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私が実際にそれを知ったのは一ヶ月も後だけど

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しっかりと歳は取ってるけど、オッサンになってるけど、それでも懐かしい顔が勢ぞろいしてて、私は完全に気が抜けていた。ホッとして腰が抜けそうだった。

みんな……

この時には、どうしても離れられない事情があったりで何人か来てなかったんだけど、それでも、全員、連絡も取れて連携してるそうだ。メロエリータの指揮の下でさ。

「と言う訳で、ここは私達が引き継ぐ。お前は家に帰ってゆっくりと養生しろ」

メロエリータがそう言うと、バンクレンチ達も、

「そうそう」

「俺達に任せてくださいよ」

「カリンさんから見たら頼りないかもしれないけど、俺達だってちょっとは成長したんですよ」

だって。

「よく言うよ、一から十まで私が指示しなきゃ何もできなかったクセに……!」

とか言いながらも、安心感が半端なかった。みんなの言う通り、後は全部任せちゃっても大丈夫って思えた。

そうだよね。あんなに自分に何度も何度もしつこく言い聞かせてきたつもりなのに、私はいつしか、

『自分にしかこの世界は救えない』

みたいな思い上がりに囚われていたんだ。

それで、自分に対しても、

『頑張れ』

とか、

『負けるな私』

とか言って、自分の能力を超えてまで働こうとしてたんだよ。

あんなに嫌ってた根性論とか精神論で自分を支えて、無理をしようとしてたんだ。

その結果、危うく死にかけた。

……まったく……人間ってのはつくづく自分では自分が見えない生き物なんだって思い知らされたよ。



こうして重荷から解き放たれ、私は今、家に帰る。

愛する家族の待つ家へと。



なんて言うと、

<家族との再会を目前にして何かとんでもないことが起きるフラグ>

みたいにも聞こえるかもだけど、実際にはそんなこともなく、私はキリンとベントとエマの待つ家へと帰れたんだ。

「ただいま~♡」

晴れやかな笑顔で、私はそう言った。

そんな私に、

「おかえりなさい、ママ♡」

って言いながらキリンがすっ飛んできて抱きついてくれた。

「キリン~! 会いたかったよ~♡」

そう言って抱き上げながら向けた視線の先には、ホッとした表情のベントとエマが。

それを見た途端、私はなんだか泣けてきた。安心して、気持ちがほどけて、やっぱり子供みたいに泣けてきちゃったんだよね。

メロエリータの言ってた通り、私がキリンとベントとエマの待つ家に帰った時には、カリン商会はトゥルカ商会に買収されて跡形もなくなってたらしい。

私が実際にそれを知ったのはさらに一ヶ月も後だけど、いや~、見事なもんだね。

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