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学校での大虎の様子はどうよ?

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 そうして俺が渡した金で、大虎は化粧品を改めて買い足したようだ。家ではする必要のないメイクも、学校に行く時は逆に必須らしい。それがないととても行けないようで。
 まさに<戦化粧>だな。自分を鼓舞するための。でも、そういう意味でなら、確かにメイクってのも必要なんだろうなと思えた。

「で、学校での大虎の様子はどうよ?」
 会社で牧島まきしまに尋ねる。牧島の娘に大虎の様子をそれとなく見てもらって、教えてもらうことにしてるんだ。すると牧島は、
「ま、学校ではこれまでとそんなに変わらないみたいだね。相変わらず一人でいることがほとんどみたいだし。ただ、ここのところは毎日休まず学校に来てるって。教師が驚いてたみたいだよ。『大戸、お前今日も来てるのか?』ってさ。いやいや、教師がその言い草はマズいんじゃないかな」
 って教えてくれた。
「確かに。でもまあ、以前が以前だったからなんだろうけどな」
 俺はそう応えつつ、大虎が毎日学校に行ってることに、正直、ホッとしていた。
 そんな俺に、牧島は、
「うちの母校も、昔に比べたら本当にマシになったんだって実感するね。私が通ってた頃なんて、一度目え付けられたらイジメとかえげつなかったから。よくあんな<犯罪>そのものを放っておけたもんだと逆に感心するわ。暴行、傷害、恐喝、強要、窃盗、なんでもござれ。強姦だってあったみたいだしさ。それを、『学校内のことだから』ってんで見逃してたんだよ? 
 さすがにことが大きくなって無視できなくなっても、教師が一発殴ったら『指導した』ってことになって無罪放免。『学校は治外法権』とは言われるけど、まさにそれだったよね。法律が通用しないの。『少年法とか要らない』みたいなことも昨今は言われるけどさ、そもそもその少年法すら適用されないのが学校ってもんだったよ」
 牧島の言葉に、俺も、
「そういやそうだな」
 と頷いてしまった。俺が通ってた学校はそこまでじゃなかったものの、言われてみれば<イジメ>なんてただの<犯罪>だからな? <子供同士のケンカ>とか<じゃれ合い>とか、そんな可愛いもんじゃなかっただろ。大人が大っぴらにそんなことをすれば余裕で逮捕・起訴のはずだし。そういうのが見過ごされてたこれまでがおかしいんだ。
 それで言うと、長女が通ってる学校も、割とそういうのに熱心に取り組んでるところらしい。てか、前妻がしっかり調べてそこに通えるように家を選んだというのもあったようだ。
 いやはや、俺よりよっぽどまっとうに<親>してたよな。

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