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【番外編】スウィートチョコレート2

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 裕実とはやはり趣味が違うのか、望は悩んでいると、裕実は望の事を涙目で見上げ、

「やっぱり、僕の趣味では望さんの趣味とは違いますかね?」

 そんな目で見つめられたら、恋人じゃなくても焦ってしまうだろう。

 望は瞳を宙に浮かせながら裕実が選んできた包みや箱の中から無難そうな物を選んだのだから。

「とりあえず、四角い箱のとブルーのハートの包み紙でいいかな?」

 裕実は望が選んだ包み紙に手を叩くと、

「いいんじゃないんでしょうか? 確かに望さんらしいですよね?」
「あ、まぁ……そうだよな……」

 とりあえず包み紙等を選んだ二人はチョコレートが冷蔵庫で固まる間、二人で雑談を交わす。

 そして出来た頃に冷蔵庫からチョコレートを取り出し、

「後はデコレーションすればよかったんだよな?」
「はい!」
「ちょ、裕実……あっちで待っててくれねぇかな?」

 その望の言葉に裕実は一瞬、首を傾げたのだが、望が言いたい事が分かったのか、もう一度、手を叩くと、ソファでテレビをみる事にしたようだ。

 流石の望もここは裕実でも見られたくなかったのであろう。 そこは雄介と望との間の内緒の事にしたかったのかもしれない。

 それに気付いた裕実はその望の気持ちを汲んで望が終わるのを待っていた。

 それから、望はデコレーションまで出来たのか再びチョコレートを冷蔵庫の中に入れると、満足したのかもしれない。 急に鼻歌を歌いながら裕実が待つソファへと戻ってくる。

「出来たのですか?」
「ああ、まぁな……」
「では、後はチョコレートが完全に固まるのを待つだけですね……」
「ああ、そうだな……」

 とりあえず今回は裕実の提案で初めてチョコレート作りをしてみた望。

 確かに裕実や雄介が言っている事が分かったのかもしれない。 だって誰かの為に何かを作るって楽しいと感じたからだ。

 今日、望は雄介の為に半分裕実には強制的に作らされたチョコレートだったけれど、雄介もきっと望にご飯を作っている時はこんな気持ちなんだろう。 と思いながら望は微笑む。

「和也達、今頃何してるんですかね?」
「何やってるんだろうな……。 今まで和也と雄介が一緒にいるって事なかっただろうしな」
「想像つきませんよね? まぁ、僕の場合はには遊びという事を知らないので、想像つかないんだと思うのですが……」
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