199 / 404
第二部
どこで線を引こうとも
しおりを挟む
こうして一日を終え、睡眠を取り、また翌日に備える。
人生とは、この繰り返しでもあるのでしょう。睡眠も休息も必要なロボットとは根本的に違います。
なのに、地球人の社会では、
『ロボットに過重労働を課すな!』
『ロボットにも権利を!』
というようなことを訴える人達がいます。なるほど確かに人間によく似た姿をしたメイトギアなどが傷付いたりしているところを見ると私もいい気分はしませんが、だからといって、人間と同じように扱うのはおかしいはずなんです。
だってロボットは苦痛を感じないから。痛覚センサーや触覚センサーは備えられていますけど、でもそれを<苦痛>と感じるかどうかは別の話なんです。
ロボットは、ロボットに搭載されたAIは、痛覚センサーからもたらされる信号を、ただの<データ>としか認識できないのですから。
痛覚センサーを備えているのは、<人間が感じる痛み>を察知するためです。
『このようにされると人間は痛みを感じる』
と理解するために備えられているだけであって、
『人間に痛みを与えないためには痛覚センサーが反応しない接し方をしなければいけない』
と考えられるようにするのが目的なんです。本当に痛みを感じているわけじゃない。なにしろロボットには<命>がそもそもないから、
『苦痛によって生命の危機を察知する』
必要がそもそもない。生物が<苦痛>を感じるのは、自身の生命に危機が迫っていることを認識するためなんです。
データさえ残っていればボディが何度破壊されようとも新しいそれに交換してしまえば済むロボットと生物を同列に考えること自体が、そもそもおかしい。
これは、
『道具を大切にする』
こととは根本的に違う話です。
身を守る道具であるはずの銃を大切にするあまり、必要な時に使わずに自分が命を落としていたら何の意味もないじゃないですか。本末転倒の極みでしょう。
しかも、『ロボットにも権利を』と訴える人達のほとんどが、同じくAIを備えているはずの<家電製品>や<自動車>については、権利を求めたりしない。
自動車なんて、搭載されているAIの性能そのものは、ロボットと同等以上のものなんですよ? と言うか、<自動車型のロボット>なんです。単に、<人型のロボット>のような形では人間とコミュニケーションを取らないというだけで。
もう、これだけでも明らかに矛盾しているのが分かる。
一部の<過剰な動物愛護を訴える人々>や<生き物を殺すなと訴える人々>と同じですよね。<守るべきもの><保護するべきもの>と<それ以外>を、自分達の勝手な解釈で線引きしている。
いえ、ある程度のところで線を引く必要があるのは分かるんです。ただ、
『どこで線を引こうとも所詮は<人間のエゴ>でしかない』
のは理解しないといけないでしょうねというだけのことで。
人生とは、この繰り返しでもあるのでしょう。睡眠も休息も必要なロボットとは根本的に違います。
なのに、地球人の社会では、
『ロボットに過重労働を課すな!』
『ロボットにも権利を!』
というようなことを訴える人達がいます。なるほど確かに人間によく似た姿をしたメイトギアなどが傷付いたりしているところを見ると私もいい気分はしませんが、だからといって、人間と同じように扱うのはおかしいはずなんです。
だってロボットは苦痛を感じないから。痛覚センサーや触覚センサーは備えられていますけど、でもそれを<苦痛>と感じるかどうかは別の話なんです。
ロボットは、ロボットに搭載されたAIは、痛覚センサーからもたらされる信号を、ただの<データ>としか認識できないのですから。
痛覚センサーを備えているのは、<人間が感じる痛み>を察知するためです。
『このようにされると人間は痛みを感じる』
と理解するために備えられているだけであって、
『人間に痛みを与えないためには痛覚センサーが反応しない接し方をしなければいけない』
と考えられるようにするのが目的なんです。本当に痛みを感じているわけじゃない。なにしろロボットには<命>がそもそもないから、
『苦痛によって生命の危機を察知する』
必要がそもそもない。生物が<苦痛>を感じるのは、自身の生命に危機が迫っていることを認識するためなんです。
データさえ残っていればボディが何度破壊されようとも新しいそれに交換してしまえば済むロボットと生物を同列に考えること自体が、そもそもおかしい。
これは、
『道具を大切にする』
こととは根本的に違う話です。
身を守る道具であるはずの銃を大切にするあまり、必要な時に使わずに自分が命を落としていたら何の意味もないじゃないですか。本末転倒の極みでしょう。
しかも、『ロボットにも権利を』と訴える人達のほとんどが、同じくAIを備えているはずの<家電製品>や<自動車>については、権利を求めたりしない。
自動車なんて、搭載されているAIの性能そのものは、ロボットと同等以上のものなんですよ? と言うか、<自動車型のロボット>なんです。単に、<人型のロボット>のような形では人間とコミュニケーションを取らないというだけで。
もう、これだけでも明らかに矛盾しているのが分かる。
一部の<過剰な動物愛護を訴える人々>や<生き物を殺すなと訴える人々>と同じですよね。<守るべきもの><保護するべきもの>と<それ以外>を、自分達の勝手な解釈で線引きしている。
いえ、ある程度のところで線を引く必要があるのは分かるんです。ただ、
『どこで線を引こうとも所詮は<人間のエゴ>でしかない』
のは理解しないといけないでしょうねというだけのことで。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!
