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案内されて歩いてきたが目的の場所に到着したようだ。
目の前にある金細工があしらわれた立派な扉が両端にいた人間によって開かれた。
開かれた先に居たのは人間の王と、補佐官らしき人物。
ファーストは私を抱えたまま王の目の前まで歩いてようやく私を降ろした。
「冒険者のファルスよ、よく来てくれた。この人物こそがダンジョンの管理者なのだろうか?」
補佐官は不思議そうに話をする。
「あぁ、そうだ。彼女がいればどんなダンジョンも作り上げる事が出来る。彼女に手を出すとこの世界全てのダンジョンが消滅する」
ファーストは色々と端的にしているけれど、王と補佐官らしき人物に私のことを説明している。
「ファルスが連れてきた人物は、白い羽のそのお方は神が遣わした天使ではないのか?」
?
先ほど街で聞いたような話をここでも補佐官らしき人物はファルスに聞いている。
私が神の使い?
よくわからない。
首を傾げていると、ファーストが代わりに話をする。
「改めて言うが、彼女はダンジョンの管理者だ。王よ、王都の中央広場にダンジョンを作れば良いのだな?」
ファーストは補佐官に聞かれたことを説明する気はないらしい。
「あぁ。初心者向けのダンジョンが欲しい。本当にダンジョンを作る事で街の瘴気は減るのだろうか?」
「あぁ。もちろん減る。魔物も王都には入れなくなるし、多少の人々の争いも減っていくだろう」
確かに瘴気が濃いと瘴気のために魔物が集まる。人間はもちろんのこと瘴気の濃い場所は私達以外生きていけないのだ。
人間は瘴気が薄い場合でも人体に影響するらしく、争いが起こる事があるようだ。
人間の負の感情が瘴気を生み出す要因の一つでもある。人間が多く集まる街では瘴気も多く発生するのだろう。
そう考えれば人間達が住む場所にダンジョンを作るのは一番効果的だ。
ダンジョンがある事で、生まれ続ける瘴気を吸い続けることができる。
だが人間達用の初心者ダンジョンという事は弱い魔物でなければいけない。当然瘴気を吸う力も弱い。
ファーストのいうような効果は出ないだろう。
何かしらの工夫は必要なようだ。
まぁ、私はただダンジョンを作ればいいのね。私は新たに作るダンジョンに思いを馳せていると人間の王は私に声をかけてきた。
「ダンジョンの管理者よ、名前は何と言うのだ?」
「私の名はムロー。貴方の望みである人間に合わせた初心者用ダンジョンを造ればいいのね? 言っておくけれど、味を占めて私を攻撃したり、捕まえて無理に働かせようとしても無理よ? その時点で世界中のダンジョンが崩壊するわ。あくまで私は依頼されたから作るだけ」
「もちろん身の安全は保証する」
「分かったわ。ダンジョンが完成したら王様の前に現れればいいかしら?」
「宜しく頼む」
あっさりと話は進み王都の中心にダンジョンを作ることになった。
国所有のダンジョンになるためダンジョン完成後の報酬や入場料などの話をしているようだ。
後の事はファーストに任せておけばいいわ。私はそれ以上口を開く事なくただ状況を見守る事にした。
といってもこちら側は作るだけだから話し合いも何もない。
魔族は人間が使っている貨幣には興味がない。
瘴気があれば生きていけるのだから。
……初心者用ダンジョンねぇ。
弱いモンスターだけでは人間が多く住む場所から生み出だされる瘴気を吸いきる事は出来ない。
階数を多くするしかないかしら?
別の手もあるけれど、もしかしてファーストはそれを狙っているのかしら?
