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第四世代

ホビットMk-Ⅱ編 台地の調査を

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新暦〇〇三九年十月二十七日



そんなわけで、

<ホビットサンク村で行われてるシミュレーション>

についてはいったん区切りをつけて、他のホビットMk-Ⅱ達についても触れていこうか。

で、今回は、俺達の代わりにこの台地の調査を行ってるホビットMk-Ⅱの仕事ぶりについてだな。



かつては俺自身も密林の調査を自ら行っていたりもしたが、すっかり大所帯になり、かつ、

朋群ほうむ人社会>

そのものがおぼろげながら成立していく兆しが見え始めたことでそちらに注力していく必要が生じたのもあって、とても調査までは手が回らなくなっていた。

以前はドローンを使っていたそれも、やはり映像データだけでは十分じゃないことから、今ではホビットMk-Ⅱを派遣して詳細に調べることにしている。

これも、H-1が日夜新たにホビットMk-Ⅱの製造を行ってくれてることにより実現したものだな。

人間と違って<リスク>をほぼ意識しなくて済み、旗艦ドローンを介して常時給電を行えばほぼ無補給で活動を続けることができるロボットならではのそれが、定着している状態だ。

まるで近所に買い物にでも出るような軽装で、<ハチ子>により任意の場所に派遣され、そこからローラー作戦的に調査を開始する。

俺達が暮らしているこの台地は、地球の日本本土とほぼ同じ広さ程度とはいえ、ホビットMk-Ⅱが一機でポツンと佇んでいると、その目の前には果てしない<世界>が広がっているようにも見える。

今も、少し高台になった場所から麓を見下ろしている形のホビットMk-Ⅱのカメラに映し出されているのは、見渡す限りの<密林>だ。

気温や湿度そのものは地球人にとっても比較的過ごしやすいであろう<温暖気候>のそれでありつつ、植生としては<熱帯雨林>を思わせるのは、ここで繁殖している植物の生態によるものだろうな。

だから地球の環境を基準にして考えるとなんとも不思議な気分にはなるものの、それがここの<普通>だから、もう完全に慣れた。

だが同時に、ここの自然そのものについてはまだまだ分かっていないことも多い。特に<生物>に関しては毎日、

<新種の発見>

がある。

ここの自然がいかに豊かであるかを物語る事実であるだろうさ。ゆえにシモーヌもシオもレックスも大忙しだ。かつ、三人とも、毎日が楽しくて仕方ない様子でもある。彼女達にしてみればまさしく、

『研究者冥利に尽きる』

という感じか。

そしてそのためのデータ収集の主力になっているが、ホビットMk-Ⅱ達だ。

実にありがたいことだよ。

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