沢野 りお
ファンタジー
【書籍化します!】2022年12月下旬にレジーナブックス様から刊行されることになりました!
定番の転生しました、前世アラサー女子です。
前世の記憶が戻ったのは、7歳のとき。
・・・なんか、病的に痩せていて体力ナシでみすぼらしいんだけど・・・、え?王女なの?これで?
どうやら亡くなった母の身分が低かったため、血の繋がった家族からは存在を無視された、みそっかすの王女が私。
しかも、使用人から虐げられていじめられている?お世話も満足にされずに、衰弱死寸前?
ええーっ!
まだ7歳の体では自立するのも無理だし、ぐぬぬぬ。
しっかーし、奴隷の亜人と手を組んで、こんなクソ王宮や国なんか出て行ってやる!
家出ならぬ、王宮出を企てる間に、なにやら王位継承を巡ってキナ臭い感じが・・・。
えっ?私には関係ないんだから巻き込まないでよ!ちょっと、王族暗殺?継承争い勃発?亜人奴隷解放運動?
そんなの知らなーい!
みそっかすちびっ子転生王女の私が、城出・出国して、安全な地でチート能力を駆使して、ワハハハハな生活を手に入れる、そんな立身出世のお話でぇーす!
え?違う?
とりあえず、家族になった亜人たちと、あっちのトラブル、こっちの騒動に巻き込まれながら、旅をしていきます。
R15は保険です。
更新は不定期です。
「みそっかすちびっ子王女の転生冒険ものがたり」を改訂、再up。
2021/8/21 改めて投稿し直しました。
二度目の転生は傍若無人に~元勇者ですが二度目『も』クズ貴族に囲まれていてイラッとしたのでチート無双します~
K1-M
ファンタジー
元日本人の俺は転生勇者として異世界で魔王との戦闘の果てに仲間の裏切りにより命を落とす。
次に目を覚ますと再び赤ちゃんになり二度目の転生をしていた。
生まれた先は下級貴族の五男坊。周りは貴族至上主義、人間族至上主義のクズばかり。
…決めた。最悪、この国をぶっ壊す覚悟で元勇者の力を使おう…と。
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも掲載しています。
異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。
karashima_s
ファンタジー
地球にダンジョンが出来て10年。
その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。
ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。
ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。
当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。
運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。
新田 蓮(あらた れん)もその一人である。
高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。
そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。
ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。
必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。
落ちた。
落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。
落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。
「XXXサバイバルセットが使用されました…。」
そして落ちた所が…。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
獣人公爵様に溺愛されすぎて死にそうです!〜乙女ゲーム攻略ダイアリー〜
神那 凛
恋愛
気づくと異世界乙女ゲームの世界!
メインキャラじゃない私はイケメン公爵様とイチャ甘ライフを送っていたら、なぜかヒロインに格上げされたみたい。
静かに暮らしたいだけなのに、物語がどんどん進んでいくから前世のゲームの知識をフル活用して攻略キャラをクリアしていく。
けれどそれぞれのキャラは設定とは全く違う性格で……
異世界溺愛逆ハーレムラブストーリーです。
こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記
陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
※コミカライズ進行中。
なんか気が付いたら目の前に神様がいた。
異世界に転生させる相手を間違えたらしい。
元の世界に戻れないと謝罪を受けたが、
代わりにどんなものでも手に入るスキルと、
どんな食材かを理解するスキルと、
まだ見ぬレシピを知るスキルの、
3つの力を付与された。
うまい飯さえ食えればそれでいい。
なんか世界の危機らしいが、俺には関係ない。
今日も楽しくぼっち飯。
──の筈が、飯にありつこうとする奴らが集まってきて、なんだか騒がしい。
やかましい。
食わせてやるから、黙って俺の飯を食え。
貰った体が、どうやら勇者様に与える筈のものだったことが分かってきたが、俺には戦う能力なんてないし、そのつもりもない。
前世同様、野菜を育てて、たまに狩猟をして、釣りを楽しんでのんびり暮らす。
最近は精霊の子株を我が子として、親バカ育児奮闘中。
更新頻度……深夜に突然うまいものが食いたくなったら。
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
神様お願い!~神様のトバッチリで異世界に転生したので心穏やかにスローライフを送りたい~
きのこのこ
ファンタジー
旧題:神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…?
え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの??
俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ!
____________________________________________
突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった!
那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。
しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」
そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?)
呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!)
謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。
※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。
⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる