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出逢い
若いティランタスの最大の過ち
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まるで噴水のように鼓動に合わせてビュウビュウと噴き出す大量の出血に若いティランタスは為す術なくその場に崩れ落ちる。もう立っていることさえできなかったらしい。
すると斬竜はその若いティランタスの背に飛び乗って足を振り上げた。そんな彼女を掃い落そうとしてしてか若いティランタスの方も手を回そうとするものの、もう明らかに力が入っていない。そこに、斬竜は首筋目掛けてハンマーを叩き付けるかのような蹴りを放った。
瞬間、
バグッッ!!
と鈍い音が響き、若いティランタスの体がビクンッと跳ねたかと思うとぐったりと動かなくなってしまった。脛骨を砕かれたらしい。
実に一方的な殺戮だった。本当に斬竜の前に姿を現したことがこの若いティランタスの最大の過ちだったのだろう。
すると斬竜は、息絶えた若いティランタスの腹を爪で引き裂き、肉を掴んで引きちぎって貪り始めた。さすがにこの巨体を食べきることは物理的に無理だろうが、また妊娠でもしたかのようにみるみる腹が膨れていく。
だがそこに、
「グアッ!?」
斬竜が血塗れの顔で歯を剥き出して警戒を見せたその先に、また新たな影が。頭から尻尾の先まででも三メートル程度しかないが、数が多い。少なく見積もっても二十頭以上いる。
<ルプス竜>
と呼ばれる種だった。亜竜よりも小さいためあくまで普通の<獣>として扱われるが、だからと言って決して侮っていい相手ではなかった。体こそティランタスなどに比べれば小さいもののその凶暴性は勝るとも劣らず、しかも群れで連携して攻撃してくるため、場合によってはティランタスよりもよっぽど厄介な相手である。
今回、斬竜が倒したような若いティランタスでは逆に狩られてしまうことさえある。もっと大きく成長して皮膚や脂肪が分厚くなり守りが固くなれば攻撃を凌ぎ切り圧倒的な力で圧し潰すこともできるものの、斬竜の攻撃に耐えきれなかったように持ち堪えられないことがあるのだ。
その所為か、斬竜も明らかに緊張している。
特に今は、目一杯食ったところで体が重くなっていて動きが鈍っている可能性も高い。
「ガアッッ!!」
吠えて威嚇するものの、さすがに多勢に無勢。取り敢えず十分に食ったこともあり、斬竜も残った分は明け渡すことにしたのか、じりじりと下がり出した。
なのに、ルプス竜は斬竜の背後にも回り込む。どうやらティランタスだけでなく彼女も餌にしようというつもりのようだ。
「グルルルルルルルッッ!」
彼女も全身に力を漲らせ迎撃の準備をするものの、間違いなく不利に見える光景であった。
すると斬竜はその若いティランタスの背に飛び乗って足を振り上げた。そんな彼女を掃い落そうとしてしてか若いティランタスの方も手を回そうとするものの、もう明らかに力が入っていない。そこに、斬竜は首筋目掛けてハンマーを叩き付けるかのような蹴りを放った。
瞬間、
バグッッ!!
と鈍い音が響き、若いティランタスの体がビクンッと跳ねたかと思うとぐったりと動かなくなってしまった。脛骨を砕かれたらしい。
実に一方的な殺戮だった。本当に斬竜の前に姿を現したことがこの若いティランタスの最大の過ちだったのだろう。
すると斬竜は、息絶えた若いティランタスの腹を爪で引き裂き、肉を掴んで引きちぎって貪り始めた。さすがにこの巨体を食べきることは物理的に無理だろうが、また妊娠でもしたかのようにみるみる腹が膨れていく。
だがそこに、
「グアッ!?」
斬竜が血塗れの顔で歯を剥き出して警戒を見せたその先に、また新たな影が。頭から尻尾の先まででも三メートル程度しかないが、数が多い。少なく見積もっても二十頭以上いる。
<ルプス竜>
と呼ばれる種だった。亜竜よりも小さいためあくまで普通の<獣>として扱われるが、だからと言って決して侮っていい相手ではなかった。体こそティランタスなどに比べれば小さいもののその凶暴性は勝るとも劣らず、しかも群れで連携して攻撃してくるため、場合によってはティランタスよりもよっぽど厄介な相手である。
今回、斬竜が倒したような若いティランタスでは逆に狩られてしまうことさえある。もっと大きく成長して皮膚や脂肪が分厚くなり守りが固くなれば攻撃を凌ぎ切り圧倒的な力で圧し潰すこともできるものの、斬竜の攻撃に耐えきれなかったように持ち堪えられないことがあるのだ。
その所為か、斬竜も明らかに緊張している。
特に今は、目一杯食ったところで体が重くなっていて動きが鈍っている可能性も高い。
「ガアッッ!!」
吠えて威嚇するものの、さすがに多勢に無勢。取り敢えず十分に食ったこともあり、斬竜も残った分は明け渡すことにしたのか、じりじりと下がり出した。
なのに、ルプス竜は斬竜の背後にも回り込む。どうやらティランタスだけでなく彼女も餌にしようというつもりのようだ。
「グルルルルルルルッッ!」
彼女も全身に力を漲らせ迎撃の準備をするものの、間違いなく不利に見える光景であった。
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