最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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13章

335話 新しい相手

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 南西エリア3、この4方向以外のマップはそれぞれ特徴があるのと、エリアによっては存在しない所もあるのだが……これに合わせてダンジョンもあるなら結構マップは広いのか。って言うか、そもそも小エリアを跨ぐのにも遠かったりするので、マップの数は少なめだけど、マップの広さ自体は結構あるって事だよな。

「だからって広すぎる弊害が此処に出るってなあ!」

 このゲーム、色々なゲームの要素を引っ張ってきているので、そんな物あるんだって感じの状態になったりする。そして今この状態こそが「そんな物があるんだ」って状況になる。

「下見程度で帰還しようと思ったけど、此処まで来たらなあ……」

 南西エリア3-1に初めてやって来て、なおかつ結構進んで南西3-2手前まできた所なのだが、今足止めされている最中になる。その足止めってのが単純に吹雪。舎弟に聞いた通りの雪山……と言うか雪原が広がっているエリアで、天候がまあ変わる。
 雪の反射で眩しいなーと思っていたら、あっという間に曇天からの雪、そこから風が吹いて一気に吹雪になり、前にも後ろにも進めないって言う状況になっている。
 その上でその吹雪を私はどうやって防いでいるかと言うと、吹雪が発生すると共に自然とカマクラが出来て、そこに避難できますと、これ見よがしに見せつけてくる。

「北国出身だとしても、寒いのは苦手だわ」

 北に住んでるからって寒さに強いって誰が言ったんだよ、マジで。我慢できるかできないかって言ったらそら寒い方がまだ我慢できるから良いとして、ゲーム内でもこんな風に吹雪をしのがないといけないとは……。

「……視界の端が凍れてる、これ状態異常か」

 演出として、視界が狭まったり曇ったりするゲームはあるのだが、基本的に一人称のこのゲームで視界が凍れるって事は、何かしら問題が出ているはず。すぐさまステータスのウィンドウを開いて確認すれば『状態:凍結(低)』と表示されている。

「こういう時はマニュアルの状態異常を確認して、と」

 外はまだまだびゅうびゅうと吹雪いているので先にこの状態を確認。
 暫く確認すれば、寒冷地に一定時間いると付与されるもので、戦闘行動、通常行動諸々含めてかじかんでしまい、動きにくくなるというもの。さらにこの凍結が進んで行けば「低、中、高」となり最終的に殆ど動けず、スリップダメージを貰って死ぬらしい。
 
「つまるところ、防寒なり、温まりながら先に進むってのが大事と……ついでに言えばモンスターのアベレージも高いから凍結からのボコられがきついって感じかなあ……」

 葉巻に火を付けて一服したい所だが、これ窒息とかはないよな?
 わかさぎ釣りのシーズンになると毎年のようにテントで一酸化中毒で死ぬアホがいるのを見るからカマクラでこういう煙の出る物って抵抗感が凄い。ゲームだから死んだところで経験値と金を持ってかれるだけなので失うものは命ではないんだけど、やっぱりね。

「燃える物を持っていないのが痛いなぁ……火炎瓶はあるけど、自爆するだけだし」

 一応雪風は凌げているので、状態異常の進行は止まっているが、晴れている状態で外を出回り続けていたら多分もっとひどくなる。何て言ったって防寒って事をしていないのもあるし、普通に動いているだけで積雪のある所を移動するって体力も奪われる。
 
「あー、微妙なとこ……エリア境に安置があるみたいだから、そこまで行って、転移して帰還がいいかなあ」

 こう、モンスター以外の所で装備を変えたり、対策を取らないといけないってゲームは好きなのでこういう状況も一応楽しんでいるが、これが続くとなると、やっぱり防具周りも新調しないといけないのだが。

「まあ防具はすぐだとして、武器とこの雪中行軍をどうするかが問題だけど」

 トラッカーを使って、カマクラの入口から顔を出して、まだそれなりに吹雪いている中を見渡すとすぐ近くにモンスターがちらりと見える。ちなみにここのモンスターはこんな感じ。マップに入ったら一覧で見れるようになるのすげえ便利だけど、合わないとどんな敵か分からないのは痛い。


南西エリア3-1
LV50 ホワイトスネーク
LV52 スノーウルフ
LV54 スノークオーク(拳)
LV54 スノークオーク(斧)
LV56 スノークストンハイ


 今の所、このモンスター群、何一つ遭遇していなかったってのもあったんだが、ここにきて初めて遭遇するとは。
 それにしてもまさかとは思うが、あいつらカマクラに避難している所に攻撃ってのは。

「まあ、してくるわな!」

 こっちを認識したのか一気に接近してくると、私をカマクラごと体当たりをしてくる。
 ぼふんと籠った音と共に、白煙が舞い、カマクラを吹っ飛ばしつつ、何とか横っ飛びで回避した所でトラッカーを再発動してこの真っ白な世界に赤い色を差し込ませる。

「何だ、あれ」

 高速で接近してきたので狼か大きい蛇ってのを予想していたのだが、雪面にちらちらと赤いものが飛び出ているだけで、少なくとも蛇と狼ではない。ついでに言えばオークでもないってのを確定だが。

