出た。外でタバコを吸いはじめる。
俺もベランダに出て、小鳥遊の隣に立った。
「お前、この前まで部屋の中でタバコ吸ってなかった?」
「そうしたらまた部屋のタバコ臭取れないだろう」
「……もしかして、一人のときも外で吸ってたの?」
「そうしないと取れないからな、タバコ臭」
「……」
なにこの人。
俺が一言「タバコくさい」って言ったからって、ここまでしてタバコ臭取ろうとするの?
自分の部屋なのに、吸いたいときにタバコ吸えないなんて嫌じゃなかったのか?
お前、なんでそこまで――
「~~……っ。おいっ、やめろよそういうのっ……!」
「ん。なんだ急に大声上げて。近所迷惑だからやめろ」
「お前バッ……、俺の気も知らずに、バッ……!!」
「うるさいな……」
こいつ俺のことどうしたいの!?
ねえ、俺はどうしたらいいんですか!?
こっ、こんなことされてっ、惚れないヤツいる!?
しかも部屋の中にはまた作りすぎた料理の山がテーブルに並んでいるんですが!?
「おっ……」
「お?」
「俺をっ……これ以上甘やかすのをやめろっ……!!」
「別に甘やかしているつもりは……」
「おっ、俺っ、帰る!!」
「は? どうしてだ。タバコ臭まだ残ってたか?」
「残ってないからだよっ!!」
「アロマの香りが気に入らなかったか」
「とても好みの香りだよバカッ!!」
だからそのホッとして柔らかい表情になるのをやめろ!!
「だったら帰る必要ないだろう。ほら、さっさとメシ食ってベッドで暴れるぞ」
「くそっ……!! 至れり尽くせりしやがって……!!」
「どうして怒られなきゃいけないんだ。素直に感謝しろ」
食事をしている最中に、給湯器から電子音声が鳴った。
《お風呂がわきました》
俺は思わず給湯器の方向に目をやった。
「え? 風呂溜めたの?」
「ああ」
「めずらし。いつもシャワーなのに」
「逆だ。いつも湯船に浸かっているけど、お前がいるときだけシャワーで我慢していたんだよ」
「そうだったんだ。そういえば俺、全然湯船に浸かってないな……」
小鳥遊の目じりが下がる。
「一緒に入るか?」
「ふぇっ……」
「せっかく溜めたんだ」
小鳥遊と、一緒に、風呂?
「嫌か? だったら俺はゆっくり一人で浸かるから、お前は隣でシャワーでも浴びてろ」
「は、入るっ」
「そうか」
小鳥遊ってあんがい表情に感情出るよな。嬉しそうな顔してさ。そんなに俺と風呂入りたかった?
何度も裸を晒してきたはずなのに、今日は服を脱ぐのが少し恥ずかしかった。
浴槽にはすでに小鳥遊が気持ちよさそうに浸かっている。浴室のドアから顔を覗かせている俺に気付いた小鳥遊は、「早く来い」とでも言いたげに手招きをした。
「……」
俺はゆっくりと湯船に体を沈め、小鳥遊の胸を背もたれにして座った。
「っ……」
うしろからそっと抱きしめられる。うなじに唇が落とされ、俺の体がピクッと反応した。
「……なんかこれ、やばい……」
「そうか? いつももっとやばいことをしていると思うが」
「こっちのほうがやばい……」
これはキスと同じで、性欲処理では片づけられないことだ。
こんなことをしたら、また俺の気持ちが不本意にも膨れ上がってしまうだろう。
「んっ」
小鳥遊の指がツンと俺のペニスに触れた。
「ちょっと勃ってるな」
「う、うるさいな。お前だってガチガチなの気付いてんだからな……」
「そりゃお前。一緒に風呂入るだけでそんな緊張されたら興奮もする」
まるで処女みたいじゃん、と小鳥遊が俺の耳元で囁いた。
小鳥遊は俺のペニスを弄びながら尋ねる。
「誰かと一緒に風呂入ったことないの?」
「……」
……あるよ。あのときは毎日一緒に入っていた。
俺は質問に答えず、振り向いて小鳥遊の首に腕を回す。
「そんなこと、どうでもよくない?」
「……そうだな」
小鳥遊が俺のあごの下に指を添え、そっとキスをした。
湯のあたたかのせいだろうか。いつもよりすぐに鼓動が速くなり、頭がぼんやりしてくる。
「っ!」
スリ……と小鳥遊のペニスが俺のペニスを擦った。
小鳥遊は二人分のペニスを手のひらにおさめ、ゆっくりと動かし始める。
「んっ……小鳥遊……っ」
「ん?」
「それっ……ちょっと……」
「なんだ」
「興奮するからやめて……っ」
「興奮するならやめない」
ペニスを擦られながら、口の中を掻き回される。
「あっ……っ、んっ……、んんっ……」
「いつもより甘い声出てる」
「もっ……だめ、出そう……っ」
「早。興奮しすぎ」
「止めて……っ、お湯汚れるっ……」
「いいだろう別に」
「あっ、だめだってっ……、あ、あっ……んんっ……!!」
やってしまった。湯船の中で射精なんて……!
俺は飛び上がり、慌てて浴槽から出た。
「う、うわああ……!! おいっ、早く出ろっ、汚いぞ!!」
しかし小鳥遊はどこ吹く風で、まったり湯船に浸かったままだ。(ペニスも勃起させたままだ)
「月見里の精液風呂。肌によさそうだ」
「気持ち悪いこと言うんじゃねえよ!! さっさと出ろぉ!!」
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