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第九章~西国での動き~
西日本大騒動2
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丹波から書状を受け取った刹那が中身を確認すると
「直虎、これならば問題あるまい?」
そう言いながら直虎へとそれを渡した。
直虎はそれを読み終えるとそれを皆に渡した。
全員が書状を読み終えると
「なるほどのぉ、まさかこのようなものを手に入れるとはさすがは伊賀の忍び。」
「殿に言われたことをうちの若いのがこなしただけじゃがな。」
「丹波、これを行ったのは藤林長門守か?」
「その通りじゃ。殿、よく覚えておられたな。」
「お前が推したほどの者を忘れるわけがなかろう。神威家の長として、有能な者は皆覚えておるさ。家臣の家臣だろうとな。」
刹那のその姿勢に感銘を受け、自分も刹那のような当主にならねばと改めて思う直虎であった。
「さて、毛利を動かす情報が手に入ったから、この情報を毛利に送り恩を売ろうと思うが、さて、誰を使者に立てるべきか。」
「わしはもう年じゃからのぅ。のぉ、幸隆。」
「そうでございますな、海玄様。」
「そもそも行かせるつもりはないわ。海玄になにかあったら松や菊に叱られてしまうからな。」
「では、どの者に。」
「左近、一人試したい者がおる。その者に行かせようかと思ってな。」
「ほう。殿がそう言うのでしたら間違いないでしょうな。」
「あぁ。新田友作に行かせる。」
刹那がそうゆうとすぐに友作がその場に呼ばれた。
「殿、俺になにか御用ですか?」
「あぁ。ぜひお前にやってもらいたいことがある。」
「殿のためならこの新田友作、どんなことでもいたしやしょう。」
「ふっ、頼もしいな。」
刹那は友作にこれまでの経緯や、任務についての話を一通りした。
「なるほど、つまりは毛利に恩を売れってことですね。」
「さすが、察しがいいな。その通りだ。大きな恩になるか、小さな恩になるかはお前次第だぞ。」
「なるほど、それは面白い。お任せください。」
友作はそう言うと部屋を後にした。
友作が去った後、
「どうだ、直虎。面白いやつだっただろう。」
「ええ、これだけの重臣達を前にしても物怖じせず、むしろ自信満々に出ていきました。」
「あいつは使える男だ。だが、癖が強い。手懐けられるかはお前の力量次第だ。」
「はいっ。」
友作は自分の部屋で出かける準備を整えるとすぐに刹那の元へ戻り出る挨拶を済ませると毛利の本拠地である吉田郡山城へと向かったのであった。
友作を送り出した刹那は左近を部屋へ呼んだ。
「殿、お呼びですか。」
「あぁ。丹波に長宗我部の動きを、半蔵に大友の動きを調べさせている。そこが動き次第我らも動く。そのための兵力を用意してといて欲しい。」
「どのくらい用意いたしましょうか。」
「長宗我部の兵力は1万5千ほどだったか。」
「はい。一両具足と呼ばれる農民の兵力がその8割を占めているそうです。」
「そうか。では、こちらは4万の兵を用意しよう。一両具足は油断ならない兵力だ。こちらも精鋭だけで挑む。」
「承知いたしました。」
「後、羽柴との領土境にもある程度の兵を出しておけ。攻めては来ないだろうが、油断は禁物だからな。」
「義重殿にも声をおかけしますか?」
「そうだな。兵を出してもらうことはなくていいが、兵を通ることを配慮しておいてもらったほうが良いだろう。」
「はっ。」
左近が出ていくと刹那はすぐに家康宛と直親宛の書状を書いて届けさせた。
友作が霧山御所を出てから15日余りが過ぎた頃、友作は吉田郡山城へと到着していた。
神威家からの使者であることを説明するとその日のうちに毛利家当主の毛利輝元とその叔父である吉川元春、小早川隆景と会うことが叶った。
先に平伏して待つ友作に輝元が声をかけた。
「神威家からの使者とやら、面をあげよ。」
「お初にお目にかかります。神威刹那が家臣、新田友作と申します。」
「うむ。して、徳川家の筆頭家老である神威殿が毛利家にどのような用件であろうか。」
「まずはお人払いをお願い致します。」
友作がそう言うと輝元は隆景のほうへ目線をやり、隆景もそれに小さく頷いた。
「隆景、元春以外の者は外へ出よ。」
輝元はほかの者が出たのを確認すると
「この二人は構わぬな?」
一応の確認を取った。
「はっ。」
「では、神威殿からの言伝を承ろう。」
隆景がそう言った。
「まず、毛利家では長宗我部の不審な動きをご存知でしょうか?」
その友作の問いに元春が
「ふっ、そのようなことわざわざ徳川から知らせられなくとも知っておるわ。」
「では、長宗我部がどこを攻めるかも?」
「我らと誼を通じておる河野家だ。故に我らは河野への援軍を手配している最中だ。」
「では村上水軍を使い瀬戸内海を渡り四国に兵をお出しになるのですね?」
「直虎、これならば問題あるまい?」
そう言いながら直虎へとそれを渡した。
直虎はそれを読み終えるとそれを皆に渡した。
全員が書状を読み終えると
「なるほどのぉ、まさかこのようなものを手に入れるとはさすがは伊賀の忍び。」
「殿に言われたことをうちの若いのがこなしただけじゃがな。」
「丹波、これを行ったのは藤林長門守か?」
「その通りじゃ。殿、よく覚えておられたな。」
「お前が推したほどの者を忘れるわけがなかろう。神威家の長として、有能な者は皆覚えておるさ。家臣の家臣だろうとな。」
刹那のその姿勢に感銘を受け、自分も刹那のような当主にならねばと改めて思う直虎であった。
「さて、毛利を動かす情報が手に入ったから、この情報を毛利に送り恩を売ろうと思うが、さて、誰を使者に立てるべきか。」
「わしはもう年じゃからのぅ。のぉ、幸隆。」
「そうでございますな、海玄様。」
「そもそも行かせるつもりはないわ。海玄になにかあったら松や菊に叱られてしまうからな。」
「では、どの者に。」
「左近、一人試したい者がおる。その者に行かせようかと思ってな。」
「ほう。殿がそう言うのでしたら間違いないでしょうな。」
「あぁ。新田友作に行かせる。」
刹那がそうゆうとすぐに友作がその場に呼ばれた。
「殿、俺になにか御用ですか?」
「あぁ。ぜひお前にやってもらいたいことがある。」
「殿のためならこの新田友作、どんなことでもいたしやしょう。」
「ふっ、頼もしいな。」
刹那は友作にこれまでの経緯や、任務についての話を一通りした。
「なるほど、つまりは毛利に恩を売れってことですね。」
「さすが、察しがいいな。その通りだ。大きな恩になるか、小さな恩になるかはお前次第だぞ。」
「なるほど、それは面白い。お任せください。」
友作はそう言うと部屋を後にした。
友作が去った後、
「どうだ、直虎。面白いやつだっただろう。」
「ええ、これだけの重臣達を前にしても物怖じせず、むしろ自信満々に出ていきました。」
「あいつは使える男だ。だが、癖が強い。手懐けられるかはお前の力量次第だ。」
「はいっ。」
友作は自分の部屋で出かける準備を整えるとすぐに刹那の元へ戻り出る挨拶を済ませると毛利の本拠地である吉田郡山城へと向かったのであった。
友作を送り出した刹那は左近を部屋へ呼んだ。
「殿、お呼びですか。」
「あぁ。丹波に長宗我部の動きを、半蔵に大友の動きを調べさせている。そこが動き次第我らも動く。そのための兵力を用意してといて欲しい。」
「どのくらい用意いたしましょうか。」
「長宗我部の兵力は1万5千ほどだったか。」
「はい。一両具足と呼ばれる農民の兵力がその8割を占めているそうです。」
「そうか。では、こちらは4万の兵を用意しよう。一両具足は油断ならない兵力だ。こちらも精鋭だけで挑む。」
「承知いたしました。」
「後、羽柴との領土境にもある程度の兵を出しておけ。攻めては来ないだろうが、油断は禁物だからな。」
「義重殿にも声をおかけしますか?」
「そうだな。兵を出してもらうことはなくていいが、兵を通ることを配慮しておいてもらったほうが良いだろう。」
「はっ。」
左近が出ていくと刹那はすぐに家康宛と直親宛の書状を書いて届けさせた。
友作が霧山御所を出てから15日余りが過ぎた頃、友作は吉田郡山城へと到着していた。
神威家からの使者であることを説明するとその日のうちに毛利家当主の毛利輝元とその叔父である吉川元春、小早川隆景と会うことが叶った。
先に平伏して待つ友作に輝元が声をかけた。
「神威家からの使者とやら、面をあげよ。」
「お初にお目にかかります。神威刹那が家臣、新田友作と申します。」
「うむ。して、徳川家の筆頭家老である神威殿が毛利家にどのような用件であろうか。」
「まずはお人払いをお願い致します。」
友作がそう言うと輝元は隆景のほうへ目線をやり、隆景もそれに小さく頷いた。
「隆景、元春以外の者は外へ出よ。」
輝元はほかの者が出たのを確認すると
「この二人は構わぬな?」
一応の確認を取った。
「はっ。」
「では、神威殿からの言伝を承ろう。」
隆景がそう言った。
「まず、毛利家では長宗我部の不審な動きをご存知でしょうか?」
その友作の問いに元春が
「ふっ、そのようなことわざわざ徳川から知らせられなくとも知っておるわ。」
「では、長宗我部がどこを攻めるかも?」
「我らと誼を通じておる河野家だ。故に我らは河野への援軍を手配している最中だ。」
「では村上水軍を使い瀬戸内海を渡り四国に兵をお出しになるのですね?」
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