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ガルムに強制的(暴力的)にお見送りをしてもらった二人は隣村のツーリスへ向かっていた。乗合馬車は無く、タイミングよく行商人などいるはずもなく徒歩にて向かっていた、頭に大きなたんこぶのっけて。
「お父さんてホント容赦ないんだから」
半ばぐずりつつたんこぶをさすりながらつぶやく。
「こんな痛いげんこつは初めてだよ」
同じく頭をさすりながらレオンは応えた。
魔王復活はほぼ確定であり、奴さんは待ってくれない。それがガルムの考えだった。無駄は省き、さっさと王国で情報は聞いてこいと。準備された荷物は一週間分の食料が詰め込まれており、それなりの荷物であった。優しさ?が身に染みて二人とも涙がでそうであった。
リリムが住んでいた村は山間のムラであり、王国でも端の方である。人通りが少なく森に囲まれている為、昼間なのに薄暗く、また整備されていない街道、けもの道に近い道を進まなければならない。
上を見上げようにも空は申し訳程度しか見えず、木々の隙間から木漏れ日が差す程度である。時折村への案内がある程度で迷わないようになっているのは幸いだ。リリムは生まれてから村を出た事がない。レオンも今回が初の旅であったため、旅路になれているわけではない。
「飽きたわ」
「まだ半日しか経ってないんだけど?」
基本的にまじめなレオンには理解不能だった。魔王討伐の旅が飽きるなんて考えられない。使命を果たすまでは木を抜けないとまで考えている。それが何年かかる旅になるかもわからないのに。
「よし、レオン。稽古するわよ」
「ここではやめた方がいいよ。木に囲まれているから場所悪いし」
「もーけちね」
「普通に話しをするとかで良いんじゃないかな?」
「じゃあお願いね」
「……じゃあ、リリムは魔法使える?」
「スキルに土魔法はあるわよ」
「かなり珍しいね」
レオンは勇者であると分かり、訓練とともに勉強もそれなりに課されていた。特に戦闘に関してはスキルは戦局を左右するとあって、戦闘系のスキルは既存のものであれば網羅している。土魔法はドワーフに多く、風魔法はエルフに多い。火魔法は龍人族に多く、水魔法は海人族に多いとされている。ヒューマンは稀に一つ属性魔法を持っていることがある。
「ふーん、勉強しているのね」
「ああ、スキルについて詳しければ有利に物事を進められるかもしれないからね」
そう言って勇者スマイルを見せた。
「僕には魔法は使えないけど魔法は使えば使うほど精度が増すんじゃないのかい?もしどうしても暇なら土魔法の練習しながらってどうかな?」
レオンには魔法のスキルがない。光の剣は特殊で実際レオン自体も良くわかっていない。魔法は火水風土のほかに光と闇があると言われている。同じ光でも光魔法と光の剣では全く異なるのだ。それに魔法のスキルを持つ者は魔力を操ることができ、それを放出することにより行使することが可能になる。どこかの国ではスキルのない人が魔法を使おうと試している所もあるらしい。
「そうなんだ。やっぱ知らないことを聞くのは面白いわね」
「リリムは村から出た事ないのかい?」
「うん、興味はあったけど、外に出るのは成人してからかなって決めていたの」
「意外と堅実なんだね」
「外に出るのはお父さんを倒してからって決めていたの。生半可な実力だと何があるかわからないでしょ?それにこんなか弱いうら若き乙女が一人でいたら誘拐されちゃうかもしれないじゃん?」
「あ、うん。そうだね……」
「で、自衛できる強さを手に入れたかったの」
「そ、そうなんだ」
ちょっと同意できなさそうだなとレオンは思った。
「ちょっと土魔法見せてくれないかな?」
「ん?良いけど……」
レオンは唐突に話題を変えることにした。
魔法は珍しい物ではあるが、歴史的観点からすると少なくは無い。現在王都にも使えるものはいるし、過去にもたくさんいた。魔法には操作性や魔力の消費量、影響する範囲などから初級から神級まで大まかに分類されている。魔法は使うものの魔力により同じ魔法でも強さが異なり、操作性が高いと強弱をより細かく操作できたりする。
