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2章
2-6 霞目インスタグラマーと幽霊と丹桂飄香(タングイピャオシャン)
しおりを挟む「桃花さん、丸山中華本舗の社員さんだったんだ」
すっかり目が覚めたのでリビングで2人で話す事になって自己紹介やらで話が弾んだ。
世間は狭いなあと痛感した。
しかし、驚きだ。
あの会社の餃子は好きで一人暮らしした時の最初の時は冷凍庫に入れてた。
ニュースで見た時は地元の企業だから結構ショックだったが。
(リストラとかした人、知り合いにいないしな)
気の利いた言葉が出てこない。
「うん、先月までね。そしたら店長からここで働かないかって言われて渡りに船で助かったんだ」
「すごい」
それは確かに渡りに船だ。
「すごいのはこころちゃんだよ。
写真どれも食べ物美味しそうにあげてるし私こころちゃんの投稿で知って行ってみたお店たくさんあるよ」
無邪気に桃花さんは笑いかける。
実際にフォロワーの声が聞けて嬉しいしインスタは好きだ。
でも、充実してるのはインスタで私にはそれ以外に持ってるスキルは何もない。
「私は桃花さんすごいと思うよ。お茶の事本当に好きって分かるし」
「本当?」
「うん」
「そっかあ、照れるな」
へへっと彼女は笑うと意外な事を口にした。
「私、広報志望だったんだ。
頑張ったんだけど成果全然出る前に、いや売るの下手だったけど食べ物に限らずいい物ってつい広めたいっていうか、だから広報に憧れてたんだけど」
桃花さんはそこで言葉を考えているようだった。
(そっか。そこであの事件があったならな)
なんとなく彼女に同情する。
「その時ね、なんか私悔しくかったんだ。
シュウマイ売りたかったけど広める方法は営業以外でもあった。
それに広報の人は私が思ってる以上に忙しく会社の為に仕事してた。
全然私、社員として駄目だった」
リストラ対象になるよねそりゃとへへっと彼女は笑う。
「だからここでは会社では頑張らなきゃって思うんだ」
まだ見習いだけどねと笑う彼女は明らかに決意を感じた。
「私も桃花さんみたいにやりたい事に出会いたいな」
と感じたままを言う。
「うん。こころちゃんならやりたい事見つけたら何でも飛びつきそう」
「なにそれ」
私ってそんな奴かー?と悪い気はしないのであははと笑う。
いつの間にか時計は深夜を回り、その日は部屋に戻って一夜を明かした。
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