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十四話
しおりを挟む話は少し戻って、僕がレオナルド様の寮で同棲をはじめて数日後。
レオナルド様が野良猫だったミケとレオの親子を寮の部屋に連れてきて、ここで飼ってもいいとおっしゃってくれた。
寮は動物禁止だけど、レオナルド様が先生に掛け合ってくれたみたい。
僕が木に登って降りられなくなったとき、レオナルド様が助けに来てくれたのは、ミケがレオナルド様を呼んできてくれたからだとそのとき初めて聞かされた。
ミケは我が子をおいて逃げるような猫じゃないと信じてたよ!
僕とレオナルド様を引き合わせてくれるなんて、ミケとレオは恋のキューピッドだね。
ミケのブルーの瞳を見たレオナルド様が「サフィールと同じ青い瞳だから『サフィー』と名付けたい」と言い出したときには、顔から火が出そうだった。
猫に自分の愛称をつけられるとか死ぬほど恥ずかしい! 僕も猫に好きな人の愛称をつけてたから、レオナルド様の事を言えないけど。
黒猫の名前が「レオ」だと知ったとき、レオナルド様もこそばゆい思いをされたのかな?
でも母猫にはすでに僕が付けた「ミケ」という名前がある。(三毛猫だからミケとか、安直すぎ!)
レオナルド様が「サフィーとレオは親子だったな、親子では結婚出来ぬか。レオの兄弟……いや伴侶が出来たらその猫の瞳の色に関わらず『サフィー』と名付けよう」とおっしゃった。
レオナルド様は兄弟までなら守備範囲らしい。レオナルド様に兄弟がいらっしゃらなくて良かった。
僕はこのとき、レオナルド様と結婚できると思っていなかったから、レオの未来の恋人に嫉妬した。
いつかレオナルド様が僕に飽きられ、僕の事を遠ざけたら。レオと恋人のサフィーがいちゃつくのを見ながら、決して訪ねてくることのないレオナルド様をひとり寂しく待ち続けるのだろうな……と想像したら寂しくなった。
いもしないレオの恋人に嫉妬するなんて、僕は器が小さい。
一年後、レオには白い毛に水色の瞳の恋人が出来た。レオナルド様は宣言通り、その猫に『サフィー』と名付けた。
翌年サフィーは三匹の愛らしい仔猫を生み、今では孫までいる。
レオとサフィーは今も仲むつまじく暮らしている。
◇◇◇◇◇
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