私が頭の中で一人考えているとファーストから声が掛った。
「……戻るぞ」
私は口を開く事なくそのままファーストの後ろに付いて歩く。
「ファー、王都の中央に作るダンジョンは私の好きなようにしていいの? 目的は瘴気を減らす事よね?」
「あぁ、そうだ。ダンジョンの事は全て任せる。どれだけ広く作ろうが、深く作ろうが構わない」
私はファーストの言葉に納得する。あぁ、ファーストはあれを望んでいるのね、と。
「ねぇ、街を見ても良いでしょう? 連れて行って欲しいわ」
「……仕方がないな。お前の頼みだ」
私達は城を出た後、王都の街を歩く。
城を出る前にファーストは私に平民の女の一般的な服装だと魔法を掛けた。私の服装と髪色は人間の女の容貌になった。
「へぇ、王都に住む人間の女はこんな格好をしているのね」
「やはりお前は取り込む人間が偏っているようだ。当分の間ここで人間観察をしておくといい」
「わかったわ。ここなら人間は沢山いて人間を知るには打ってつけだものね」
「あぁ。だが、余計なことをするな」
「もちろん、分かっているわ」
そうして私はファーストに案内されながら店を一軒一軒覗いていく。
雑貨という人間が暮らす上で必要な物が売られている店やギルド、武器屋、防具屋、魔法屋、食堂という食べる物を扱う店もあった。試しに露店で売っていた食べ物を食べてみるとそこそこ美味しい。
どれも魔族には必要のない物だけれど見るもの全て新鮮で楽しかった。
もちろん店の内装や建物もしっかりと目に焼き付けている。
人間の住む家の中に入った時はとても驚かれたわ。
どうやら家に勝手に入ってはいけないようだ。住んでいた人間は怒り出したけれど、ファーストが諫めてくれたの。
「お嬢様は今日初めて王都を散策し、庶民の暮らしが知りたいので立ち寄ったのだと。突然すまなかったな。礼はここに置いておく」
ファーストはいくつかの貨幣を机の上に置くと人間は喜んで頭を下げていたわ。ある程度見て回った後、街の中心にある広場へとやってきた。
ここは既にロープが張られ、ダンジョン予定地と書かれてあった。
「ファー。有難う。これから暫くは篭るわ」
「あぁ。また何かあったら言ってくれ」
「うん」
そうして私は魔法を解き、本来の姿でスキルを使った。もちろん仮面は外していない。
せっかくファーストが私に作ってくれたんだもの。
さっそく建設予定地である街の中央に行き、スキルで地中に潜り小さな空間を作りはじめる。
目の前にある金細工があしらわれた立派な扉が両端にいた人間によって開かれた。
開かれた先に居たのは人間の王と、補佐官らしき人物。
ファーストは私を抱えたまま王の目の前まで歩いてようやく私を降ろした。
「冒険者のファルスよ、よく来てくれた。この人物こそがダンジョンの管理者なのだろうか?」
補佐官は不思議そうに話をする。
「あぁ、そうだ。彼女がいればどんなダンジョンも作り上げる事が出来る。彼女に手を出すとこの世界全てのダンジョンが消滅する」
ファーストは色々と端的にしているけれど、王と補佐官らしき人物に私のことを説明している。
「ファルスが連れてきた人物は、白い羽のそのお方は神が遣わした天使ではないのか?」
?
先ほど街で聞いたような話をここでも補佐官らしき人物はファルスに聞いている。
私が神の使い?
