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はっきり言おう。お前はお払い箱だ

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『はっきり言おう。お前はお払い箱だ』

メロエリータの言った通り、私は『お払い箱』だった。

ヘリーバンクレンの街のことも、彼女の<会社>が引き継いで、その指導の下、存続のための変革を目指すことになった。

そして私は一人、ヘリーバンクレンを後にすることになったんだ。

本当に何もかも失って……



だけど、私はすっきりとした気分だった。なんて言うか、自分でも気付かないうちに背負いきれないくらいの荷物を背負ってしまってたのを全部下ろすことができたって感じかな。

だって、

「カリン。さっきも言ったが、お前は一人で何でもかんでも背負い過ぎだ。お前には、本来、この世界に対してそこまでしなきゃいけない理由がないんだ。

この世界は、私達の世界だ。愚かな魔法使いの蛮行でここに攫われてきただけのお前がこの世界に対して何か責任を負わなきゃいけない理由はないんだ。

お前の下を去ってから私は、世界のあちこちを渡り歩いて、お前と同じことができる人間を探し、雇い入れてきた。そうして作ったのがトゥルカ商会だ。

トゥルカとは、我がファルトバウゼン王国の古い言葉で<世界>を意味する。世界を背負うための世界。それがトゥルカ商会なのだ。

一人の人間が背負うには、世界というものは大きすぎる。

カリン。お前はもう、十分働いた。並の人間の一生分を大きく超えるくらいには働いただろう。だからもういいんだ。家に帰り、一人の妻として、母親として、家族のためだけに生きろ。

この世界のことは、この世界の人間である私達が責任を負う。それが本来の姿なんだ。何もかもをお前に押し付けようとした私達こそが間違っていたのだ」

ってメロエリータに言われたから。それがすごく納得いってしまったから。

しかもそこに、

「水臭いですよ、カリンさん。なんで俺達にも声を掛けてくれなかったんですか?」

と話しながらぞろぞろと入ってきたのは――――

「バンクレンチ!? みんな……!?」

すっかり<オッサン>になったムサ苦しいそいつらは、一緒にムッフクボルド共和国で働いたバンクレンチを始めとした仲間達だった。

「俺達はカリンさんの<部下>なんですよ? こういう時こそ使ってくれなくちゃダメじゃないですか」

ニヤリと微笑いながらバンクレンチが言って、みんなも「うんうん」と頷いてた。なんかもう、どいつもこいつも逞しくなっちゃって……

その顔を見てたら、またたまらなくなっちゃって、ぼろぼろと涙が。

「歳ですか? カリンさん。なんか涙もろくなっちゃって」

「うるさい、バカ…! あんたらだってただのオッサンじゃん……!」

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