「いやあ、まさかそんなねえ」

 大きく回り込みながら此方に接近してくるのが分かるのでCHを片手に構えつつ、持ってきていた火炎瓶を突撃してくるルート上に投げ込んで炎上。
 吹雪に雪面と言う悪条件でいつもよりも炎上の広がり具合はないが、少しだけ積雪を溶かし、その炎上している中に突っ込んでくるモンスターを確認。

「ああ、やっぱり!」

 炎上している中も減速せずに突っ込んでくるのに合わせてもう一度横っ飛び。
 多少なりと溶けた雪面から覗いたあの突撃してくるモンスターの正体だが、サメよ、サメ。雪面泳いでくるサメとかすげえ厄介なんだけど、ファンタジーだよなあ。

「手持ちの武器で対抗する方法が見当たらん」

 大きく迂回して助走距離を取ってから一気に突撃、何度か繰り返してからあんぐり口を開けてこっちを食しに来る。直線的な攻撃なので横っ飛びで回避できるだけまだ余裕な相手なのだが、結構利に適っているというか、何一つ防寒をしていないってのが此処に来てじわじわと私の体をむしばんでいく。

「なるほど、凍結の進行が進むと視界が狭まるんだな」

 視界の端が白く凍った様な演出が入りつつ、画面上に凍結注意としての警告が黄色の表示で出てきている。動きの鈍った所を倒すって感じか、あのサメは。
 向こうはそんな事知ったこっちゃないという勢いで、さっきと違って口を開けてこっちに突撃してくる。その攻撃に合わせて横っ飛びと共にCHで一発。
 ドゴっと派手な銃声音をさせるのだが、直撃せずにサメの体の一部を掠めさせる程度。

「やばい、思った以上にこの状態異常がきつい」

 一応曲撃ちの補正が掛かっているので変な状態からの射撃でもそこそこの命中力があるはずなのだが、それよりも手がかじかんだように動かなかったので、状態異常のマイナス補正ってのが中々高い。

「って言うか、あの一撃離脱戦法すげえ有利じゃねえか!」

 雪をかき分けてくる大きい音をさせて迂回している雪サメを見ながら手早く装填……することも出来ず、もたもたといつもより時間が掛かる。
 
「ふー……」

 すげえな凍結の状態異常になると、手も震えるのか。
 かちゃかちゃと金属がぶつかる音をさせ、白い息とともに装填完了。
 また突っ込んで突撃攻撃か、と思いきや、手前で潜航。CHを構えたまま潜航地点を見据えつつ、雪に足を取られながらも横に移動していると、自分の少し前、足元から口を開けて一気飛び上がってくる。
 サメ特有のギザ歯……まあ、私と同じような歯か、咄嗟にガンシールドで防ぐが、そのまま突撃の衝撃を殺せずにごろごろと後ろに転がり、雪塗れ。攻撃してきたサメはそのまま私の上を通り過ぎ、先程と同じ助走をつけ始める。

「反撃もままならんなあ……って言うかいつもなら接近戦でがんがん戦うから勝手が違うわ」

 迂回して突撃準備中のサメを見てから、雪塗れになった髪の毛を手で払い、軽く髪の毛を後ろに流してから火炎瓶の用意。

「死ぬなら死ぬで良いんだが、負けるってのはないわ」

 ギザ歯を見せてから火炎瓶を振り上げ、思いっきり足元に叩きつける。
 当たり前だが、自爆ダメージで炎上していくが、状態異常が凍結から炎上に代わり、スリップダメージを受け続ける。勿論視界の白いのも消えるが、代わりに視界がオレンジ色にかつ赤い警告で炎上と出てくる。

「掛かって来い、サメ公」

 そのまま燃えた状態で噛みついてくるサメに対してCHを持っている左腕を口の中に突っ込んで、燃えたままサメと一緒に雪面を滑走する。
 噛まれたダメージもあるし、炎上ダメージもあるし、雪面に擦らされて、除雪車の先についてる雪はね見たいな状態でダメージもある。みるみるHPは減っていくし、HP減少の警告音が鳴り響く中、口の中に突っ込んだままのCHをぶっ放す。
 くぐもった音大きい音を聞きながら暫く引きずられ、サメが止まった所で雪面にごろごろと投げ出されて炎上の状態異常が雪のおかげで消滅、また凍結の状態異常に掛かり始める中、ポリゴン状に消失していくサメを見てため息一つ。

「ぶはっ、やっべ、死ぬかと思った」

 いつもならこのまま暫くぐったりした状態でどうにか落ち着くまで待つのだが、そんな悠長な事をやっている暇はない。すぐに起き上がり、HPポーションを流し込んで近場にあるカマクラを探すのだが、サメに荒らされまわり、さらに言えば吹雪で視界が殆どない状態。
 モンスター自体はトラッカーでの赤い強調表示だったから良かったものの、こう、何もない雪原で避難場所のカマクラを探すって難度の高い事をしてるうちにあっという間に凍結の状態異常もひどくなり、徐々に動けなくなっていく。

「これは中々、攻略しがいのあるマップだ」

 だだっ広い雪面に立ち、葉巻で一服しつつ、赤い転移の輪を見つめながら紫煙を吐きだす。
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