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ー波乱ー143

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 もしかしたら、ただ携帯落としてしまって気付いてないのかもしてないと思いながら和也は部屋の前へと立つ。

 そして一回自分を落ち着かせる為に深呼吸をしドアノブへと手を掛けるのだがドアが開く気配はなかった。

 いつもならというのか今日も望の方が先に来ていたのであろうが望は部屋にもまだ来ていないという事にも気付く。

 とりあえず和也は鍵を開けて中へと入ってみる。 もしかしたら和也より先に来てしまい先に部屋に向かったという可能性だってあるのだから。 それで内側から鍵が掛かっているのは、やはり今までの事があったのだから警戒して内側から鍵を閉めているからなのかもしれない。

 和也はいつも以上に慎重に鍵穴へと鍵を入れていく。 それは、なんでなんだろうか? そこはまだ分からないのだが、何だか今日は本当にいつもの朝とは違うような気がして仕方がないからなのかもしれない。

 その時、息を切らせながら颯斗も来てくれたようだ。

「どうしたんですか? そんなに慌てて……」
「お前には関係の無い事だ。 仕事終わったんだったら、早く帰ればいいんじゃねぇのか?」

 そう颯斗には冷たくあしらう和也。

 そして和也は本格的に鍵を開けると、ゆっくりとドアを開けていく。 だが部屋内には人影さえも無い状態に思える。

 いや、まだ和也の方は望の事を探すのを諦めてないようだ。

 部屋へと足を踏み入れるとロッカールームから、お風呂場まであるとあらゆる場所を探してみるのだが、やはり望がいる気配はなかった。

 ロッカーの方に視線を向けても望の鞄さえないのだから、今日、望はこの部屋にも来ていないのであろう。

 という事は駐車場には望の車はあって部屋には望の鞄さえもなかった。 だが駐車場には颯斗が拾った望の携帯があったのだから、その間に望に何かあったのは間違いない。

「くっそ! 俺が携帯さえ、あそこで水に落とさずにしていたら、望と連絡が取れてたのに! 車で渋滞にさえハマらなかったら……こんな事にならなかったのにー!」

 と和也はそう部屋の中で悔しそうに叫ぶ。

 だが、ただただここで悔しがっていたのでは望の事を助ける事が出来ないと思った和也は顔つきを変えて立ち上がると体の向きを変えて急いで部屋を出て行く。

 颯斗はドアの前に立っていたのだが颯斗は和也の姿を視線で追いながら誰かへと電話を掛け始める。

 和也は仕事の事なんか忘れて一体どこに向かったのであろうか?

 和也は音を立てながらここの階のもう一つ上を目指す。 そして、ドアの前へと立つと……
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