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ー過去ー46

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 その雄介の言葉に望は何を返したらいいのか分からないのか暫く口を開かないでいると、雄介の方が先に口を開き、

「今の言葉は俺の独り言やと思うてくれてもええよ。 望が何か言ってくれるような性格ではないって事も分かっておるしな。 それに、人に何かを求めてもそれはやっぱし本心ではないんやし……まぁ、無理に聞いてもあかんって事やんな。 せやけど、俺の方はただ単に自分が言いたい事を言うてるだけやしな……なんやろ? 俺の心から好きやって事をちゃんと気持ちを伝えたいだけや。 俺はホンマに望の事が好き。 それとお前と会ってから、恋愛について色々と教えてもらったし、めっちゃ、恋人ってええもんやなってのも、よーく、分かった」
「……ぁ……あのさ……そ、それは……俺の台詞でもあんだぞ。 そのままそっくりお前に返すよ」

 やっぱり望の性格は一年前と変わってないようだ。 そう望は前から恥ずかしい事は口にしない性格なのだから。

 だけど望も一年前とは比べ物にはならない位成長はしている。

 望は雄介とは真逆な性格で心にある想いを上手く言葉にする事は出来ない性格でもある。 昔それが原因で二人の間にすれ違いが生じた事があったが、雄介も望もお互いの性格が分かったようで今では一年前とは違いゆっくりとではあったがお互いの事を理解しあえるまで仲は良くなって来ていた。

 雄介はその望の言葉にクスリとすると優しい声で、

「ありがとうな……望。 ホンマ、俺は望と出会えて幸せやわぁ」
「またまた……その言葉をお前に返してやるよ」

 確かに望から直接的な言葉ではないのだが雄介からしてみたら十分過ぎる言葉だろう。

「ホンマに今日は嬉しい日やわぁ……最高な記念日やな」
「……まぁな」

 未だに浴槽の縁に顎を当てながらも望は雄介のその言葉に微笑んでいた。 流石にその表情を雄介に見せるのは恥ずかしかったのであろう。

「ほな、体洗って出ようか?」
「ああ、そうだな」

 甘い会話をし終えると今度は普通の言葉を振る雄介。 そういう話ばっかしていると、また望が拗ねてしまうのはもう分かっている雄介はそのまま浴槽から上がると自分の体を洗い始める。

 未だに望は雄介が体を洗っている姿をまともに見るって事は出来ず、今度は普通に浴槽に座るのだ。
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