最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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13章

334話 作る為に強くならないといけないが作らないといけない

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 トカゲの言っていた通り、設定の深い所に左利き、右利きを変更できる項目があった。
 このゲームって障害を持っている人でも公平に出来るという点が大きいのだが、それでも日常と変わるのに戸惑い、慣れないという点もあるので敢えてリアルと同じ状態を作ると言う人もいるらしい。この左と右の切り替え自体も、多分だが腕や手がない人や、不自由な人向けに設定されているものなんだろう。どういう科学技術なのか知らないが、全員が公平に出来るゲームってかなり良いゲーム。

「……左利きにするのは良いけど、そもそも改造用の項目じゃないだろ」
「全世界共通でゲームは右が基本だからなあ、どうしても左じゃないと慣れない人っているでしょ」
「そうなのか?」
「視点切り替えのあるTPSはあるけど、大体は右ねえ」

 FPS、TPS、アクション、RPG、物を持つゲームに関しては基本的に右利きなのでしょうがない。左右の持ちわけもしっかりあった世界的に有名なRPGも結局は、その要素を無くしてしまった。ついでに言えば二刀流が出来るゲームでも左に装備するのはサブ武器扱いだし、やっぱり右持ちが基本よ。

「ユーザーフレンドリーな要素のおかげで改造の進展があったと嬉しがるわ」
「使える物はありがたく使おうって事だな」
「別に悪い事じゃないし、色々と考えて付けた機能だろうし?」

 左利きに設定したG4をコッキングしてやるとしっかり銃の左側に配置されたエジェクションポートから薬莢が飛び出てくる。ちょっと設定してやったらあっという間に変更完了ってのは何かあっけない……いやいやいや、苦労してあれこれ試作しなくてよかったんだから、全然ありだって。
 
「と、言っても結局のところ設計の見直しは必要なんだけど」
「やってやろうか?」
「あんたのガトリング、私が勝手に見直して改良したの持ってきたらどう思う?
「あー……中々にプライドが傷つくな」
「そういう事よ」

 職人気質って訳じゃないが、やっぱり自分で作った物や作るものは自分主導でやりたい。多分任せたらいい具合の奴がさくっと作れるんだろうけど、それはそれで味気ない。ついでに言えばトカゲの奴の実力も知ってるから、頼んだら頼んだで良い感じに作り上げるんだろうなってのも分かる。
 
「取り合えず素材集めに行きつつ、情報収集してくる」
「あいよ」

 トカゲに工房の片づけを任せておいてから、いつも通りに街に出る。
 


 問題は街に出た所で、じゃあ何をするんだって話にもなってくるのだが。
 一応考えている物は何個かあるので、それを狙っていくとして、まずは情報クランか?と言っても、殆ど正解を引く形になるのに、さっきトカゲに言った事が矛盾しているような気もする。いや、あれは完全に任せてだから、前提の素材がどこにあるかを聞くのはまた別の話になるのかな。
 まあ、あれこれ探して時間を潰すぐらいならさっさと場所教えて貰って取りに行くのに苦戦する方がゲームとしては楽しいか。

「って、わけで素材の情報頂戴」
「いきなりっすね」

 久々に舎弟の奴を見たけど、こいつ名前何だったかな。

「それにしても最近は姉御も目立ってたっすけど、何かあったんすか」
「いやー?特には無いと思うけど」
「結構噂話があるんすけど、聞くっすか?」

 その前に飲むものと言う様にカウンターをとんとん小突いて催促すると、おしゃれにカクテルなんぞ作り始める。シェーカーってあるんだなあ……あれって確かステンレス製になるんだっけか。そんな事を思っていたら赤いカクテルが出てくる、名称は……ようわからんのでそのまま楽しむ。

「商人クランの一つが、アコギな商売してたんすけどね、ついに壊滅したんすよ、中々に良い商売してたみたいなんすけど、生産職からの締め出しや他の商人職からのバッシングで潰れたって言ってたっすよ」
「私刑って訳じゃないんでしょ」
「四方八方に迷惑を掛けていた証拠が結構上がってるっすよ」

 その余計な事をした商人クランが私が目の敵にして潰そうと思った所かね。それにしても知らない間に生産にも喧嘩を吹っ掛けているとは知らんかったなあ……イベントの後ばたばたしていてどうなっていたか知らなかったのでこれで一安心。私に喧嘩売った代償ってのがゲーム内プレイヤーひっくるめての大騒動になっているとは。

「で、どうなったの、それから」
「クランは解散、そこに所属していたクラン員は名前を変えるかキャラデリしてやり直ししてるっすね」
「やっぱヤバいと思ってたらさっさと抜けるに限るわね」
「うちは安心すからねー、Wikiまで立ててやってるんで、下手な事したら一気にっすよ」

 指で首をぴっと横に。情報の信用度って、ちゃんとした裏付けまで出来ているのが前提だし、下手なデマやガセ情報なんて流したら一気にこのクランが成り立たなくなるから、余計な事は全員が出来ないし、やらないように結構強めに言ってるんだろう。
 
「まあ、相手が悪かったのよ、相手が」
「そうっすね……それで何を求めにきたんすか」
「ああ、そうそう、アルミ、マグネシウム、クロム辺りの金属の発見報告ってない?」
「レアメタル系は情報が薄いっすねえ、鍛冶クランには聞いたんすか?」
「あいつらレアメタル系はあんまり興味ないみたいなのよねえ……今流行ってるのは刀だから玉鋼作ってるらしいよ」

 空になったグラスの縁をついっと指でなぞって綺麗にしつつ、違うんだよなあって愚痴の様に零しつつ、おかわりを要求するようにこつこつとまたカウンターを小突いて次のカクテルを準備してもらう。
 鍛冶クランの連中、作りたいものに結構波があって、この間は大剣だったかな。あそこって結構内部でバッチバチで、良い装備を作って売れると他のクラン員に見せつけて「どうだ俺の武器凄いだろう」って見せびらかすと「俺の方が凄い」ってもっと上の物を作る……ってループが凄いらしい。よく内部崩壊起きないな、あいつら。

「そうっすねー……えーっと、ちょっと待ってほしいっす」

 ウィンドウを開きつつ、クランチャットで連絡を取り合っているのか、少し黙っている
 その間に新しく注がれたカクテルを楽しみつつ、しっかりと味わう。元々此処にいたあのマスターは酒造クランで元気にしてるのかな。ダンディなおっさんって珍しかったのになあ。

「レアメタルの発見報告がある地域があったっす、エリア3からの南西エリアに一応発見報告があるみたいっすね」
「エリア3かあ……レベルアベレージは?」
「最低が50っすね、エリア3-3のダンジョンが雪山なので、防寒対策もいるっすよ」
「ふーむ、分かったわ」

 いつもの様に硬貨データを取り出してカウンターの上、グラスの横に置いて席を立つ。

「こっちでも情報集めておくっすか?」
「頼むわ、これ調査料な」

 店の途中まで行ってから背中越しにピンと硬貨データを上に弾き、空になっていたグラスにチャリンと音を響かせて追加料金を渡しておく。

「さーて、久々にエリア攻略するとするかね」
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