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魔獣デルセム
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「くそっ! こっちの狙いを理解したか……!」
俺は思わず口にしたが、別に当たり前のことだろう。奴らだってポンコツAIが制御してるゲーム内のモンスターじゃない。野生の獣みたいなものだ。しかも、人間を狙ってくる、な。
魔王ドレーア自身は、ただの天災みたいなもので、ただひたすら直進するだけだ。そこに人間の暮らしがあろうとそんなことはお構いなしで。だが、人間の存在などまったく意識していないだけで、わざと狙ってくることはない。
それは分かっている。でも同時に、眼中にないだけで、人間そのものを恨んでいるらしいことも分かってるんだ。自分の邪魔をしようとする人間に対しては容赦なく攻撃してくるしな。
そんな魔王が放つ魔素に汚染されると、獣や使い魔は、とにかく人間を襲う魔獣になる。しかしそれだけだ。野生の獣としての能力まで失われるわけじゃない。強かで、抜け目ない、野生の獣としての能力はな。
だとすれば、今回の魔獣の在り方だって、普通のものだ。こっちが間抜けだったってだけだ。
でもなあ、間抜けは間抜けなりに、簡単にやられてやるわけにゃいかないんだよ!
俺は女の子を建物の影に隠れさせて、
「あいつはまだいるのか?」
問い掛けると、女の子は、
「……!」
ブンブンと首を横に振った。
「もうあいつ一匹か?」
その問い掛けには、何度も頷く。もっとも、この子が見たのは二匹だけで、もしかしたら他にもいた可能性はある。だからこそ、一匹ずつ確実に仕留めるだけだ。
「俺達があいつを片付ける。それまでじっとしておくんだ」
そう言い聞かせて、俺は建物から走り出し、ノーラやリョウを相手にいい勝負をしてる魔獣に向かって、
「こっちだ! 俺を狙え!!」
と叫ぶ。ノーラやリョウに比べると圧倒的に弱い俺の方が、そりゃ相手にしやすいだろう。だから、弱い相手をまず狙うってのも、普通に考えることだろうさ。
で、俺に飛び掛かってきた魔獣の眼前で、派手に自爆。
「!?」
さすがに自分が狙ってた相手がいきなり爆発するとは思ってなかったであろう魔獣が戸惑った隙にノーラが足を掴んで振り回し、放り投げ、とどめの<ゲッ〇ービーム>。
とまあ、自爆した後の経緯は後からノーラに聞いたものだけどな。
こうして俺達は何とか魔獣を撃破し、集落の人命検索を行った。
だが、女の子以外の生存者は発見できなかった。その女の子も、ショックのあまりしゃべれなくなってたみたいで、名前も分からない。なのに、村長の家らしきちょっとだけ立派な家の書斎に残された日記で、あの魔獣が、
<デルセム>
と呼ばれてたらしいことだけは分かった。その村長も、魔獣デルセムを迎え撃つために指揮に出て、やられたみたいだけどな。
俺は思わず口にしたが、別に当たり前のことだろう。奴らだってポンコツAIが制御してるゲーム内のモンスターじゃない。野生の獣みたいなものだ。しかも、人間を狙ってくる、な。
魔王ドレーア自身は、ただの天災みたいなもので、ただひたすら直進するだけだ。そこに人間の暮らしがあろうとそんなことはお構いなしで。だが、人間の存在などまったく意識していないだけで、わざと狙ってくることはない。
それは分かっている。でも同時に、眼中にないだけで、人間そのものを恨んでいるらしいことも分かってるんだ。自分の邪魔をしようとする人間に対しては容赦なく攻撃してくるしな。
そんな魔王が放つ魔素に汚染されると、獣や使い魔は、とにかく人間を襲う魔獣になる。しかしそれだけだ。野生の獣としての能力まで失われるわけじゃない。強かで、抜け目ない、野生の獣としての能力はな。
だとすれば、今回の魔獣の在り方だって、普通のものだ。こっちが間抜けだったってだけだ。
でもなあ、間抜けは間抜けなりに、簡単にやられてやるわけにゃいかないんだよ!
俺は女の子を建物の影に隠れさせて、
「あいつはまだいるのか?」
問い掛けると、女の子は、
「……!」
ブンブンと首を横に振った。
「もうあいつ一匹か?」
その問い掛けには、何度も頷く。もっとも、この子が見たのは二匹だけで、もしかしたら他にもいた可能性はある。だからこそ、一匹ずつ確実に仕留めるだけだ。
「俺達があいつを片付ける。それまでじっとしておくんだ」
そう言い聞かせて、俺は建物から走り出し、ノーラやリョウを相手にいい勝負をしてる魔獣に向かって、
「こっちだ! 俺を狙え!!」
と叫ぶ。ノーラやリョウに比べると圧倒的に弱い俺の方が、そりゃ相手にしやすいだろう。だから、弱い相手をまず狙うってのも、普通に考えることだろうさ。
で、俺に飛び掛かってきた魔獣の眼前で、派手に自爆。
「!?」
さすがに自分が狙ってた相手がいきなり爆発するとは思ってなかったであろう魔獣が戸惑った隙にノーラが足を掴んで振り回し、放り投げ、とどめの<ゲッ〇ービーム>。
とまあ、自爆した後の経緯は後からノーラに聞いたものだけどな。
こうして俺達は何とか魔獣を撃破し、集落の人命検索を行った。
だが、女の子以外の生存者は発見できなかった。その女の子も、ショックのあまりしゃべれなくなってたみたいで、名前も分からない。なのに、村長の家らしきちょっとだけ立派な家の書斎に残された日記で、あの魔獣が、
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