スキル調味料は意外と使える

トロ猫

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2巻

2-1

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 0 ここまでの話


 マンションのエレベーター事故に巻き込まれ、死んでしまった俺――リツこと八代律やしろりつは、転生の間にあった古いタッチパネルの不具合で、不本意ながら『調味料』のスキルを授かり種族・上位人族として年齢が十歳若返った身体で、異世界ラーディラへと転生させられてしまった。
 俺が意識を取り戻すと、そこは人が一人もいない大草原のど真ん中だった。
 ようやく見つけた森では見たこともない魔物に襲われたが、調味料スキルで試行錯誤しながら塩や胡椒こしょうを投げつけ、撃退。
 その後、森でゴブリンに襲われていた村娘、ジョスリンを助けたことからようやく人里へと到着。
 リスタ村と呼ばれた村では、ジョスリンの父親で村長のカーターの家で世話になりつつ、トイレにいたスライムのキモイが勝手にテイムされてしまう。
 順調に異世界に馴染なじもうとしていた俺の前に立ちはだかったのは、エレベーター事故に巻き込まれる寸前に見た、子供の容姿をした存在Aだった。存在Aの策略によって、このリスタ村は大量のゴブリンによる奇襲を受けてしまった。
 無事にゴブリンを撃退した俺だったが、存在Aへの不安を抱えたままリスタ村の復興を手伝うのだった。



 1 リツとマチルダ


 ベッドの上で目覚め天井を眺める。
 いまだにあのゴブリンの襲撃を乗り切ったのが夢のようだな。
 腹の上で丸くなる相棒、キモイに視線を移す……こいつスライムのくせによく寝るな。
 キモイを軽くつつくと、プルンと身体が揺れた。まだ眠っていたいのか、プルプルと揺れ停止した。
 二度寝かよ。
 リスタ村に加勢に来た騎士たちが村を去ってから、一週間が経った。
 ゴブリン襲撃という大きな事件があったのにもかかわらず、こちらの世界の人は切り替えが早い。これから訪れる雨季は、村の周囲にフォレストフロッグが大量に発生するため、討伐してその皮を売るために、今後二週間ほどで冒険者たちが集まってくる。その繁忙期に向けて、多くの村人が準備に日々忙しく取りかかっていた。
 騎士たちがリスタ村を去ってからほどなくしてマチルダは目覚めた。ゴブリン戦でなくなった腕は実に痛々しそうだが……今は順調に回復している。
 四肢をも生やすポーションを飲めば腕は治るとは分かっていても、ショックからかマチルダは数日間落ち込んでいた。今は現実を受け入れ、療養中だ。
 金はかかるが治るのだから、大丈夫だろう。当の本人も、腕が治ったらこれまで以上に頑張って働くと宣言していた。
 彼女の仲間であるライリーたち『銀狼ぎんろうつるぎ』はマチルダを村に残し、例の四肢を生やすポーションを手に入れるべく、数日前に村を出立した。
 マチルダは俺と同様、今はカーターの家で世話になっている。
 しばらく天井を見ながら今後のことを考えていたが、とりあえず腹が減った。キモイを軽く揺するが無反応だ。

「キモイ、いい加減に起きるぞ」

 声をかけても無反応……。

「粉砂糖――」

 ビシッと蝕手が上がる。本当に欲に忠実だな……。
 元気良く起きたキモイが床で飛び跳ねると、床が大きくきしむ音がした。

「おい! マチルダがまだ寝ているかもしれないだろ! 飛び跳ねんな」

 注意をすればやめるが、目を離すと今度はズリズリと床をい始めたキモイ。
 これはキモイなりの気遣いかもしれないが……やっぱりうるさいので粉砂糖をまぶした朝食を食べさせ、外で遊ばせる。

「キモイ、柵の外には出るなよ!」

 外の鳥を追いかけることに熱を上げているキモイを注意するが、あいつのスピードではどうやっても一羽も捕まえることはできないだろうな。

「キモイ、俺は家の中に入るが、もう少し遊んでいくか?」

 理解したのか知らないが、蝕手を高く上げ返事をするキモイに手を振り、家の中へと戻る。
 今日は、カーター家の全員が早朝から出かけているようだ。台所には朝食のパンとシチューが準備されていた。


 朝食を食べ、マチルダの朝食をトレーに載せて部屋へと運び、軽く声をかける。

「リツだ。起きているか?」
「え? うん」
「朝食を持ってきた、入っていいか?」 
「え? ダメだって」

 中からは焦ったマチルダの声が聞こえた。これは時間が必要なのだろうとしばらく扉の外で待つが……一向に入室の許可が出ない。
 もしかしたら何か手伝いが必要なのか? 
 切断した腕の傷は、銀狼の剣のヒーラー、オルじいふさいだが、俺の鑑定では重傷の表示のままだった。マチルダが言うには、普通に行動できるし、身体の痛みもないという。鑑定の基準が不可解ではあるが、不親切なシステムなので仕方ない。
 部屋の扉を優しく叩き問う。

