12 / 21
猫舌な夜
しおりを挟む
SHOWROOMで2時間の生配信があった帰り道。
タクシーで自宅に向かっていると、かっきーからのLINEが届いた。
遥香LINE「さくちゃん、配信おつかれさま!」
さくらLINE「ありがとー^ ^」
かっきーの話では、配信していた時間帯はまだお仕事中だったらしい。
それでも、ちょっとした空き時間が出来た隙にスマホで私とまゆたんの配信を観ててくれたみたい。
(全部観てたわけじゃないってことは……あの場面、観てたのかな…)
私には、今夜の配信でどうしても気がかりなことがあった。
もしかしたら、かっきーに嫌な思いをさせてしまったんじゃないかと思うことが…
「かっきー、あのね、私、今日の配信で謝りたいことがあって…」
「んー?どうしたの?もしかして、さくちゃんしか知らない私の恥ずかしい秘密でも喋っちゃった?」
「ううん、それは大丈夫だよ」
たしかに、私しか知らないかっきーの一面はいくつかあると思う。
付き合い始めて、少しずつ関係を深めていって、その過程で見てきたかっきーのこと。
でも、それを誰かに明かすようなことは絶対にしないと決めている。
ただ今夜の配信では、私のその決意が原因で失敗してしまったかもしれない。
とにかく、正直に伝えようと思った。
「あのね、私とまゆたんの共通点を考えて2人で答えを合わせていくってゲームをしてた時なんだけど…かっきー、観てたかな…?たぶん20時くらい」
「20時くらいはちょうど見れてなかったかなー>_<でも、そういうゲームが始まってたのは知ってたよ」
「そっか…実は、その答えでね、まゆたんが『かっきーと仲良し』って書いてたの…私、それ見た時にハッとしちゃって……その通りだ、って思って。
でも私はそれ思い付かなくて、書けなかったんだよね…それを、どうしても謝りたくて…かっきー、ごめん(◞‸◟)」
私から送信した後ですぐに既読が付いたけど、返信まで少しの間があった。
少しすると、かっきーから笑顔のスタンプが届いて文章も続く。
「なんだー、全然大丈夫だよ!さくちゃんのことだから、私との関係を頑張って隠さなきゃって思ってそういう答えは頭から除外してたんじゃないかな?」
(かっきー……私のフォローまでしてくれてる…ほんと優しい…)
「うん…たぶん、そうだと思う…こないだまでのライブとか、ブログとかで、かっきーのことが大好きって気持ちをオープンにし過ぎちゃったかなって…その反動で、慎重になってたのかも」
「うんうん、きっとそうだよ。だからさくちゃん、大丈夫!」
「じゃあ、許してくれる…?」
「許すもなにも、全然気にしてないよ^ ^」
(よかった…正直に話してみて、よかった…)
ありがとう、と返そうと思って指を動かそうとしたら、かっきーから続けて返事が来た。
「あ、じゃあ、」
「今夜これから、配信してた時のままの格好でさくちゃんが待っててくれたら、許しちゃう❤️」
「え?かっきー、来てくれるの?」
少し前に聞いたかっきーのスケジュールだと、たしか明日は朝が早かったはず。
「うん、なんか明日のスケジュールに余裕が出来たんだよね。だから、さくちゃんの部屋、行くね?」
「やったー^ ^!!」
私は胸を躍らせながら、家に着いた。
・・・・・・・・・
ほどなくして、かっきーが来てくれた。
配信の時に着ていたグループの制服はさすがに着てないけど、それ以外は約束通り、配信してた時のままの私。
その状態で、かっきーを出迎える。
「かっきー、来てくれて嬉しい!」
「さくちゃーん!!……あぁ~、やっぱりその髪型、かわいすぎる……❤️」
あ…そうだった。
今夜の私は配信のために、ちょっとめずらしい髪型に挑戦していたんだ。
ファンの皆さんも喜んでくれたらいいなって思って、トークでお知らせもしていたけど。
きっとこの世界の誰よりも喜んでくれる人が、いま私の目の前にいる。
私の髪型と私の顔を交互に見ながら、ずーーっと笑顔でいてくれている。
「はぁぁ~…こんなに可憐でかわいいさくちゃんを今夜は独り占めできるなんて…幸せ過ぎる…幸せ過ぎて怖い」
「うん…かっきーの独り占め、だよ…?でも、今夜は、じゃないよ…?」
「え…?」
唇をかっきーの耳元へ近付けて囁く。
「今夜『も』、だよ…?❤️」
ボシュッ…
という音が聴こえてきそうなくらい、かっきーが高揚したのが分かる。
「さくちゃん…そんなこと言って…どうなってもしらないからね…?」
かっきーの力強いハグを受け入れる。
(だって、ほんとのことだもん…私のことはいつだって、かっきーが独り占めしていいんだからね…?)
