クラスで異世界に転移するまではいい、でも175㎝の俺が踊り子って誰得だよ!

荒瀬竜巻

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弟に捧ぐ

俺の弟がブラコンなわけがない

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「えっと、あの、……マジ?」

「もちろん単なる偶然かもしれません。世界には似てる人が3人いるらしいです、異世界にも似た人はいるのかもです」

もし俺の考えが合っているとするなら、タマモは遠い遠い親戚という事になる。そうだとしたら俺は必然的に知る事になってしまう、運命ってのは思ったより身近にあるものだということと、ここまで遠くなってもまだ似てしまうぐらいに巳陽の血は濃いってことに。

本人はどれだけ蓮と似ている中がわからないからか、遠慮気味に信憑性のなさを伝える。俺からしたら無意味なものだけど、他人の空似とかそんな生易しいもんじゃない、ここまで似ていて他人同士ってのは逆に恐ろしいと感じてしまう。

「……なんだか不思議ですね、そんな僕が梓さんの事をお兄さんと呼びたがったなんて」

「え? いや、複雑なもんだぞ。それに今回の件でタマモも失望したぢろ?」

「まさか、むしろその逆です。僕が守らないといけないと確信しました」

不屈にも限度ってもんがあるだろう。守る相手はちゃんと選んだほうがいいと伝えたいけれど、目がキンキラキンだから反論出来ない。意欲が凄すぎて負ける自信しかない。

「おそらく弟さんも同じ気持ちだったと思います。梓お兄さんは魅力的な方ですから、どこぞの悪い虫に憑かれないようにっていつも注意してたのだと思います」

そ、それな流石にないだろう。千切れるぐらいに頭を振ってそれを拒否した、振りすぎて気持ち悪くなったけど、それぐらいありえないのだとわかってもらえればそれでいい。

たしかにまるで兄の事を妹か何かのように口うるさく叱ってくるけれど、そんな事はは怒るはずがない。実際にこの異世界にくるまで俺の貞操は傷一つつかなかった……まあ薫をはじめとする奴らに狙わせてはいたけれど、それは例外中の例外だと思ってる。

「失礼ですが、弟さんは具体的にどんな注意喚起をされていたんですか?」

「えっと、そんな聞いてて楽しいもんじゃないけど、まあ先ずは門限付けられてた」

「えっ……まだ門限ですか。因みに何時まで?」

「普通じゃねえの? 蓮は普通って言ってたぞ、時間は7時だ」

「あの、そちらの世界のルールは詳しくないので感覚が掴めないのですが、恐らくそれは普通じゃないかと」

「……マジで?」

「大マジです」

おいどういう事だってばよ蓮、話と違うじゃあねえか。確かに周りで門限持ってる人はいなかったけど、オマエはとびきり鈍感でノロマなんだからルールは普通だよって……世間ではそれを普通ではないと言うのだろう。ここに来てなんだかんだ家族としては婆ちゃんの次に信じていた蓮の存在が危うくなり始めている。これじゃあまるで、蓮が兄貴大好きなやばいやつみたいに聞こえてしまう。家族に振り回らない天才児がそんなブラコンなわけないのに。

因みに間違っても門限を破るなんて考えない方がいい。俺は電車とバスを立て続けに間違えた事が原因で一度だけ門限に遅れた事がある。するとどうだ、それからと言うもの1分おきに今どこにいるとか、迎えにいくだのの催促LI○Eが送られてくる、電話もかかる。なんとか家まで帰ると玄関で出待ちされて挙げ句の果てには風呂も飯も乳児のように世話をされて、就寝時も弟の部屋で眠らされるといったプレイのような罰が待っている。

ちなみにそん時は間違ってもお仕置きセックスみたいな流れにはなっていない。処女だった頃が俺にもあった。

「他には?」

「んーなんだかんだ門限に関することが1番厳しかったな。でもそれ以外にウザかったのが情報統制」

「じょ、情報統制!? 気分はまるで独裁者ですね……」

今となっては俺もそう思う、なんであの頃は疑問に思ってなかったんだろう。因みに情報統制ってのは読む雑誌や漫画は勿論ゲームも規制されてて、あとスマホもどんなの見てるのか逐一調べられてた。うん本当にやばい。いやいや蓮はブラコンではない、ただ鈍臭い兄貴が心配で色々やりすぎちゃってるだけなんだ。いい弟だなー……

「うーん、、こんなこと言いたくないですが、僕はその弟さんに勝てる気がしません」

「そんな勝負なんてしなくていいよ、……どう言うことだ?」

「ハッキリ申し上げますと、弟さんはブラザーコンプレックスというやつです、しかも重度の」

……まさか、そんなわけないだろ。

「いやいや、あの天才児で優等生な俺の弟がブラコンなわけないだろ」

「いえ、どう考えてもブラコンです。梓さんから距離をとったほうがいいレベルの」

やばい、否定したいのに反論材料がない。今までのダメな兄貴を思っての奇行と思って目を瞑って知らない間に洗脳されるほどに見慣れたそれが、ブラコンという言葉を使えば全て辻褄が合う。それは恐ろしいことだった。

なんだかとてつもない真実を知ってしまった気がする。
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