「大丈夫なのか?」
「……大丈夫じゃない」

 諦めたようなマチルダの返事があった。

「入っていいか?」
「……うん」

 部屋へ入ると、後ろを向いたままのマチルダの背中があらわになっていた。着替えようとして失敗したのか、袖が背中部分で絡まってしまったようだ。
 マチルダがモゾモゾと動くが、余計に服の絡まりを強くしてしまう。

「待て待て。動くなって。今、直す。触るぞ」
「……分かった。お願い」

 下着もつけていない状態のマチルダの声は、恥ずかしさからか、かろうじて聞こえるほど小さかった。

「袖のボタンが服の糸に絡まっているようだ。少し服に手を入れるぞ」

 恥ずかしそうに頷いたマチルダの背中に手を入れ糸を取ろうとするが、思ったより絡まっている。さらに奥に手を入れると、マチルダの背中に俺の冷たい手の甲が思いっきり触れてしまう。

「ひゃっ」
「悪い、わざとじゃない。大丈夫か?」
「うん……大丈夫」

 マチルダは耳まで真っ赤になって下を見た。
 日本だったら、マチルダはまだ女子高生の年齢だ。これは恥ずかしいだろうな。早く終わらせてあげたいが、複雑に絡まった糸に苦戦する。
 少ししてやっと糸がほどける。

「なんとか取れたぞ」
「……助かった。ありがとう」

 マチルダは、目を合わせずに礼を言うと、そそくさと服を整えた。
 以前より警戒心はがれ愛想は良くなったが、今回はさすがに恥ずかしいようで表情は硬い。さっさと場の雰囲気を変えよう。

「朝食、食べるか?」
「うん」

 マチルダは左手でスプーンを握るとゆっくりとシチューを食べ始め、こちらを上目遣いで見上げた。これはあざといのか天然なのか、いまいち判断がつかない。

「どうした?」
「……パンをちぎってほしいです」
「あ、ああ、もちろんだ」

 確かに一番大きいパンをトレーに載せていた。このサイズではかじりつくこともできないな。

「ほら、これでいいか?」
「うん。ありがとう」

 俺がちぎったパンを、マチルダがシチューにひたしながら食べ始める。食欲はあるようだが、怪我けがで弱気なのかマチルダがやけに素直だ。それもあって今日は随分ずいぶん幼い印象がする。

「俺は今から出かけるが、食べ終わった食器は横のテーブルに置いてくれていいから」
「食器くらい下に運べる」
「パンもちぎれないのにか? 無理すんな」

 マチルダは数日前に、筋力が衰えるからトレーニングすると部屋で軽く動いただけで体調が悪くなっていた。食器を運んで階段から落ちたりしたら、たまったもんじゃない。頼むから大人しく療養してくれ。
 マチルダに大人しくしているよう念を押し、再び外へ向かう。


 キモイはちょうを追いかけるのに必死のようで、こちらにはまだ気づいていない様子だった。

「もう少し遊ばせるか」

 大きめの石の上に腰をかけ、しばらく蝶を追いかけるキモイを眺めながらここ数日に起きたことを考えた。
 騎士たちが滞在している間に、ゴブリン襲撃で亡くなった者のとむらいは村全体で済ませた。アンデッドゴブリンの件もあったので、今回亡くなった人間がアンデッドになることを恐れ、遺体は全て火葬された。熱帯的気候の南部の辺境では元々火葬が一般的なようで、誰も異を唱える者はいなかった。
 騎士が配ったポーションや、オル爺を始めとするヒーラーのおかげもあるだろうが、怪我が治って生き残った冒険者はそれぞれすぐに出立、その中には一緒に戦ったカイラの姿もあった。
 カイラとの別れ際に「またどこかで会いましょう」と言われたが、スマホなどのツールはないので、実際にまた会える保証はない。冒険者ギルドを訪ねてほしいと言われたが……縁があればまた会えるだろう。
 そんなことを思いながらボーッとしていたら、出かけていたカーターが家に戻ってきた。

