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ー海上ー145

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「そんな訳ねぇだろうが、そんなボケかましてねぇでフロントに電話してみろよ」
「せやな……」

 雄介はそう言うと望に言われた通りに電話をする。 するとやっとこの部屋のシステムが分かったのかエアシューターを使って料金を払うという事だ。

「雄介! これじゃねぇ?」
「みたいやな……説明ここに書いてあるしな」

 そのエアシューターのシステムはどうやら筒状の物にお金を入れてボタンを押すとその筒が管えお通りそれがフロントに着くシステムになっているらしい。

「よっしゃ! お金はこの筒に入れたし、後はボタンを押せばええんやんな」

 雄介がそう言ってからボタンを押すとどこからか空気が出てくる音が聞こえて来て一瞬にしてお金の入った筒が何処かへと行ってしまう。 そして暫くしてお釣りが入った筒が戻ってきた。

「なんや、ある意味凄いシステムなんやな?」
「でもさ……今、こんなシステムもホテルってあるのか? まぁ、ここは建物が古い所から見るとかなり前から建ってるようにも思えるけどな」
「ほな、昔はこのシステムが主流やったんと違う? 確かに今時こんなシステムのホテルはないのかもしれへんな」

 二人はそう話しながら部屋を出ると車へと乗り込むのだ。

 さっきまで青空が広がっていた空だったのだが今はもうオレンジ色に輝く空へと変わっていた。

 帰りはどうやら雄介が運転する事になったようだ。

 明日からはまた二人は同じ家に住んでいるのにも関わらず、すれ違いの生活を送る事になるだろう。

 だが今回に限っては明日望は一日頑張れば明後日の夕方には雄介に会えるのかもしれない。

 だから今日という日を本当に大事に使いたいと思っていたのだが、その時、望のポケットに入っている携帯が鳴り響く。

 望の携帯の着信音というのは本当にシンプルで元から携帯の方に入っている着信音だ。

「ん?」

 望の方はその音に気付き取り出すとそこには『春坂病院』と書いてあった。

 春坂病院からなのだから急病人が出たのかと思い素直に電話に出る望。 だが、そこに出たのは望のお父さんである裕二。 望は裕二から電話だという事に気付くと営業用の声ではなく少し低い声で電話へと出る。

 望からしてみたら本当に自分の親父から電話が掛かってくるのは本当にただ単にめんどくさいからなのであろう。

「……ってか、今日は休みなんだから電話してくんな。 つーか、親父が掛けて来るって事は急病人とかじゃねぇんだろ?」
『だからって油断する事じゃないと思うんだがね。 それがもし大変な事故でも起きていて君に電話しているのならどうするんだい?』
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