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大也、嘉門兵衛から迷惑料を貰う
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嘉門兵衛とは『トーカモ(東京と嘉門を合わせた造語)』で知られる日本が世界に誇る巨大ネットゲーム企業の名物社長である。
この兵衛という名前は本名である。
同時に兵衛などいう古臭い名前だったが、まだ42歳だった。
ネットゲームのヒットメーカー。
それが嘉門兵衛が率いるゲーム企業トーカモだった。
そしてこの男は金儲けの仕方を心得ていた。
ネット犯罪の抜け道を多数作り、マネーロンダリングも出来るようにして犯罪組織の金も故意に自分のネットゲームにも集めたのだ。有料サービス等々の名目で15%もピンハネするシステムを考案して。
つまりは1億円をマネーロンダリグンしたらトーカモが1500万円儲かる仕組みだ。ボッタクリ過ぎだが、それでも匿名性が確保出来るので利用者は後を絶たなかった。
政治家へのばら撒きも忘れない。
お陰で警察も摘発には本腰を入れず、規制すれば、別の方法のマネーロンダリングが出来るサービスを開始するというイタチごっこが続いていた。
その嘉門兵衛が大也とどう関係があるかと言えばーー
◇
大也は昨日、20件の騒動に首を突っ込んでおり、その一つがトーカモの役員、三宅ジンの救出案件だったのだ。
正確には秘書との不倫心中に見せかける為、秘書も転落死に偽装して殺され掛けており、その叫び声に登場したのがパーカーのフード男の大也だった。
『目撃者がいない』という事で、潰す事が決まっていた廃ビルの屋上が現場だったのも災いした。
悲鳴が風に乗るし、風使いの忍者なら簡単に出向ける。
東国原会系のヤクザ10人など秒で半殺して(拳銃を出しても忍法で暴発)で助けた後、
「ありがとうございました」
男のジンに言われても全然嬉しくない。
因みに、ジンが暗殺の対象となったのは社内で浄化作用が働いていて『いくら儲かるからってマネーロンダリグの温床となる抜け道は潰しましょう』とジンが言い始めた為だったが。
念の為に大也が、
「ええっと、お礼に女秘書さんがエッチな事をして貰えたりは」
「助けて貰えた事には感謝してますが、しませんよ」
どうやらお固い女秘書だったようだ。素気なく断られた。
大也はガッカリしながら屋上から去っていた。
というような事があり、兵衛としてはそんな忍者は邪魔なだけだ。
犯罪忍者対策室を政治家を経由して動かして始末させようとしていた。
◇
そんな訳で大也はお礼参りに出掛けた訳だが、嘉門兵衛の趣味はサウナだった。
正直サウナ狂いである。
本社ビル内にも自分専用のサウナを作るくらいなのだから。
そのサウナ室に登場したのが大也である。
「あっつっ! マジで自分の会社でサウナに入ってるんだな?」
「誰だ、おまえ? ウチの社員じゃないよな?」
自分専用サウナだ。タオルを腰に巻いてさえいない。真っ裸の兵衛が尋ねた。
「昨日、役員と秘書の不倫心中に見せた殺人を防いだ善玉忍者」
「・・・それで?」
「オレに用があって犯罪忍者対策室を動かしたって聞いたぜ?」
そう言いながらサウナ室の外の入口の棚に置かれてた兵衛のスマホを投げ渡して、自分のスマホの隠し口座を見せながら、
「オレのスイスの隠し口座の番号はこれだけど、いくら払ってオレの怒りを鎮めてくれるのかな?」
「4億。それで見逃してくれ」
「もう狙わない?」
「無論だ」
「じゃあ、入金よろしく」
信じられない事に、僅か20秒後には本当に兵衛の口座から4億円が大也のスイスの隠し口座に支払われた。
兵衛は億万長者だ。自分が立ち上げた株も含めた総資産は5000億以上。口座には円だけで800億円入ってる。4億円くらい軽く支払える。
「入金を確認した。アンタのゲーム会社、オレもファンだからこれからも頑張ってな。政治家への命令解除もよろしく」
それで大也はサウナ室から出ていったのだが、
「警備は何をやってやがるんだ。犯罪忍者対策室も? ーーふん、半日でこちらを特定する有能な忍者であっても、まだまだ子供だな。大人の言う事を真に受けて信じるなんて。誰が命令解除なんてするか。4億の4は死の意味だ。ファンの癖にそんな事も知らないのか潰してやる」
不機嫌そうに吐き捨ててサウナ室を出ようとした瞬間、サウナの床に風の薄い断層があってズルッと足を滑らせて、顔面から本格サウナ仕様だったのでサウナストーンが積み上がったサウナストーブに顔面を突っ込ませて、顔面をジュウゥゥと焼いて、
「ギャアアアアア」
と悲鳴を上げたがサウナ室は密室だ。誰も助けに来なかった。