「リツさん、おはよう」
「カーター、忙しそうだな」
「囲いの壁への被害は少なかったが、村人を失った分、やることも増えてしまったからな」

 今日、ジョスリンと母親のメアリーはにわとりのようなババードと、牛に似たゴーンという村で飼っている動物の世話をしているらしい。
 ババードの世話をしていた爺さんはちゃんと生きているが、今朝、無理に荷物を運ぼうとして腰を痛めたらしい。あの爺さんはどうやら大人しくできないらしい。仕方ないので後で治療でもしてやるか。
 ゴブリン襲撃前に逃げた者と亡くなってしまった村人を合わせれば、村の人口が減少しただけでなく戦闘力も以前より格段に下がってしまったとカーターがため息をつきながら言う。
 騎士団のエドワードが、領主が被害状況を確認するために後ほど文官を送るだろうとカーターに伝えているのを聞いた。場合によっては支援金や義援金を配布して、新しい移住者の斡旋あっせんもしてくれるという。なかなか手厚い領主だ。
 だが、文官に根掘り葉掘り調べられる前に俺はこの村を出立するべきだな。
 エドワードは最後まで俺を騎士団に誘っていたから、領主にどんな報告をしているのかと思うと……目をつけられるのは避けたい。あれだけいろいろやって今さらな感じもするが……。まぁ、出立の日が来るまではリスタ村の復興を手伝いたいと思っている。

「カーター、俺にできることがあれば手伝う」
「ああ、それなら木材の調達をお願いしたい。木こりたちはまだ森で活動できるほど回復していない」
「木を切ってくればいいのか?」
「そうなのだが、使える木の種類がある。木こりをまとめている奴の二番目の息子はシェルターにいて無傷だったから、あいつを連れていくといい」

 俺は木を切るだけで、残りは人を集めて運ぶとカーターに説明される。アイテムボックスを使えば持って帰ることができると思うが、さて、丸一本の木は入るのだろうか? 実際、アイテムボックスにどれだけの容量があるのか知らない。入れてみれば分かるか。
 遊んでいたキモイを回収する。

「キモイ、行くぞ! ん? お前、蝶はどうした? 食ったのか?」

 キモイが不機嫌な目で蝕手をピンと張り指す方を見れば、蝶が二匹ヒラヒラと舞っていた。
 俺の頭に上ったキモイがすごい勢いで飛び跳ねる。

「分かったから、俺が悪かったから頭の上で飛び跳ねんなって」

 普段なんでも食うくせに、なんで怒ってんだ?
 カーターが笑いながら言う。

「仲がいい」
「これ、仲がいいのか?」

 粉砂糖をキモイに渡すと、すぐに機嫌が直った。


 その後、カーターに今日の案内役である木こりの息子を紹介される。

「リツだ。よろしく頼む」
「マーティンだ」

 カーターと別れ、早速マーティンと一緒に森へ向かう。
 マーティンはまた十三歳の少年で大人しそうな感じだが、森のあちこちにあるゴブリンの爪痕をものともせず、慣れた足取りで目的地へと進んだ。
 森を歩くこと十数分、マーティンの足が止まる。

「ここだ」

 辺り一面にそびえ立つ木々を鑑定すれば、シーダナットウッドと表示された。

「この木、普通はどうやって切っているんだ?」

 マーティンは、俺に木こり作業ができるのか疑うような、若干に落ちないという表情で説明を始めた。素人なのでそこは許してほしいところだ。
 マーティンの説明する木の切り方は、どう考えても数人で処理するべき仕事のように思える。普通だったら俺とマーティンだけで行える作業とは到底思えないが、風魔法ならなんとかならないこともない……のか?

「村長がリツさんなら一人でも木が切れるって言うから……運ぶのは後から人が来るが、本当に切れるのか?」

 マーティンがやや懐疑的に尋ねた。カーター、俺を過大評価しすぎだろ。

「まぁ、やってみる」

 目の前にあるシーダナットウッドを見上げる。高さもあるが幹も太い。ひとまず、小さい木で練習しようかと思ったが、マーティンに止められる。

「それは、まだ若いからダメだ」
「そ、そうなのか」
「あそこの木だったら、大丈夫だ」

 切ってもいいと許可が出た木を見上げるが、十メートルほどの高さがありそうだな。マーティンは伐採可能な木の中で一番小ぶりなのを選んでくれたのだろうが、それでも俺の中では十分大きい。
 とりあえずやってみるか。話はそれからだ。

「マーティン、少し下がってくれるか?」
「スキルを使うのか?」
「ああ、少し制御が難しいから念のために離れていてくれ」

 マーティンを避難させ、風魔法の刃風じんぷうを唱える。出てきた風の刃が木の幹をえぐるように貫通する。

「ティンバー!」

 マーティンが遠くから大声で叫ぶが、ティンバーってなんだ?
 木はというと思ったより簡単に切れ―― 

「うわっ、危ねぇ」

 ミシミシと音が聞こえたと思ったら、すぐに木がこちらを目がけ倒れてきた。ギリギリのところで無事に避けたが、倒木時の衝撃で葉っぱと土埃つちぼこりが辺りに舞う。キモイが楽しそうに舞う葉っぱを集める間、口に入った葉っぱを吐き出す。
 木を切ったその後に起こる『倒れ』を一切考えていなかった。馬鹿か俺は。マーティンが叫んでた理由はそれだったのか。
 マーティンが急いで駆け寄ってくる。

