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【閑話】ハロウィンイベント

【閑話】ハロウィンイベント3

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「皆さんおはようございます。本日は待ちに待ったハロウィンイベントの日です。お客様が沢山くることが予想されましたので、各支店のオーナーの方々がわざわざ応援に駆けつけてくれました。さらに本部のエリックさんがイベントを視察に来ていますので、しっかりとイベントを盛り上げて
行きましょう!」

「おー」

「では、オーナーの皆さんは各自予定していた衣装と小道具を装備して、所定の位置へ。あとは、打ち合わせ通りにご対応お願いします。」

「はいっ」

「ウチのスタッフの皆さんは、ハロウィン用にコスプレをして、あとは、普段通りの業務となります。慌てずにいつも通り落ち着いてご対応ください。」

「ハイッ」

「ミリィは、ハロウィンの仮装をして、ハロウィンイベントを行う、ダンジョンの入り口で待機。冒険者の方が来たら、今回のイベントの内容を説明してください。」

「分かったにゃー」

「小咲ちゃんは、僕と一緒に制御室で手分けして各ダンジョンフロアの監視問題点が有れば、即座に対応します。休憩は僕と小咲ちゃんで回します。トイレ休憩が欲しい場合は、早めに連絡下さい。では、今日も宜しくお願いします。
ハッピーハロウィン!!」

「ハッピーハロウィン!!!」

「トリックオアトリート」
「トリックオアトリート」

「では、皆さん持ち場へ行ってください。解散」

◆  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆  ◆ ◆ ◆ ◆

「ダンジョンマート金沢支店へようこそ!」

お客さんが次々と入場してきている。ハロウィンだけど仮装してきているお客さんは少ない。ちらほらと新規登録者もいるが、そこまで目立って多いわけではない。イベントに関しては予め告知してあったので、今日は混み合いが予想されるため、前日までの登録を促していたのでそれほどまでではなかった。

「みんなにゃ~、ハロウィンイベントのフロアへようこそだにゃー。ミリィがイベントの説明をすらのでよく聞くにゃー。今回のイベントは、ハロウィンとオリエンテーリングが混ざっているにゃ。

 各ポイントに仮装したウチのスタッフが配置されているにゃ~。周辺のモンスターを倒して、助けてあげて欲しいにゃー。

 助けたら、スタッフが「トリックオアトリート」って言うにゃー。みんなは、イタズラかお菓子か好きな方を選ぶにゃー。

 お菓子は周辺のモンスターを倒したら、手に入るにゃ。でも、今回はソウルポイントは入らないんだにゃー。

 一杯オリエンテーリングのポイントを回ると沢山のハロウィンポイントが入るにゃー。ハロウィンポイントに応じて、期間限定のハロウィングッズが手に入るにゃ~。

 みんな頑張るにゃよー。上位3名は、20時の花火の時間帯に発表されるにゃー。イベント内容はそんな感じにゃ。質問はあるかにゃ?」

「僕たち、まだ、やり始めて間もない初心者です。そんな僕らでも、ハロウィンイベントのモンスターは、倒せるんでしょうか?」

「そのことなら、問題ないにゃ。このイベント期間中は、このフロアに限り、こっちから与えるダメージもモンスターから与えられるダメージも1固定にゃ。ちゃんと回復すれば、死ぬことはないにゃ。ハロウィンポイントためて買った武器なら、2固定や3固定のものもあるにゃ。

 防具だと一定時間に1回復してくれるものもあるにゃ。ミリィが来るものがそうだにゃ。」

そう、ミリィは、今回売り出される期間限定の武器や防具を装備して、営業してくれる広告等でもあったのだ。サクラちゃんが来ていたのとは、ちょっとデザインが異なる魔女っ子衣装である。

 ちなみにデザイン設計は小咲ちゃんによるものだ。このイベント期間限定の武器や防具は、初期用の装備にちょっと毛が生えたようなものなんだ。でも、他の装備にこのデザインをフォーマルに設定して、他の装備をすることも出来るため、にゃんスタで、イイにゃを集めたい人にはとってもいいイベントとなっている。