ようやく夏が終わりかけてきた頃だったけど。
私とかっきーの夜は、まだまだ熱くなりそうだった。
~おしまい~
タクシーで自宅に向かっていると、かっきーからのLINEが届いた。
遥香LINE「さくちゃん、配信おつかれさま!」
さくらLINE「ありがとー^ ^」
かっきーの話では、配信していた時間帯はまだお仕事中だったらしい。
それでも、ちょっとした空き時間が出来た隙にスマホで私とまゆたんの配信を観ててくれたみたい。
(全部観てたわけじゃないってことは……あの場面、観てたのかな…)
私には、今夜の配信でどうしても気がかりなことがあった。
もしかしたら、かっきーに嫌な思いをさせてしまったんじゃないかと思うことが…
「かっきー、あのね、私、今日の配信で謝りたいことがあって…」
「んー?どうしたの?もしかして、さくちゃんしか知らない私の恥ずかしい秘密でも喋っちゃった?」
「ううん、それは大丈夫だよ」
たしかに、私しか知らないかっきーの一面はいくつかあると思う。
付き合い始めて、少しずつ関係を深めていって、その過程で見てきたかっきーのこと。
でも、それを誰かに明かすようなことは絶対にしないと決めている。
ただ今夜の配信では、私のその決意が原因で失敗してしまったかもしれない。
とにかく、正直に伝えようと思った。
「あのね、私とまゆたんの共通点を考えて2人で答えを合わせていくってゲームをしてた時なんだけど…かっきー、観てたかな…?たぶん20時くらい」
「20時くらいはちょうど見れてなかったかなー>_<でも、そういうゲームが始まってたのは知ってたよ」
「そっか…実は、その答えでね、まゆたんが『かっきーと仲良し』って書いてたの…私、それ見た時にハッとしちゃって……その通りだ、って思って。
でも私はそれ思い付かなくて、書けなかったんだよね…それを、どうしても謝りたくて…かっきー、ごめん(◞‸◟)」
私から送信した後ですぐに既読が付いたけど、返信まで少しの間があった。
少しすると、かっきーから笑顔のスタンプが届いて文章も続く。
「なんだー、全然大丈夫だよ!さくちゃんのことだから、私との関係を頑張って隠さなきゃって思ってそういう答えは頭から除外してたんじゃないかな?」
(かっきー……私のフォローまでしてくれてる…ほんと優しい…)
「うん…たぶん、そうだと思う…こないだまでのライブとか、ブログとかで、かっきーのことが大好きって気持ちをオープンにし過ぎちゃったかなって…その反動で、慎重になってたのかも」
「うんうん、きっとそうだよ。だからさくちゃん、大丈夫!」
「じゃあ、許してくれる…?」
「許すもなにも、全然気にしてないよ^ ^」
(よかった…正直に話してみて、よかった…)
ありがとう、と返そうと思って指を動かそうとしたら、かっきーから続けて返事が来た。
「あ、じゃあ、」
「今夜これから、配信してた時のままの格好でさくちゃんが待っててくれたら、許しちゃう❤️」
「え?かっきー、来てくれるの?」
少し前に聞いたかっきーのスケジュールだと、たしか明日は朝が早かったはず。
「うん、なんか明日のスケジュールに余裕が出来たんだよね。だから、さくちゃんの部屋、行くね?」
「やったー^ ^!!」
私は胸を躍らせながら、家に着いた。
・・・・・・・・・
ほどなくして、かっきーが来てくれた。
配信の時に着ていたグループの制服はさすがに着てないけど、それ以外は約束通り、配信してた時のままの私。
その状態で、かっきーを出迎える。
「かっきー、来てくれて嬉しい!」
「さくちゃーん!!……あぁ~、やっぱりその髪型、かわいすぎる……❤️」
あ…そうだった。
今夜の私は配信のために、ちょっとめずらしい髪型に挑戦していたんだ。
ファンの皆さんも喜んでくれたらいいなって思って、トークでお知らせもしていたけど。
きっとこの世界の誰よりも喜んでくれる人が、いま私の目の前にいる。
私の髪型と私の顔を交互に見ながら、ずーーっと笑顔でいてくれている。
「はぁぁ~…こんなに可憐でかわいいさくちゃんを今夜は独り占めできるなんて…幸せ過ぎる…幸せ過ぎて怖い」
「うん…かっきーの独り占め、だよ…?でも、今夜は、じゃないよ…?」
「え…?」
唇をかっきーの耳元へ近付けて囁く。
「今夜『も』、だよ…?❤️」
ボシュッ…
という音が聴こえてきそうなくらい、かっきーが高揚したのが分かる。
「さくちゃん…そんなこと言って…どうなってもしらないからね…?」
かっきーの力強いハグを受け入れる。
(だって、ほんとのことだもん…私のことはいつだって、かっきーが独り占めしていいんだからね…?)
ようやく夏が終わりかけてきた頃だったけど。
私とかっきーの夜は、まだまだ熱くなりそうだった。
~おしまい~
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
31
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる