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船上でのすったもんだ
あれこれ
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「お、おい。健吾もいるんだから……」
咄嗟に出た言葉がそれだった。今はようやく健吾も落ち着きを取り戻り始めた時なのに、遠慮も戸惑いも何もないまま、平気な顔しての無慈悲な質問だった。奥で健吾が小動物のように怯えた目でプルプルしているのがなんとも可哀想だ、まあ突き付ければ全部俺が悪いんだけども。
「いいじゃんせっかく2人いるんだから。エアでもいいから実践してみて!」
「じっ!?」
そうかそうか、つまりお前はそう言う奴なんだなってほざきやがったいつかの教科書に載ってた奴の気持ちがよくわかる。友達に無慈悲なことをされて嫌だと思った時、怒るんじゃなくてちゃんとそう言う呆れに近い感情も抱くんだ。
しかし当の本人は何も悪びれる様子がない、早く早くと次なる行動を待っている無垢な子供のような目だ。口頭で説明するので許してくれないかと掛け合ってみると、存外快く許可してくれた。知れればそれだけで良いらしい、なんとも欲のない話だが、今は最高にありがたかった。目を逸らす健吾を尻目に、話始める。保険のつもりで別に聞いても面白い話ではないと前置きを置いた。
「……まず健吾が俺にアナニーの仕方を習いに来た」
「わはは!」
「もう笑い取れてる」
はっや話初めてまだ3秒なのに、なんでそんなことで笑ってんだ。まあ側から聞いたら確かにとち狂ってる話ではあるけども。そもそも面白くない話の面白いってそう言う意味じゃない。まだツボが浅かったらしく、すぐにケロッとしてまたウキウキした顔に戻った。
「それで、教えたのか?」
「うん」
「で?」
「……俺も興奮した」
ほうほうとソムリエみたいに余裕そうな顔でその話を楽しむ晴雄に少し驚く、もっと怖がってもいいはずだ。しかも目の前にそのレイプ犯いるんだけど。
「いやさ、興奮して逆レしちゃった梓思い浮かべたら可愛くってね」
ナチュラルに言ってることの意味がわからない。その前に俺考えてること読まれた? また俺の悪い癖な顔に出やすいのを恥もなく晒してしまったのか。それとも何かしらの電波か特殊能力使って分かったんか。晴雄の場合は後者もあり得るのが怖いところだ。
「どんな感じで興奮したの?」
「いや、体が熱くなる感じで……」
「へぇー」
やばい恥ずかしいのがちょっと戻ってきた。まだ萎えることなく目をキラキラしてんのがちょっと怖い。そしてその無垢な好奇心によるなんとも言えない恐怖がついに完成される頃に、
「俺もやられてみたい!」
「なんでだよ!」
俺の恥ずかしさと共にこいつの好奇心も爆発したようだ。そんな逆レ願望を晒されたってどうすればいいんだよ。わかった、じゃあヤルとかそんな話ではない。
「お願い! 仁には黙っててやるから!」
仁と言われてグザッときた。なんで不良のあいつが俺に一途で、パンピーの俺がこんなプレイボーイなんだよ。まあ入れられる方だけど。そうだった、晴雄は俺の弱みを握っていると言っても過言ではない。健吾がいいならずっと黙ってたいぐらいの黒歴史だ。でも黙ってるのもなんだか騙してる気がして申し訳ないし、どうすればいいんだよ。
「んーじゃあこうしよう。健吾のやつは俺も一緒に謝ってやるから、俺を逆レイプしたのは黙ってよう!」
そもそも双方の合意があったらそれは逆レではないが、それに関してはいいのだろうか。気にしてなってことはいいんだろうな。その前にさあこいとバスタオル外して全裸になるこいつの将来が心配だ。
「……ごめん梓、僕もう耐えられない」
顔真っ赤にした健吾が早足で風呂場を出て行った。本当に声をかける暇もなく。わかるよその気持ち、俺もこの空間にいたくない、すごいわかる。しかし勝手に焦っては勝手に納得している俺とは対照的に、勝ち誇った顔一辺倒な晴雄がいる。
「これで誰もいなくなったな。気にすんなって、楽しめよ」
楽しめよ、健吾に対してもそんなこと言ってしまったなとここに来て後悔が舞い戻ってきた。仕方ないなと思うのが5割、ちょっと恥ずかしいが4割、しかし1割の期待が混合する心を持て余して、俺は晴雄に近づいた。