 今回のイベントは主に僕と小咲ちゃんによる設計がメインだ。

「うーん、可愛いわー。わたしも是非欲しい。〇〇君頑張ってポイント貯めましょ。」

「うん、ペアルックになるように頑張ろうね。」

女性メインの可愛い武器防具を押しているため、カップル客が見込み通り、入ってくる。

今回は、ハロウィン仕様であるため、道中は、暗い夜道設定だ。肝試し設定とも言う。可愛さと恐怖のダブルパンチにより、カップル客の顧客満足度を最大限に高めるプランだ。

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「きゃーっ、誰か助けて~」
.狐耳の妲己姉さんが演出とばかりに悲鳴をあげて、周囲の冒険者に助けを求めている。妲己姉さんを取り囲んでいるのは、ハロウィン仕様の可愛くデザインしれた、カラスに、狼、かぼちゃだ。

「おい、こっちの方から悲鳴が聞こえたぞ。急げ。」

近くにいた男性の冒険者が、走ってきた。

「お姉さん、大丈夫ですか?」

高校生くらいの男子が、初期装備のままさっそうと現れて、モンスターに斬りかかっていく。手数さえ、打ち出せばなんとかなるので、時間がかかるが全て倒した。

 その間、妲己姉さんはというと、悲鳴を上げながら逃げ回っていた。

「大丈夫でしたか、狐のお姉さん。。。ポッ」

さっきは、助けるのに一生懸命だったから、衣装に目が留まらなかったが、いざ冷静になって目にした衣装は露出度が大きく、完全な男子高校生には、刺激が強すぎたようだ。顔を真っ赤にして、妲己姉さんが目に入らないように視線を逸らしていた。うん、初っ端で妲己姉さんに当たるとは運が悪いとしかいいようがないね。

「みんなのおかげで大丈夫だったわ~~ん。とってもわらわはとっても怖かったのん。助けてくれてありがとん」

といって、男子高校生3名を全員感謝の気持ちを最大限にしてハグしていく。フォックスガールの衣装で美人な狐耳のお姉さんにハグされた高校生たちは全員昇天してしまったようだ。恐るべき妲己姉さん。女性に免疫のついてない清純な高校生たちを危ない道に突き落としてしまったようだ。

「であなた達どうする『TRICK OR TREAT』?」

高校生たちは必死に悩んだ。さっきモンスターを倒したので、ハロウィン仕様の飴玉を6個入手していた。TREAT(おもてなし)は充分に出来る。というかさっき充分に妲己姉さんにおもてなしされてしまった。なら、ここでいう『TRICK』とはいかなる悪戯(いたずら)なのであろうかと必死に悩んでしまった。もしかしたら、悪戯と称して、さっきみたいにハグしてもらえるかもしれない。いや、しかし、このイベントの悪戯ってなんだろう?もしかしたら、デバフかもしれないし、強制転移の可能性だってある。彼らは人生経験の少ない脳味噌をフル回転させ、考えた。結果

「トリートでお願いします。」

一人2つずつのハロウィン飴玉を妲己姉さんに手渡した。受け取る際に妲己姉さんは右手で下から手をだし、上に高校生が飴玉をおこうとした際に、左手で上から包みこんだ。柔らかい綺麗な異性の両手で手を掴まれた高校生たちはまた、真っ赤になったが喜んでもらえたようだ。

「ありがとうねん。ハロウィンポイントはみんなのシステムに入れといたわん。またわらわが困ってたら助けて頂戴ねん」

と言って、高校生たちに、ウインクした後に、投げキッスまでして、しっかりと誘惑をしていた。

「はい、必ず助けにきます。お、お姉さんのお名前を教えてもらってもいいですか?」

「いいわよん、わららの名前は妲己よ~~ん。覚えておいてね。」

「はい、妲己お姉さん。僕達またここにきますので、後でまた会いましょう。」

そうして、高校生たちは次のチェックポイントに走っていった。

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「モンスターモンスターが現れたで、誰か手伝ってくれんか」

