【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

綺羅 メキ

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【番外編】スウィートチョコレート3

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「ま、いいか……帰って来てから聞けばいいんだしさ……」
「そうですよねぇ」

 何故かこの二人というのは仲がいいらしい。

 暫くしてチョコレートが出来たのを確認すると、裕実から貰った箱へと入れ、包み方は裕実に教わりながら包んでいく望。

「出来た!」
「ですね。 後はそれを望さんが雄介さんに渡すだけですからね」
「ああ、そ、そうなんだよなぁ……」

 チョコレートまで出来たのは裕実のお陰でどうにかなったのだが、望としての問題はここからなのかもしれない。

 望の性格からして、面と向かってチョコレートを恋人である雄介に渡せる訳もないだろう。

 暫くその事について一人で頭を悩ませていた望なのだが、いい事を思いついたのであろうか、それを二階の部屋へと持って行く。

 それから暫くして和也や雄介が帰って来たようだ。 駐車場の方から車を止める音が聴こえてくる。

 そこで先に行動を起こしたのは裕実だった。 望の腕を引いて玄関へと向かう。

「おかえりなさい! 和也!」

 そう言うと裕実の方は望の腕から離れて和也の肩へと両腕を回し、裕実自ら和也へとキスをする。

 それはまるで旦那の帰りを待っていた奥さんのようだ。

 だが、望の性格では裕実のような事は出来ず、ただ雄介の事を見上げる事しか出来なかった。 でも雄介の方も望の性格はよく知っている。 だから、そんな事は気にせずに望に笑顔だけを向けると部屋の中へと上がって行くのだった。

 その後すぐに和也と裕実のカップルは帰宅し、部屋には望と雄介だけとなる。

 だが、今日の望はいつも以上にソワソワとしているのか落ち着きがない。

 そう、その理由は昼間、裕実を一緒に作ったチョコレートをいつどのタイミングで雄介に渡すのか。 というのを見計らっているからなのかもしれない。

「さて、夕飯の用意でもしようかなぁ?」

 と雄介は普通の事を言っているだけなのに、今日の望はその言葉さえも体をビクリとさせていた。

「どないしたん? そんなに体びくってさせて……」
「あ、いや……な、何でもねぇよ。 あ、夕飯作るのか? あ、おう! 宜しく!」

 明らかに望の様子がおかしい。 だが、そんな望に問いただす事もしない雄介は夕飯の支度の為にキッチンへと足を向けるのだった。

 その間も望の方は落ち着かない様子で何故か見ているのは時計だ。 時計の方に視線を向けてはキッチンでご飯の用意をしている雄介の方にも視線を向ける。

 そして意を決したように望はソファから立ち上がると、大きな声で、

「俺、風呂入って来るなっ!」

 と言うのだった。

 部屋内に響き渡るような望の声に一瞬体をビクリとさせた雄介。 だが、とりあえず、その望の言葉に、

「ああ、おう……」

 と返事する雄介。
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