45 / 83
四十五話「今宵は誰も部屋を訪ねるな!」*
しおりを挟む「今宵は誰も部屋を訪ねるな!」
屋敷に着くなり、兄上はそうカールに命じた。ボクの腰に手を回し、早足で自室に向かった。
部屋に入ると素早く鍵をかけ、カーテンを閉め、ランプに明かりを灯す。
まだ昼間なのに、部屋の中は夜のような妖しい空気に包まれた。
「一緒のベッドで寝たい」
兄上は人恋しいのかな? と思いコクリとうなずく。
うなずいた途端に、兄上にベッドに押し倒された。
「あっ、兄上……!」
押し倒されるとは思っていなかったので、ボクの心臓がバクバクと音を立てる。
兄上がスルスルとボクの服を脱がしていく、あっという間に全裸にされてしまう。
「私の我慢も限界だ……!」
兄上がボクの両腕を押さえ、ボクに口づけを落とす。
ヴォルフリック兄上を愛していると気づいてから兄上とする最初のキス……! まさか全裸にされベッドに組み敷かれてされるとは思っていなかった……!
こっ、心の準備が……!
兄上の舌が唇を割り口内に侵入してくる、何度もされてることなのに、今日は心臓がバクバクする! 恥ずかしくて、兄上の舌を歯でガードしてしまった。
ヴォルフリック兄上の舌が、ボクの歯列をなぞり、中に入ろうと執ように攻めてくる。
ボクが歯を食いしばっていると、兄上が諦めて唇を離した。
「エアネスト? 早急すぎたか?」
兄上が悲しげに眉を下げる。兄上を傷つけてしまった。ズキズキと胸が痛む。
「あの、兄上……お風呂に、入りたい……です」
あれ、これっていま言うことかな?
「そうだったな、すまない焦り過ぎた」
兄上がホッとした顔で、息を吐いた。
なんだかよくわからないけど、ヴォルフリック兄上の機嫌が直ったみたいでよかった。……と思ったのもつかの間。
兄上がジュストコールを脱ぎ、ベルトに手をかける。
「あっ、兄上……?」
兄上のたくましい体が顕になり、目のやり場に困る。
ヴォルフリック兄上の裸を見るのは、兄上と再会した次の日以来だ。
色白で華奢(きゃしゃ)なボクの体とは違い、ヴォルフリック兄上の体は程よく筋肉がついていてギリシャ彫刻のように美麗だった。
裸を見られるのにはなれているが、見るのにはなれていない。
「私も一緒に風呂に入る、嫌か?」
「いっ、嫌ではありません……ですが」
一人でお風呂に入りちょっと、冷静になりたかった。
ヴォルフリック兄上を愛していると気づいてから、兄上と一緒にいると心臓が破裂しそうなぐらいドキドキして苦しい。
兄上の妖艶なまでの美しさは罪だ。
「ボク一人でお風呂に入りたいといいますか、ちょっ、兄上……!」
兄上にお姫様だっこされ、お風呂場に連れて行かれてしまった。
◇◇◇◇◇
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,563
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる