200万秒の救世主

京衛武百十

文字の大きさ
44 / 93

吉佐倉綾乃の独白 その3

しおりを挟む
私が好きだった先生がいなくなってからのクラスは、しばらくは学級崩壊の状態が続いたけど、それもいつしか収まってた。

だけど、私は完全にクラスの全体から無視され、それどころか他のクラスの子にまでそうするように言いふらされたのか、進級してクラスが変わっても、やっぱり無視された。

それは小学校を卒業するまで続き、中学に入って他の小学校から来た子らはその辺の事情を知らなかったからか、普通に話しかけてくれて友達になってくれた。

その中の一人の子が特に私に優しくしてくれて、いつしか先生が急にいなくなったっていう心の傷もその子が癒してくれて、本当に自然に、そうなるのが当然って感じで私はその子と付き合うようになっていった。

彼女も、男よりは女の子が好きな子だったから。

思えばこの頃が、人生で一番幸せだったかな。お互いの親が出掛けてて留守の時なんか、それぞれの家に行って自然とお互いの全てを求めるようになって。何度も肌を重ねたりもしてたんだ。

彼女の肌はとてもすべすべで柔らかくてしっとりしてて、私は夢中になってた。

だけど、彼女は勉強は苦手で、学校も嫌いで、学年が進むごとに休みがちになり、三年の三学期以降にはそれこそほとんど来なくなってしまった。

どうやら彼女は、両親から精神的な虐待を受けてたみたい。私も薄々は気付いてたから彼女を癒そうと頑張ったつもりだった。

でも、中学を卒業し、私は高校へと進学しても、彼女は高校を受験することさえせずに突然家出して、それ以来、行方もしれない。

噂では、中学の同級生の子が東北のある県に帰省した時に彼女を見かけたらしいけど、派手な化粧をして、それ以上に派手な化粧をした水商売風の女性と腕を組んで歩いてたって話だった。

そうして初めての<恋人>も失った私は、高校ではそのショックを忘れようとしたのもあって親と会話する時間も惜しんで真面目に勉強に打ち込んで、クラスの子らが浮かれた話をしてるのにも関わることなく、おかげでそれなりの大学に進み、新しい<恋人>とも出逢えた。もちろんその恋人も女性だ。

これまでの苦労が実を結んだのか、新しい恋人とは上手くいってた。でもそこに、叔父が癌になったって連絡が届いて、私も一応はそのお見合いに行ったりもした。でもそこで見たのは、もう手の施しようのないくらいに癌が進行してしまって後は死を迎えるだけになった家族を持つ家庭の壮絶な葛藤だった。

病室で、叔父の前では笑顔で接してた義理の叔母や従妹は、病院から出ると取り乱して、私にまで当たり散らしたのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

処理中です...