「派手なのがいいかしら?」
「いや、地味なのでお願いします」
「じゃあ初級にするわね」
「あんまり大きい音立てると魔物が寄ってくるかもしれないからね」
「わかったわ。じゃあ行くわよ、ストーンバレット!」
リリムは応えるや否や魔法を唱えた。両手は荷物がたくさん入っているリュックの帯を握りしめたまま。
言葉は魔力を帯び、定められた事象が引き起こされる。リリムから少し離れたところに光の輪が現れ、そこから飛び出すように石のつぶてが数個飛び出してゆく。飛び出した石は木々へあたってゆく、枝をへし折り幹には穴をあけ、勢いを失った石たちは重力によって地面に落ちて行った。
「ねえ、色々とおかしくない?」
「そう?普通じゃない?」
「いやいやいや」
そう言ってレオンは普通の魔法の使い方を説明した。
手や杖をかざし行使する方向を指定する。次に詠唱を行い魔力を練る。魔法を唱え事象を引き起こす。指定・詠唱・行使が基本なのだ。どれか一つ欠けても魔法は使えないと言われている。
「そんな無駄な行動しないでしょ」
「僕としてはそうゆう物なんだと習っていたからね。それに魔法に関しては王国の方が正しいと思うけど……」
「私は固定概念にとらわれるのが嫌いなの」
「あ、さいですか……」
よくよく考えれば十歳そこらの少女が元将軍に勝てるのもおかしな話だ。元将軍による英才教育のたまものなのかもしれないと自己完結した。
「他にはどんなものが使えるんだい?」
「そうね、一緒に戦闘する科もしれないんだから手の内は知っていた方がいいかもね」
「……確かにそうだね。すごく理にかなってると思う。次の村へも距離があるし……今のうちにどれだけおかしいか確認しておかないと……」
「なにか言ったかしら?」
「いやなにも」
後半は小声で話したから聞こえなかったらしい。
「とりあえず簡単なやつから行くわよ」
そう言って始まった魔法試射会は大変な事になった。
「お父さんてホント容赦ないんだから」
半ばぐずりつつたんこぶをさすりながらつぶやく。
「こんな痛いげんこつは初めてだよ」
同じく頭をさすりながらレオンは応えた。
魔王復活はほぼ確定であり、奴さんは待ってくれない。それがガルムの考えだった。無駄は省き、さっさと王国で情報は聞いてこいと。準備された荷物は一週間分の食料が詰め込まれており、それなりの荷物であった。優しさ?が身に染みて二人とも涙がでそうであった。
リリムが住んでいた村は山間のムラであり、王国でも端の方である。人通りが少なく森に囲まれている為、昼間なのに薄暗く、また整備されていない街道、けもの道に近い道を進まなければならない。
上を見上げようにも空は申し訳程度しか見えず、木々の隙間から木漏れ日が差す程度である。時折村への案内がある程度で迷わないようになっているのは幸いだ。リリムは生まれてから村を出た事がない。レオンも今回が初の旅であったため、旅路になれているわけではない。
「飽きたわ」
「まだ半日しか経ってないんだけど?」
基本的にまじめなレオンには理解不能だった。魔王討伐の旅が飽きるなんて考えられない。使命を果たすまでは木を抜けないとまで考えている。それが何年かかる旅になるかもわからないのに。
「よし、レオン。稽古するわよ」
「ここではやめた方がいいよ。木に囲まれているから場所悪いし」
「もーけちね」
「普通に話しをするとかで良いんじゃないかな?」
「じゃあお願いね」
「……じゃあ、リリムは魔法使える?」
「スキルに土魔法はあるわよ」
「かなり珍しいね」
レオンは勇者であると分かり、訓練とともに勉強もそれなりに課されていた。特に戦闘に関してはスキルは戦局を左右するとあって、戦闘系のスキルは既存のものであれば網羅している。土魔法はドワーフに多く、風魔法はエルフに多い。火魔法は龍人族に多く、水魔法は海人族に多いとされている。ヒューマンは稀に一つ属性魔法を持っていることがある。
