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子供達
清潔(も、行き過ぎれば毒になる)
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灯が新しい果実を見付けたように、俺が今、味わってる<コーヒー>も、同じようにして発見されたものだ。見付けたのは光だったが。彼女が持ち帰ったサンプルの中に、コーヒー豆に非常によく似たものがあったんだ。
ただそれは、皮と皮に近いの部分に俺達人間には消化できない成分が含まれていたから、表面をかなり削らないといけなかったので、おそらく<商品>として見ればかなり厳しいものだっただろう。手間がかかる割に使える部分が少ないし。普通のコーヒー豆が手に入る人間社会では利用価値は決して高くないと思われる。
とは言え、飲むのは今のところ、俺とシモーヌだけだからな。光と灯は、俺やシモーヌに比べると野生に近いからか、この種の<苦み>や<酸っぱみ>は苦手らしく一口含んだだけで吐き出してしまった。まあ、十分に予測できたことだから気にしない。
「パパもママもよくこんなの飲めるね!? 毒じゃないの!?」
灯が心配そうな顔をしてそう訊いてきたりもした。彼女としては直感的に<毒>だと感じたのだろう。しかし分析機にかけたところ、表面を十分に削れば、成分的にはただのコーヒー豆と同じだった。少なくとも人間にとって顕著な<毒>じゃない。もちろんカフェイン(と呼んでも支障ないくらいによく似た物質)が含まれてるから一度に大量に摂取すれば害もあるが、それは普通のコーヒーでも同じだからな。そんなことを言い出すと何も口にできなくなる。
ただの水ですら、過剰に摂取すると<水中毒>を起こして命にも係わるそうだし。食品ではないが酸素だって厳密に言えば<毒>だという。しかし俺達のような生物にとっては欠かせない物質でもある。
なんでも程々が一番ってことだろう。
体内に取り込まれた微量の有害物質程度なら、その殆どは代謝によって体外に排出される。生物の体ってのはよくできてるよ。必須でありながら同時に毒でもある物質と上手く折り合いを付けられるようにできてるんだろうな。
かつて一時期、人間はむやみに清潔清潔と、菌類を忌み嫌って除去しようとしたらしいが、そのせいで逆に生物としてのバランスを失いかけたことがあるらしい。さすがに行き過ぎたことで見直されて今ではそこまで言わなくなったが、『他人が握った握り飯も食べられない』というのはやっぱりいて、正直、奇異にも感じる。
なにしろ、『閾値を超えない範囲で菌などに曝されることによって免疫が確立されていく』そうだからな。
それを無視してもし免疫を失ってたら、それこそ他の惑星に移住なんてできてなかっただろうなあ。
ただそれは、皮と皮に近いの部分に俺達人間には消化できない成分が含まれていたから、表面をかなり削らないといけなかったので、おそらく<商品>として見ればかなり厳しいものだっただろう。手間がかかる割に使える部分が少ないし。普通のコーヒー豆が手に入る人間社会では利用価値は決して高くないと思われる。
とは言え、飲むのは今のところ、俺とシモーヌだけだからな。光と灯は、俺やシモーヌに比べると野生に近いからか、この種の<苦み>や<酸っぱみ>は苦手らしく一口含んだだけで吐き出してしまった。まあ、十分に予測できたことだから気にしない。
「パパもママもよくこんなの飲めるね!? 毒じゃないの!?」
灯が心配そうな顔をしてそう訊いてきたりもした。彼女としては直感的に<毒>だと感じたのだろう。しかし分析機にかけたところ、表面を十分に削れば、成分的にはただのコーヒー豆と同じだった。少なくとも人間にとって顕著な<毒>じゃない。もちろんカフェイン(と呼んでも支障ないくらいによく似た物質)が含まれてるから一度に大量に摂取すれば害もあるが、それは普通のコーヒーでも同じだからな。そんなことを言い出すと何も口にできなくなる。
ただの水ですら、過剰に摂取すると<水中毒>を起こして命にも係わるそうだし。食品ではないが酸素だって厳密に言えば<毒>だという。しかし俺達のような生物にとっては欠かせない物質でもある。
なんでも程々が一番ってことだろう。
体内に取り込まれた微量の有害物質程度なら、その殆どは代謝によって体外に排出される。生物の体ってのはよくできてるよ。必須でありながら同時に毒でもある物質と上手く折り合いを付けられるようにできてるんだろうな。
かつて一時期、人間はむやみに清潔清潔と、菌類を忌み嫌って除去しようとしたらしいが、そのせいで逆に生物としてのバランスを失いかけたことがあるらしい。さすがに行き過ぎたことで見直されて今ではそこまで言わなくなったが、『他人が握った握り飯も食べられない』というのはやっぱりいて、正直、奇異にも感じる。
なにしろ、『閾値を超えない範囲で菌などに曝されることによって免疫が確立されていく』そうだからな。
それを無視してもし免疫を失ってたら、それこそ他の惑星に移住なんてできてなかっただろうなあ。
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