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大也、犯罪忍者対策室の本部ビルでの待機が始まる

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 百瀬喜多郎。伊賀忍者の1人だ。

 公表されてる妖怪憑きは『のっぺらぼう』。よって変身の名人だ。

 但し、それは表向きの話だ。

 本当の妖怪憑きは『青行燈あおあんどん』だった。

 青行燈とは百物語の妖怪だ。

 この『青行燈』は血統では継承しない。

 条件不明の突発的な『何か』で継承された。

 その忍法は対戦相手の忍法を獲得する事。

 上限100個(消去不可)。

 日本政府に味方すれば心強かったのだが、喜多郎は日本を裏から支配しようとして敗北した。

 大也が生まれる以前の30年以上前の話である。





 ◇





 ロシアの忍者キラー部隊に襲撃された本部ビルにて、結局は聖からの説明を大也は聞いていた。

 百瀬喜多郎は現在の年齢は71歳。

 だが提供されたタブレットの画像はどう見ても20代の肉体だった。

「こんな古いのではなくて、新しい写真はないんですか?」

「それが3週間前の写真で最新だ」

 そう言われて大也は改めて写真を見た。

「不老長寿の忍法を獲得してる?」

「そうだ。この外見だけでも分かるようにかなり危険だ」

「・・・どうやって前回は逮捕したんです?」

「二虎競食だ。日本に居るロシアの忍者キラー部隊と全面戦争になるように仕向けてな。大々的に潰し合わせて百瀬喜多郎が負傷したところを草薙部隊が200人程の被害を出して捕縛した」

「・・・今回はどうするんです?」

「凄腕の風使いをぶつける」

 つまりは大也をだ。

「・・・返り討ちにあって死にませんか、それだとオレ?」

「複数の方が拙い。『のっぺらぼう』が代表されてるのは本当でな。変相で撹乱されたら洒落にならないから」

「まあ、やりますけどね。興味もありますし」

「それは良かった」

、でいいんですよね?」

「ああ」

「それでソイツの居場所は?」

「捜索中だ」

「はあ?」

 やる気満々だった大也がマヌケな顔で聖を見た。

「よっていつでも出動出来るように小森で待機して貰うぞ」

「嘘ですよね」

「いや至って真面目だが」

 そう聖は言い放ったのだった。





 ◇





 聖の言葉はマジだった。本当に待機という名目で犯罪忍者対策室の本部ビルで拘束された。

 本日は大鳥邸に帰れない事が確定している。

 それを証拠にスマホで確認を取ったら、

『報告は受けたよ、大也君。大鳥忍軍としてよろしくな』

 大鳥宗次が妙に晴れ晴れとした声でそう大也に言ったのだから。

 大也はさすがに特別待遇で犯罪忍者対策室の来客室を一室そのまま提供されたが、

「ええっと、ベッドは?」

「ソファーで寝てくれとの事です」

 部屋まで案内してくれた聖の美人秘書っぽい22歳の茶髪ミディアムでガリ勉っぽい眼鏡で陰気のお姉さんに言われた。

「食事は食べに出てもいいんですよね?」

「いえ、いつでも出動出来るように1階の食堂でお取り下さいますように」

(マジでか)

 大也は溜息を吐いたのだった。
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