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神様からの授かりもの4

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「ヤマト考えようによっちゃ、それでも来てくれる嫁さんの方がいいだろう?苦労はしょって行かなくちゃな。まーじん来なかったら来なかった時だ。お前が僕の心配をしてくれてるのは嬉しいがな。」

 僕はそう言って、大和の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。

「それにお前も知っているだろう。愛美ちゃんの名前の由来」

「あぁ…知っているよ。俊次兄さんが喜んで何度も話してくれたもの。お母さんの愛さんの名前を一文字とって、沢山の人を愛することが出来ます様に。心が美しく綺麗な人に育って欲しい。そう願いを込めて愛美ちゃんにしたって。」


「だろう。なら、愛美ちゃんが沢山の人に愛を与えるためには、愛美ちゃん自身が人から愛をまず受けて満たされなきゃな。その愛は誰があげるんだ?」

「通常は子供への愛は両親でしょう?でも、その両親がいないから……。」

「そういないんだよ。なら、血縁者である両親の家族が愛を与えてあげなきゃな。僕以外に適任はいないだろう?」


「兄さんがそうまで言うなら分かったよ。でも、兄さんだって仕事があるだろう。日中はどうするのさ。」

「父さんと母さんがいるだろう。最終的な面倒は見るけど、保育所に預けられるまでは日中は面倒を見てくれるさ。なんせあの二人は子供好きで、娘が欲しかったから大丈夫だよ。」

「なら、大丈夫か。僕ら兄弟もなるべく兄さん達の負担が少なかなる様に協力するよ。使わなくなった子供服や玩具、紙オムツ、ミルクがあったら持ってくる様に伝えとくよ。」

「うん、悪いな助かるよ。」


 それから数日、家族会議をして、なくなった俊次の家の遺品整理や心の整理を行った。愛美ちゃん様の玩具や子供服が僅かながら置いてあった。

 手を合わせて部屋を後にする。

 お前達の愛娘は、僕が責任持って育てて、ちゃんと嫁に出すから、二人とも安らかに眠って下さい。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 それから数年後……。

 夜泣きや、発熱、赤ちゃんならではのトラブルが常時多発していたものの、兄弟やその奥さん達の支援もあって愛美はすくすくと健康的に育っていった。

「3・2・1・・愛美ちゃん誕生日おめでとう」

 今日は愛美の5才の誕生日、休日なのもあって、家族みんなが集まってくれた。愛美の両親はもういないが愛を与えてくれる家族は沢山いる。

「パパ、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん。叔父さん叔母さん。みんな忙しいのに集まってくれてありがとう。」

 愛美は今日も家族からの愛を沢山受け取って、生きています。


~~~~完~~~~~
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