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二十二話
しおりを挟むダネンバウム子爵に襲われる事件が起きたあと、レオナルド様は過保護に拍車がかかり、僕は窓のない部屋で過ごし、レオナルド様が一緒のとき以外部屋から出してもらえなくなった。
いやそれはパーティーの前からだけど、パーティーの前は市場など屋敷の外に連れ出してもらえたんだけど、事件の後は屋敷からは一歩も出してもらえなくなった。
王太子殿下に太陽の日差しを浴びないと健康に良くないよ、と言われたらしいレオナルド様に、たまにお庭には出してもらっている。
レオナルド様と手を繋ぎ、手入れの行き届いたミュールフェルト公爵家の庭園を散策するのが、今の僕の楽しみだ。
レオナルド様との勉強の時間に、レオナルド様のお膝の上にのせられて、体のあちこちを触られて、そのままベッドになだれ込む時間も楽しみではある。
宝石を金庫にしまうように、お屋敷の奥の部屋に住まわせてもらい、レオナルド様に大事に大事に扱われ、半年が経った。
レオナルド様との結婚が国に正式に許可された。
パーティーのときより華美なアクセサリーと、フリルがたくさんついた純白のドレスを着せてもらい、ガラスの靴と、銀のティアラを装備させてもらい、髪を綺麗に結ってもらった。
レオナルド様は黒のロングのタキシードに身を包んでいて、いつもより妖艶で、美麗で、惚れ直してしまった。
ミュールフェルト公爵家の外に出るのは久しぶりなので、ワクワクしていたんだけれど、馬車の窓には黒いカーテンが引かれていた。
カーテンの隙間からちょっとだけのぞくと、花が咲くなだらかな丘が広がっていて、心がほっこりした。
馬車は二時間ほど走り、目的地に着いた。ミュールフェルト公爵家が代々結婚式を挙げてきたとされる教会は、郊外にある趣のある建物だった。
神父様と立会人のミハエル王太子殿下しかいない、ひっそりとした結婚式。
僕の両親も、レオナルド様のご両親も参列しなかったけど、僕はレオナルド様と神様の前で愛を誓えて嬉しかった。
レオナルド様とバージンロードを歩き、神様の前で誓いの言葉を言い、指輪を交換し、口付けを交わした。
ライスシャワーも花束のトスもなかったけど、とても幸せだった。
その日は湖畔のほとりのミュールフェルト公爵家の別荘で、レオナルド様と愛し合った。
環境が変わったせいか、僕が人妻になったせいかは分からないけど、レオナルド様はとても興奮していて、朝まで寝かせてもらえなかった。
ずっと憧れていたレオナルド様と、夢の中でも叶わないと思っていた結婚式を挙げられ、僕は最高にハッピーだった。
◇◇◇◇◇
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