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願書提出

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 さて、スクーリングも終えて通うことになる学校を確認して、事情も伝わっていることを確認して、後は実際の入学に備えるだけだ。
 今の学校での羅美の様子も落ち着いたものらしい。相変わらず周りの連中は彼女を無視してくれている。
 それでいいんだよ。
『イジメ加害者の方が社会的に成功しやすい』なんてのも典型的な<確証バイアス>ってやつだろ。それなりに売れてる芸能人とかにも、
『昔イジメられてました』
 みたいなことを言ってるのも少なくないんじゃないのかよ。
 とにかく俺は、自分の子供を加害者にするつもりはないんだ。これまで俺が語ってきたことのほぼ全てが本質的に自分の子供を<加害者>にしないようにするためのものだ。
 学校で他所様のお子さんをイジメないようにするのももちろん、会社でもそうだし、ネットで誰かを死ぬまで追い詰めるような奴になんてなってもらいたくもない。ましてや、他所様の家族の命の価値を勝手に決めて殺しに行くような奴にはな。
 俺の言ってることのほとんどが、親なら自分の子供に教えてて当然のことだと思うんだがなあ。なんでそれを教わってないのがいるんだ?
 分かってるよ。俺だって自分の長女に対しては言葉にして伝えてない。態度では示してたつもりだが、嫌われてたからどの程度参考にしてくれてたかは確認もできてない。
 まあ、学校で他所様のお子さんをイジメてたみたいな話は伝わってないから大丈夫だとは思いたいものの、これさえ『だったらいいな』ってだけの話だから、もし誰かをイジメてたりしたら、それは親である俺の所為だ。自分の長女のこともちゃんと理解せずイジメを放置した俺の、な。別に前妻の所為にするつもりもない。

 そして再び妊婦健診。
「順調ですね」
とお墨付きをもらい、ホッとする。体重の増え方も問題なさそうだ。

 で、三月。いよいよ願書の提出に向けて確認をば。
 願書の提出日は、終業式の翌日。念のため俺も有休を取って同伴する。羅美を信用してないわけじゃないが、何しろ妊婦だからな。万が一があると困るし、そういう意味でも付添人がいた方がいいだろう。
 改めて学校からもらった願書その他の書類を、羅美と一緒に確認する。
「黒のボールペンでの記入」
「よし!」
「氏名の記入」
「よし!」
「生年月日の記入」
「よし!」
「住所の記入。アパート名と部屋番号も含めて」
「よし!」
「羅美は未成年だから保護者名の記入」
「よし!」
「学歴欄記入」
「よし!」
「写真三枚」
「写りは悪いけど、よし!」
「切手」
「よし!」
「出願者住所氏名票」
「よし!」
「で、<転学照会書><成績・単位修得証明書><就学支援金等について><学校住所票>は、羅美が今通ってる学校に提出済み。と。うん、大丈夫だな」

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