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ー信頼ー117

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「んー、でも、流石に懐中電灯も無い中で、創作活動なんて事が出来る訳がねぇだろ? それに、流石の雄介だって体力が保たなくなってくるんじゃねぇのか? もう、だって何時間も海の中に潜ってるんじゃねぇのかよ」
「そうだよね……。 流石に兄さんの前では言えなかったけど、やっぱり、雄介さんは流されてしまったり死んでしまったんじゃないのかな?」
「え? あ、ああ……」

 朔望の言葉にもうそう考えるしかなくなってしまったのであろう。 和也は朔望と同じ考えになってしまったのか言葉を詰まらせてしまう。

「そ、そんな事ありませんよ! 雄介さんは絶対に望さんの為に帰って来ますから!」
「その根拠は?」

 その朔望からの問いに答えられないでいる裕実。 だって、そうだろう。 未だに帰って来る気配も無い雄介。 確かに朔望の言う通り、もう『死』しか実際問題考えられないのだから生きてるっていう証拠みたいなのは無い。 そしてその根拠さえもない発言でもある。

「確かに、根拠みたいなのはないですよ。 だけど、考えられないんです! あの雄介さんが望さんの事を残して死ぬなんて事……。 今まで雄介さんは何度も望さんの為に怪我しても何度も助かって来ている人なんですからね! だから、絶対に望さんを置いて死ぬなんて事は考えられないって事ですから……絶対に!」

 もう半分泣きそうになりながらも裕実は頑固として、雄介は生きていると信じているようだ。 きっと裕実の中では雄介には生きていて欲しいという希望があるからであろう。

「和也はどうするんです? ちゃんと雄介さんは生きてるって希望を持ってるんですよね?」
「え? あ、ああ……まぁな……」

 そう答える和也なのだが、やはり、まだ自信も無ければ希望も無いような答え方をしているようにも思える。 そんな和也に気付いたのか、

「和也がそんなんでどうするんですか!? 雄介さんは絶対に生きてるんですってば! 僕達が希望をなくしてしまったら、雄介さんが本当に生きて帰れなくなってしまいますよ! 望さんは勿論なんですが、流石に僕も雄介さんの事は心配してますからね。 雄介さんが海に入って数時間経ってしまっているんですから……心配しない訳が無いじゃないですか! 寧ろ、僕は泣きそうですよ。 だって、お昼まで一緒にご飯を食べて笑って話もしていた人が今は居ないんですからね。 確かに、雄介さんがいない中では、正直言って僕だってどうしたらいいのか? っていうのは分からないんですからー! だけど、希望だけは無くしてはダメなような気がします! でも、絶望してはまだいけないような気がするんです! そう! 絶望より希望なんですよ! 希望を忘れてはいけないんです! それに、和也……僕達は朔望さんの言葉に流されちゃいけないんですよ! 考え方っていうのは人それぞれなんですからね! 朔望さんは雄介さんとは、まだ、そんなに深い中ではないんですから分からないのかもしれませんけど! それに、和也さんと雄介さんとでは親友なんでしょう! なら、雄介さんが絶対に帰って来るっていうのを信じなくてどうするんですか!? それに、和也が沈んでしまってたら、望さんの事フォローして上げる事も出来ないんじゃないんですか!? 望さんと和也も親友なんですから、こういう時、望さんの事を助けて上げる事が出来るのは僕達しかいないんですからね!!」
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