よくわからない。
首を傾げていると、ファーストが代わりに話をする。
「改めて言うが、彼女はダンジョンの管理者だ。王よ、王都の中央広場にダンジョンを作れば良いのだな?」
ファーストは補佐官に聞かれたことを説明する気はないらしい。
「あぁ。初心者向けのダンジョンが欲しい。本当にダンジョンを作る事で街の瘴気は減るのだろうか?」
「あぁ。もちろん減る。魔物も王都には入れなくなるし、多少の人々の争いも減っていくだろう」
確かに瘴気が濃いと瘴気のために魔物が集まる。人間はもちろんのこと瘴気の濃い場所は私達以外生きていけないのだ。
人間は瘴気が薄い場合でも人体に影響するらしく、争いが起こる事があるようだ。
人間の負の感情が瘴気を生み出す要因の一つでもある。人間が多く集まる街では瘴気も多く発生するのだろう。
そう考えれば人間達が住む場所にダンジョンを作るのは一番効果的だ。
ダンジョンがある事で、生まれ続ける瘴気を吸い続けることができる。
だが人間達用の初心者ダンジョンという事は弱い魔物でなければいけない。当然瘴気を吸う力も弱い。
ファーストのいうような効果は出ないだろう。
何かしらの工夫は必要なようだ。
まぁ、私はただダンジョンを作ればいいのね。私は新たに作るダンジョンに思いを馳せていると人間の王は私に声をかけてきた。
「ダンジョンの管理者よ、名前は何と言うのだ?」
「私の名はムロー。貴方の望みである人間に合わせた初心者用ダンジョンを造ればいいのね? 言っておくけれど、味を占めて私を攻撃したり、捕まえて無理に働かせようとしても無理よ? その時点で世界中のダンジョンが崩壊するわ。あくまで私は依頼されたから作るだけ」
「もちろん身の安全は保証する」
「分かったわ。ダンジョンが完成したら王様の前に現れればいいかしら?」
「宜しく頼む」
あっさりと話は進み王都の中心にダンジョンを作ることになった。
国所有のダンジョンになるためダンジョン完成後の報酬や入場料などの話をしているようだ。
後の事はファーストに任せておけばいいわ。私はそれ以上口を開く事なくただ状況を見守る事にした。
といってもこちら側は作るだけだから話し合いも何もない。
魔族は人間が使っている貨幣には興味がない。
瘴気があれば生きていけるのだから。
……初心者用ダンジョンねぇ。
弱いモンスターだけでは人間が多く住む場所から生み出だされる瘴気を吸いきる事は出来ない。
階数を多くするしかないかしら?
別の手もあるけれど、もしかしてファーストはそれを狙っているのかしら?
私が頭の中で一人考えているとファーストから声が掛った。
「……戻るぞ」
私は口を開く事なくそのままファーストの後ろに付いて歩く。
「ファー、王都の中央に作るダンジョンは私の好きなようにしていいの? 目的は瘴気を減らす事よね?」
「あぁ、そうだ。ダンジョンの事は全て任せる。どれだけ広く作ろうが、深く作ろうが構わない」
私はファーストの言葉に納得する。あぁ、ファーストはあれを望んでいるのね、と。
「ねぇ、街を見ても良いでしょう? 連れて行って欲しいわ」
「……仕方がないな。お前の頼みだ」
私達は城を出た後、王都の街を歩く。
城を出る前にファーストは私に平民の女の一般的な服装だと魔法を掛けた。私の服装と髪色は人間の女の容貌になった。
「へぇ、王都に住む人間の女はこんな格好をしているのね」
「やはりお前は取り込む人間が偏っているようだ。当分の間ここで人間観察をしておくといい」
「わかったわ。ここなら人間は沢山いて人間を知るには打ってつけだものね」
「あぁ。だが、余計なことをするな」
「もちろん、分かっているわ」
そうして私はファーストに案内されながら店を一軒一軒覗いていく。
雑貨という人間が暮らす上で必要な物が売られている店やギルド、武器屋、防具屋、魔法屋、食堂という食べる物を扱う店もあった。試しに露店で売っていた食べ物を食べてみるとそこそこ美味しい。
どれも魔族には必要のない物だけれど見るもの全て新鮮で楽しかった。
もちろん店の内装や建物もしっかりと目に焼き付けている。
人間の住む家の中に入った時はとても驚かれたわ。
どうやら家に勝手に入ってはいけないようだ。住んでいた人間は怒り出したけれど、ファーストが諫めてくれたの。
「お嬢様は今日初めて王都を散策し、庶民の暮らしが知りたいので立ち寄ったのだと。突然すまなかったな。礼はここに置いておく」
ファーストはいくつかの貨幣を机の上に置くと人間は喜んで頭を下げていたわ。ある程度見て回った後、街の中心にある広場へとやってきた。
ここは既にロープが張られ、ダンジョン予定地と書かれてあった。
「ファー。有難う。これから暫くは篭るわ」
「あぁ。また何かあったら言ってくれ」
「うん」
そうして私は魔法を解き、本来の姿でスキルを使った。もちろん仮面は外していない。
せっかくファーストが私に作ってくれたんだもの。
さっそく建設予定地である街の中央に行き、スキルで地中に潜り小さな空間を作りはじめる。
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