ヨシさんが大声を上げて周囲に助けを求める。ヨシさんのハロウィンのコスプレは、、、、どこぞの魔法使いではなく、武士だった。可愛いハロウィンプリントの鎧を着こんで刀を振りかざす武士。もうせいようのコスプレではなく、和装のコスプレであった。このデザインも小咲ちゃんデザインである。ヨシさんは天邪鬼の物の怪であり、人化を解いても、普段の恰好とあまり大差ない。唯一変わるのは額から生える一本の角である。さらに兜ではなく、カボチャの兜を被るパンプキン仕様。

 なんというかミスマッチ感がすごかった。カッコイイという表現はそこにはなく、可愛らしいの一言につきる姿がそこにあった。当初、ヨシさんはその衣装に身を包むことに酷い抵抗があったが、周りの女性陣に詰め寄られ渋々来てイベントに参加する形にあったのだ。硬派なヨシさんも女性の手にかかっては形無しである。

 モンスターを寄せ付けない威圧を放っており、そもそも手助けが必要かと思うほどだ。近くにいた男女のカップルが助けにやってくる。

「大丈夫ですか?」

男の方は、その様相にはっとして、思考が停止してしまう。女性の方は、あまりの可愛らしさと、キレのある顔だちにうっとりとしてしまう。要は二人ともモンスターの前に固まってしまったのだ。

「大丈夫。。。。。なわけないやろ。はよ手伝ってくれんか。ワイ一人ではこのモンスターたちを相手にしきれん。ほらっ、ボーっとつったっとらんと早うたすけんかい。」

あまりの言い様に本当に助ける必要があるのかなと男の方は思ってしまう。だって、モンスター達が怖がって、ある距離から一歩も近寄ってないじゃないですか。女性の方はヨシさんの素敵な発言っぷりに、獲物の剣を構えて、周囲にいる狼に飛びかかっていった。

「おい、そこのお前なにしとんねん。女に戦わせて男のお前はボッと見とるんか。はよお前も戦わんかい」

確かに言われてみれば、現状その通りである。男である僕は、後ろで固まっており、彼女が颯爽と前で戦っている。いやでもしかしですよ、助けを求められている側に命令口調で指示されるとぐ~~っと抗いたいものがあるじゃないですか。それに、彼女の目がちょっと、星とハートの間をグルグルと彷徨っているように見える。それはちょっと面白くなかった。

 かと言って、彼女だけに戦わせるというのは、僕の主旨ではない。変な抗う気持ちを押しつぶし、あの鬼武者パンプキンを助けるというよりは、彼女と一緒にイベントで戦うことに目的を設定し直して、前にでて、狼たちと戦った。

数分後

「よくやったでわれら。あんさんらのおかげで傷一つなく、無事にあのモンスターの軍勢を追い払うことができたわ。感謝やわ。んで、どないする『TRICK OR TREAT』や。」

結局、狼3体にパンプキンのおばけ4体をなんとか二人で倒したのだった。多勢に無勢で手数の差で厳しかったが、なんとか倒すことが出来たが。思ったより体を酷使しして二人のカップルはへとへとだった。手に入れたのはハロウィン仕様のチロルチョコが9個だった。

正直せっかく手に入れた戦利品をこんな戦闘もせずに指示だけ飛ばすいけ好かないおじさんに渡すのは気にいらなかった。しかし、だからこそ『TRICK』を選びたくもなかった。いけ好かないおじさんの悪戯である。僕だけなら、最悪悪戯をされても構わないが、ここには僕の彼女がいる。彼女をあんなおっさんの悪戯の魔の手に渡すわけにはいかなかった。

渋々と手に入れたチョコを全て男の方がヨシさんに渡した。彼女が渡したそうにしていたが、僕は毅然とした態度で断った。

「TREATでお願いします。」

「わかったで、ほなハロウィンポイントは仲良く二人に分けていれておいたから、後で確認してくれや。ほんま二人とも助けてくれて、ありがとうな。」

このポイントには2度と近寄るまいと男の子は決心して、彼女の手を引いてその場を去っていった。
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