長崎あやかし茶房 桃花源(とうかげん)へいらっしゃい 〜中国茶は人を救う〜 

麻麻(あさあさ)

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2章

2-5 霞目インスタグラマーと幽霊と丹桂飄香(タングイピャオシャン)

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視界になぜか見慣れない天井があった。

「・・・どこここ」
布団にタオルケットが掛かってたらしい。
夢オチにしては自分のアパートではないから現実みたいだ。


壁伝いに廊下に出ると突き当たりのカウンターを見て思い出した。

「今日行ったお茶屋さん」
そうだ。電気が付いてなくて分かりにくいがやっと確証が持てた。

「あれ、でも私なんでここに?」
考えてると廊下の電気が付いたので家主が気づいたかと思って見るとそこにいたのは今日接客してくれた寝巻き姿の女性店員さんだった。

「こんばんは、よかった。体調は大丈夫ですか?」
そう聞かれて頷く。
「あの、私どうしてこちらに来たのでしょう?」

「それがリューシェンさん、店長が偶然通りかかったとこでお客様が気絶して幽霊ってうわ言で言ってたみたいでうちが近いので置き去りにする訳にもいかずここに連れてきたみたいです」

「そうだったんですか。うわ、なんか恥ずかしい。
ご迷惑をお掛けしてすみませんでした」

「いえいえ。疲れてらっしゃったんですかね。
お腹空かれてるなお夜食とかどうですか?」

「そんな、私今日結構食べすたのでお気遣いなく」
むしろ気になるのは疲れ目とか髪や体系もろもろだ。

(ん?)
店員さんの後ろに小さな人影が蠢いて驚く。
「ひっ!?」
それは先程カメラ越しに見えた女の子そっくりの女の子だ。

長い黒髪を両サイドをお団子に寝巻きの女の子。
その子と店員さんは仲良さそうに話している。

眠るならその髪型は寝にくくない?と疑問に思ってると

「お姉さん大丈夫?」
と愛くるしい顔で心配そうに聞いてきた。

(か、可愛い!)
不覚にもときめいて
「うん。大丈夫」
と普通に答えた。

(こんな可愛い子になんで私、怯えてたんだろ)
と自分のかすみ目に罪を感じた。

店員さんは何故か女の子を奇妙そうに見ているが。

すると女の子は店員さんの服を掴むと
「ねえ、桃花。お姉さんに聞きたい事があったんでしょう?」とニヤニヤ聞くと店員さんは
「それはいいのっ!」とどこか野暮な事聞けないといった返事をしたのでなんだろうと疑問に思う。

すると女の子はこちらに向き直り
「じゃあ私が言っちゃうもん。お姉さん、いんすたぐらまーさんなんでしょ」
と言い当てられ驚く。

「ミンミンちゃん!」
と店員さんは彼女を叱るが反省してないらしい。

「あ、あのお店の写真投稿して下さってありがとうございます。私、あの前からアカウント拝見していてフォローさせてもらってます」

そう言われてなんだか今日初めて気持ちがほぐれた感じがした。
 










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