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大家族

光(正直、一番、俺の子って感じがする)

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新暦〇〇〇三年八月十日



子供達は、さすがに普通の人間の子供よりはずっと成長が早く(おそらく二倍以上、三倍まではいかないか?という感じ)、だいたい半年もあれば勝手に走り回るようになっていた。しかも力も強いうえに加減を知らず、毎日、家のどこかが破壊されるという状態だ。

しかし、エレクシアもセシリアも決して叱ったり怒鳴ったりはしない。その場その場で丁寧に諭しはするが、果たしてあの子らにはどこまで伝わってるのやら。そもそも彼女らの役目はあくまでサポートであって、子供らに群れでのルールを教えるのはそれぞれの母親と俺の役目だった。

が、俺が教えられるのは普通に<人間としての>ルールであり、野生動物としての生き様じゃない。

なので、実質、非常に人間に近い姿をした、すごく大人しいひかりに、人間としてのルールを教える形になっていた。

現在、外見上は三歳になるかならないかくらいという感じのひかりは頭もよく、俺の真似をしてカタコトだが言葉も話し始めていた。もしかすると本当に普通の人間と変わらないくらいにまでなるかもしれない。なので、正直な話、子供達の中では一番、<俺の子>という実感があった。

ちからはるかの子であるきたるひかりが一番のお気に入りらしく、よく一緒に遊んでくれた。ただ、油断してると池に連れ込もうとするので、その辺りは目を離せない。結局、俺がずっとひかりの傍にいることになって、他には殆ど何もできない状態だった。

子供達の記録については、エレクシアとセシリアが自動で記録を取ってくれているのでそれはいいんだが、この惑星についての記録を纏める作業は、全く進んでいなかった。子育て中ってこういうものなのかなとしみじみ思う。

「あ~、だ~。ぱぁぱ」

ひかりは、遊ぶのに飽きたら俺のところにやってきてお膝をせがむ。だからそういう時は彼女を膝に座らせて、セシリアが持ってきてくれた絵本を読み聞かせるのがいつものパターンだった。この時にはゆっくり落ち着けるので、俺にとっても安らぎの一時だった。

ちなみに、この絵本は、コーネリアス号の乗員の私物だったものを借りている状態である。絵本を集めるのが趣味の乗員がいたそうだ。その自室には、本棚いっぱいに数百冊の絵本が飾られているという。それらの中でも乳幼児に向いていそうなものをセシリアが見繕ってくれたのだ。

が、さすがに大人の趣味として集められた絵本だけに、絵本としての定番のものでも原書に近い解釈で描かれたものが多く、<赤ずきん>や<三匹の子豚>あたりでも、なかなかにハードな描写で俺の方が引いてしまいそうになった。でもまあ、半ば野生に近い状態で生きることになるこの子らにとっては、このくらいは別になんの問題もないのかも知れないが。

何しろ、じんふくの子供達は小動物を生きたままで頭から丸かじりしたりするしな。そういうのを目の当たりにして暮らしてるこの子にとってはこの程度はむしろ『ぬるい』のかもしれない。

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