咄嗟に出た言葉がそれだった。今はようやく健吾も落ち着きを取り戻り始めた時なのに、遠慮も戸惑いも何もないまま、平気な顔しての無慈悲な質問だった。奥で健吾が小動物のように怯えた目でプルプルしているのがなんとも可哀想だ、まあ突き付ければ全部俺が悪いんだけども。
「いいじゃんせっかく2人いるんだから。エアでもいいから実践してみて!」
「じっ!?」
そうかそうか、つまりお前はそう言う奴なんだなってほざきやがったいつかの教科書に載ってた奴の気持ちがよくわかる。友達に無慈悲なことをされて嫌だと思った時、怒るんじゃなくてちゃんとそう言う呆れに近い感情も抱くんだ。
しかし当の本人は何も悪びれる様子がない、早く早くと次なる行動を待っている無垢な子供のような目だ。口頭で説明するので許してくれないかと掛け合ってみると、存外快く許可してくれた。知れればそれだけで良いらしい、なんとも欲のない話だが、今は最高にありがたかった。目を逸らす健吾を尻目に、話始める。保険のつもりで別に聞いても面白い話ではないと前置きを置いた。
「……まず健吾が俺にアナニーの仕方を習いに来た」
「わはは!」
「もう笑い取れてる」
はっや話初めてまだ3秒なのに、なんでそんなことで笑ってんだ。まあ側から聞いたら確かにとち狂ってる話ではあるけども。そもそも面白くない話の面白いってそう言う意味じゃない。まだツボが浅かったらしく、すぐにケロッとしてまたウキウキした顔に戻った。
「それで、教えたのか?」
「うん」
「で?」
「……俺も興奮した」
ほうほうとソムリエみたいに余裕そうな顔でその話を楽しむ晴雄に少し驚く、もっと怖がってもいいはずだ。しかも目の前にそのレイプ犯いるんだけど。
「いやさ、興奮して逆レしちゃった梓思い浮かべたら可愛くってね」
ナチュラルに言ってることの意味がわからない。その前に俺考えてること読まれた? また俺の悪い癖な顔に出やすいのを恥もなく晒してしまったのか。それとも何かしらの電波か特殊能力使って分かったんか。晴雄の場合は後者もあり得るのが怖いところだ。
「どんな感じで興奮したの?」
「いや、体が熱くなる感じで……」
「へぇー」
やばい恥ずかしいのがちょっと戻ってきた。まだ萎えることなく目をキラキラしてんのがちょっと怖い。そしてその無垢な好奇心によるなんとも言えない恐怖がついに完成される頃に、
「俺もやられてみたい!」
「なんでだよ!」
俺の恥ずかしさと共にこいつの好奇心も爆発したようだ。そんな逆レ願望を晒されたってどうすればいいんだよ。わかった、じゃあヤルとかそんな話ではない。
「お願い! 仁には黙っててやるから!」
仁と言われてグザッときた。なんで不良のあいつが俺に一途で、パンピーの俺がこんなプレイボーイなんだよ。まあ入れられる方だけど。そうだった、晴雄は俺の弱みを握っていると言っても過言ではない。健吾がいいならずっと黙ってたいぐらいの黒歴史だ。でも黙ってるのもなんだか騙してる気がして申し訳ないし、どうすればいいんだよ。
「んーじゃあこうしよう。健吾のやつは俺も一緒に謝ってやるから、俺を逆レイプしたのは黙ってよう!」
そもそも双方の合意があったらそれは逆レではないが、それに関してはいいのだろうか。気にしてなってことはいいんだろうな。その前にさあこいとバスタオル外して全裸になるこいつの将来が心配だ。
「……ごめん梓、僕もう耐えられない」
顔真っ赤にした健吾が早足で風呂場を出て行った。本当に声をかける暇もなく。わかるよその気持ち、俺もこの空間にいたくない、すごいわかる。しかし勝手に焦っては勝手に納得している俺とは対照的に、勝ち誇った顔一辺倒な晴雄がいる。
「これで誰もいなくなったな。気にすんなって、楽しめよ」
楽しめよ、健吾に対してもそんなこと言ってしまったなとここに来て後悔が舞い戻ってきた。仕方ないなと思うのが5割、ちょっと恥ずかしいが4割、しかし1割の期待が混合する心を持て余して、俺は晴雄に近づいた。
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