「おーい。大丈夫か?」
「マーティン、声がけしてくれてありがとうな」
「いや、それよりもリツさんのスキルの威力が凄い。一度の使用ですぐに木が倒れるとは思わなかった。父さんたちが聞いたら呆れそうだ」

 素人の木こり作業なんて叱責されるだけだろうと思うが……刃風も一回での使用で済むのなら、数本は切れそうだな。

「木はあと何本必要なんだ?」
「この大きさならもう一本は欲しい」

 二回目の木こり作業はスマートにいこうと試行錯誤したが、結局は刃風を出した後に即座に逃げるという方法で、無事に必要な分の木はそろった。

「人を呼んでくる」
「マーティン、待ってくれ。もしかしたら俺のアイテム――バッグに入るかもしれない」
「この大きさが? 本当か?」

 やや不安だったが、アイテムボックスに木を放り込んで確認する。


【アイテムボックス】 シーダナットウッド×1


「普通に入ったな」
「あんな大きな木がアイテムバッグに入ったのか? そんなの見たことない」

 隣でマーティンが驚きながら目を丸くする。
 もう一本のシーダナットウッドも無事にアイテムボックスへ入れたところで、村へと戻った。
 アイテムボックス様様だ。

 ◆ ◆ ◆

 村に戻り、アイテムボックスからシーダナットウッドを取り出すと、肩を痛めて待機していたマーティンの父親が驚きながら尋ねる。

「これを二人で切ってきたのか? この短時間にか? 本当か?」
「間違いなくリツさんが切った。父さんが見たら呆れるような方法で伐採したけど……」
「いや、どんな切り方でも助かる。リツさん、感謝する。あとは任せてくれ」

 マーティンの父親が手が空いている者を集めると、持ち帰った木はあっという間に枝払いと玉切りが行われた。
 作業の終わったおっさんの一人が声をかけてくる。

「あんた木こりにならんか? こんな綺麗な切れ目は久しぶりに見たわい」
「俺はただの手伝いだ。必要ならまた切るが、スキルが働いているだけで俺に木こりの才能はないと思う」
「そうか、それは残念だな。まぁ、あんたがこの村に定住してくれたら嬉しいんだがな」
「……そう思ってくれるのはありがたいが、俺にもいろいろやらないといけないことがある」

 存在Aが今回の件のように俺に対して攻撃的な限り、どこかへ定住するのは迷惑がかかるだけだ。それに、あの女子大生をどうにか助けてあげたいというお人よしな気持ちもある。存在Aをどうにかぶっ殺すことができれば全て解決しそうだがな。あいつ、殺せるのか? 今はレベル上げを頑張るしかねぇな。
 木こりのおっさんは残念そうにしていたが、理解してくれたようで木材が手に入ったことを再び感謝された。


 やることもなくなったので木こりたちと別れ、カーターの家に戻ると、外の畑に水をいていたジョスリンが大きく手を振る。

「リツお兄ちゃん、キモイちゃんお帰り!」
「ああ、ただいま」

 キモイが頭の上からスルスルと降り、ジョスリンの元へと向かう。キモイはジョスリンとは仲良くなったようで、少しなら触られても平気になったようだ。

「ここの水撒きが終わったら今日のお手伝いは終わりだから、リツお兄ちゃん待ってて」

 ジョスリンが急いで畑に水撒きをすれば、キモイがそのモノマネをする。キモイがこんな人の真似のような行動をするのは初めて見た。
 二人の間を舞う蝶がジョスリンの指に止まると、キモイが蝕手を伸ばしたのでジョスリンに注意される。

「キモイちゃん、この前みたいに食べるのはダメだよ」


 キモイ……今朝は偉そうに蝶を食ってない素振りをしていたが、やっぱり食ってんじゃねぇかよ。
 ジョスリンの注意を理解したかは知らないが、キモイがプルンと身体を揺らしながら蝕手をゆっくりと伸ばすと、ジョスリンの指からヒラヒラと飛んだ蝶がそこに止まる。
 キモイが蝶を食ってしまうんじゃないかと心配だったが、杞憂きゆうだった。キモイは丸々とした目で蝶を見つめるだけだった。

「リツお兄ちゃん。キモイちゃん、偉いでしょう?」
「そうだな……」

 こいつはいつくしみを学習しているのだろうか? 不思議な生物だ。今まで見た他のスライムはえさを求めて動くだけで、キモイのような知性はない。名づけが関係しているのか? 魔物に懐かれている他の奴と、いつか情報交換がしたいな。 


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