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十五話

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僕とレオナルド様の結婚について話そう。

レオナルド様の愛人になって数カ月後、学園の卒業パーティーが近づいたある日のこと。

説明してなかったけど、僕の通う学園は四年制。

レオナルド様は三年生だから卒業は来年。僕は一年生だから二年生に進級する。

卒業パーティーには卒業生と卒業生の保護者の他に、在校生や在校生の保護者も出席する。

生徒は貴族や裕福な商家の子ばかりだから、学園の卒業パーティーは、王族の誕生日パーティーに次いで華やかだと言われている。

その卒業パーティーが近づいたある日、レオナルド様が僕にダンスの講師をつけてくださった。

レオナルド様は僕が女子のパートを踊ることができないと思っていたようだ。

僕は女子のパートを踊ることには慣れている。ルーク様と踊ることを想定して、ずっと女子のパートだけを習わされてきたから。

それをレオナルド様に話したら「やつと踊ったことがあるのか!」怒り出した。

幸いにもルーク様と踊ったことはないので、そう伝えたらレオナルド様の機嫌は直った。

「社交の場では私以外と踊るな!」と釘をさされた。

ひらひらした純白のドレスに高いヒールの靴、髪を高く結上げられ、薄く化粧をされ、ダイヤの付いたティアラと、サファイアのネックレスとイヤリングを装備させられた。

ふんわりしたドレスとヒールの高いくつを履いて踊るのは初めてで、よろめきそうになった。

女の子のパートは習ったことがあるけど、女装をしたことはないので、ヒールには慣れていないのだ。

女装をした僕を見て、レオナルド様は僕を抱きしめくるくると回った。

顔にいっぱいキスをされ「可憐だ」「素敵だ」「天使だ」「太陽よりも眩しい!」と恥ずかしいセリフをたくさん言われた。

レオナルド様が僕の女装に興奮してしまい、お姫様抱っこされて個室に連れ込まれ、ベッドに押し倒された。

ドレスはレオナルド様と僕の精子でドロドロになり、使い物にならなくなった。

足腰が立たなくなるまでレオナルド様に抱かれ、ダンスの練習は次の日、いや翌々日からとなった。

レオナルド様が興奮しないように、練習のときは地味なワンピースとハイヒールになった。

それでもダンスの練習のあと、レオナルド様にワンピースが使用不可能になるほど抱かれてしまったのだが。

ダンスの練習の話に戻ろう。ハイヒールには不慣れで、ダンスの先生の足をたくさん踏んでしまった。

ダンスの先生と踊ることに嫉妬したレオナルド様に「私がサフィールと踊る!」と言われたときには心臓が跳ねた。

性行為を毎日しているから、レオナルド様と密着することにはなれている。

でもダンスは別だ。僕はずっとレオナルド様とのダンスを夢見てきた。その夢が叶うんだ、それは心臓だって煩く鳴りまくるよ!

レオナルド様のリードはとても上手で、ダンスの最中僕は夢見心地だった。

レオナルド様の足を何度も踏んでしまったことは、黒歴史だ。レオナルド様とはもっと上達してから踊りたかった。

レオナルド様が「卒業パーティーで私と一緒に踊ってほしい」と言ってくださった。

僕は心臓が止まるほど嬉しかった。でも愛人の僕なんかがレオナルド様と卒業パーティーで踊っていいのかな?

レオナルド様は婚約者と踊った方がいいんじゃ?

それともレオナルド様にはまだ婚約者がいなくて、レオナルド様を狙う女性や男性を遠ざけるために、僕を連れていくのかな?

一生に一度の機会なので僕は引き受けることにした。

このとき、僕は調子に乗っていたのかもしれない。
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