「ふーん、勉強しているのね」
「ああ、スキルについて詳しければ有利に物事を進められるかもしれないからね」
そう言って勇者スマイルを見せた。
「僕には魔法は使えないけど魔法は使えば使うほど精度が増すんじゃないのかい?もしどうしても暇なら土魔法の練習しながらってどうかな?」
レオンには魔法のスキルがない。光の剣は特殊で実際レオン自体も良くわかっていない。魔法は火水風土のほかに光と闇があると言われている。同じ光でも光魔法と光の剣では全く異なるのだ。それに魔法のスキルを持つ者は魔力を操ることができ、それを放出することにより行使することが可能になる。どこかの国ではスキルのない人が魔法を使おうと試している所もあるらしい。
「そうなんだ。やっぱ知らないことを聞くのは面白いわね」
「リリムは村から出た事ないのかい?」
「うん、興味はあったけど、外に出るのは成人してからかなって決めていたの」
「意外と堅実なんだね」
「外に出るのはお父さんを倒してからって決めていたの。生半可な実力だと何があるかわからないでしょ?それにこんなか弱いうら若き乙女が一人でいたら誘拐されちゃうかもしれないじゃん?」
「あ、うん。そうだね……」
「で、自衛できる強さを手に入れたかったの」
「そ、そうなんだ」
ちょっと同意できなさそうだなとレオンは思った。
「ちょっと土魔法見せてくれないかな?」
「ん?良いけど……」
レオンは唐突に話題を変えることにした。
魔法は珍しい物ではあるが、歴史的観点からすると少なくは無い。現在王都にも使えるものはいるし、過去にもたくさんいた。魔法には操作性や魔力の消費量、影響する範囲などから初級から神級まで大まかに分類されている。魔法は使うものの魔力により同じ魔法でも強さが異なり、操作性が高いと強弱をより細かく操作できたりする。
「派手なのがいいかしら?」
「いや、地味なのでお願いします」
「じゃあ初級にするわね」
「あんまり大きい音立てると魔物が寄ってくるかもしれないからね」
「わかったわ。じゃあ行くわよ、ストーンバレット!」
リリムは応えるや否や魔法を唱えた。両手は荷物がたくさん入っているリュックの帯を握りしめたまま。
言葉は魔力を帯び、定められた事象が引き起こされる。リリムから少し離れたところに光の輪が現れ、そこから飛び出すように石のつぶてが数個飛び出してゆく。飛び出した石は木々へあたってゆく、枝をへし折り幹には穴をあけ、勢いを失った石たちは重力によって地面に落ちて行った。
「ねえ、色々とおかしくない?」
「そう?普通じゃない?」
「いやいやいや」
そう言ってレオンは普通の魔法の使い方を説明した。
手や杖をかざし行使する方向を指定する。次に詠唱を行い魔力を練る。魔法を唱え事象を引き起こす。指定・詠唱・行使が基本なのだ。どれか一つ欠けても魔法は使えないと言われている。
「そんな無駄な行動しないでしょ」
「僕としてはそうゆう物なんだと習っていたからね。それに魔法に関しては王国の方が正しいと思うけど……」
「私は固定概念にとらわれるのが嫌いなの」
「あ、さいですか……」
よくよく考えれば十歳そこらの少女が元将軍に勝てるのもおかしな話だ。元将軍による英才教育のたまものなのかもしれないと自己完結した。
「他にはどんなものが使えるんだい?」
「そうね、一緒に戦闘する科もしれないんだから手の内は知っていた方がいいかもね」
「……確かにそうだね。すごく理にかなってると思う。次の村へも距離があるし……今のうちにどれだけおかしいか確認しておかないと……」
「なにか言ったかしら?」
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後半は小声で話したから聞こえなかったらしい。
「とりあえず簡単なやつから行くわよ」
そう言って始まった魔法試射会は大変な事になった。
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