サウナ室を出た大也の方は、
「命を狙われたのに顔を焼くだけで許すなんてオレって優しい~」
そう笑って帰っていったのだった。
この兵衛という名前は本名である。
同時に兵衛などいう古臭い名前だったが、まだ42歳だった。
ネットゲームのヒットメーカー。
それが嘉門兵衛が率いるゲーム企業トーカモだった。
そしてこの男は金儲けの仕方を心得ていた。
ネット犯罪の抜け道を多数作り、マネーロンダリングも出来るようにして犯罪組織の金も故意に自分のネットゲームにも集めたのだ。有料サービス等々の名目で15%もピンハネするシステムを考案して。
つまりは1億円をマネーロンダリグンしたらトーカモが1500万円儲かる仕組みだ。ボッタクリ過ぎだが、それでも匿名性が確保出来るので利用者は後を絶たなかった。
政治家へのばら撒きも忘れない。
お陰で警察も摘発には本腰を入れず、規制すれば、別の方法のマネーロンダリングが出来るサービスを開始するというイタチごっこが続いていた。
その嘉門兵衛が大也とどう関係があるかと言えばーー
◇
大也は昨日、20件の騒動に首を突っ込んでおり、その一つがトーカモの役員、三宅ジンの救出案件だったのだ。
正確には秘書との不倫心中に見せかける為、秘書も転落死に偽装して殺され掛けており、その叫び声に登場したのがパーカーのフード男の大也だった。
『目撃者がいない』という事で、潰す事が決まっていた廃ビルの屋上が現場だったのも災いした。
悲鳴が風に乗るし、風使いの忍者なら簡単に出向ける。
東国原会系のヤクザ10人など秒で半殺して(拳銃を出しても忍法で暴発)で助けた後、
「ありがとうございました」
男のジンに言われても全然嬉しくない。
因みに、ジンが暗殺の対象となったのは社内で浄化作用が働いていて『いくら儲かるからってマネーロンダリグの温床となる抜け道は潰しましょう』とジンが言い始めた為だったが。
念の為に大也が、
「ええっと、お礼に女秘書さんがエッチな事をして貰えたりは」
「助けて貰えた事には感謝してますが、しませんよ」
どうやらお固い女秘書だったようだ。素気なく断られた。
大也はガッカリしながら屋上から去っていた。
というような事があり、兵衛としてはそんな忍者は邪魔なだけだ。
犯罪忍者対策室を政治家を経由して動かして始末させようとしていた。
◇
そんな訳で大也はお礼参りに出掛けた訳だが、嘉門兵衛の趣味はサウナだった。
正直サウナ狂いである。
本社ビル内にも自分専用のサウナを作るくらいなのだから。
そのサウナ室に登場したのが大也である。
「あっつっ! マジで自分の会社でサウナに入ってるんだな?」
「誰だ、おまえ? ウチの社員じゃないよな?」
自分専用サウナだ。タオルを腰に巻いてさえいない。真っ裸の兵衛が尋ねた。
「昨日、役員と秘書の不倫心中に見せた殺人を防いだ善玉忍者」
「・・・それで?」
「オレに用があって犯罪忍者対策室を動かしたって聞いたぜ?」
そう言いながらサウナ室の外の入口の棚に置かれてた兵衛のスマホを投げ渡して、自分のスマホの隠し口座を見せながら、
「オレのスイスの隠し口座の番号はこれだけど、いくら払ってオレの怒りを鎮めてくれるのかな?」
「4億。それで見逃してくれ」
「もう狙わない?」
「無論だ」
「じゃあ、入金よろしく」
信じられない事に、僅か20秒後には本当に兵衛の口座から4億円が大也のスイスの隠し口座に支払われた。
兵衛は億万長者だ。自分が立ち上げた株も含めた総資産は5000億以上。口座には円だけで800億円入ってる。4億円くらい軽く支払える。
「入金を確認した。アンタのゲーム会社、オレもファンだからこれからも頑張ってな。政治家への命令解除もよろしく」
それで大也はサウナ室から出ていったのだが、
「警備は何をやってやがるんだ。犯罪忍者対策室も? ーーふん、半日でこちらを特定する有能な忍者であっても、まだまだ子供だな。大人の言う事を真に受けて信じるなんて。誰が命令解除なんてするか。4億の4は死の意味だ。ファンの癖にそんな事も知らないのか潰してやる」
不機嫌そうに吐き捨ててサウナ室を出ようとした瞬間、サウナの床に風の薄い断層があってズルッと足を滑らせて、顔面から本格サウナ仕様だったのでサウナストーンが積み上がったサウナストーブに顔面を突っ込ませて、顔面をジュウゥゥと焼いて、
「ギャアアアアア」
と悲鳴を上げたがサウナ室は密室だ。誰も助けに来なかった。
サウナ室を出た大也の方は、
「命を狙われたのに顔を焼くだけで許すなんてオレって優しい~」
そう笑って帰っていったのだった。
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